見出し画像

いつのまにか、📮ポストがありました。

こんにちは、Bell noteです。

最近、noteに「質問箱」という機能が追加されましたね。

読者が質問を送り、それにnoteクリエイターが答える——という、シンプルな仕組みです。

面白そうだとは思いました。
ただ、正直に言うと、最初はあまり自分向きには感じなかったんです。

私は有名人でもない、ただの一般人です。
「この人に質問したい」と思う人が、どれほどいるのだろうか、と。

でも一方で、遊んでみたくなる感覚もありました。

質問と回答が、順番に蓄積されていく——ただそれだけの単純な構造なのに、数が増えていくと、全体が別の何かに変わっていく予感がしたんです。

私はたぶん、そういう“構造の変化”そのものに、面白さを感じてしまう質(たち)なんだと思います。

そんなことをぼんやり考えていた頃、先日ちょうど『Code:Mn-137』のEp.12まで作り終えました。

制作中はいつも必死なので、完成した作品を立ち止まって眺め返すことは、実はあまりありません。
けれど今日は、なんとなく全体を静かに見返していました。

すると、ある台詞に目が止まりました。

「未来の誰かが“これ”を見つけ、違和感を抱くかもしれないから」
「“何か”気になった者が、Code:Mn-137の意味を解読し、この事実にたどり着くかもしれない。私がそうだったように……」

小説『Code:Mn137』より

作中の人物、認知科学者:植木肇の言葉です。

彼がこだわっていたのは、「誰かが後から気づくための違和感を残すこと」でした。

一見すると普通に見える。

でも、注意深く見る者だけが、「何かおかしい」と気づく。

まるで誰かが、未来の発見者に向けて、わざと小さなノイズを混ぜ込んだみたいに。

植木は、そういう“人為的なズレ”を、未来へ埋め込もうとしていました。

誰かに向けて説明するためではない。
未来のどこかで、問い(違和感)を持った誰かが、それを見つけるかもしれないから。

問い(違和感)を持った者だけが、たどり着ける。

その構造を考えていたとき、学生時代に好きだった世界史の先生が話していた、「デルフォイ神託」のことを思い出しました。

人が問いを携え、どこかに答えを求める場所。

しかも、その答えはいつも曖昧で、受け取る側の解釈に委ねられている。

——古代ギリシャの「デルフォイ神託」です。

デルフォイ神託

デルフォイ神託とは
古代ギリシャで約1000年にわたり信仰されていた「神託」の仕組み。
人々は神殿を訪れ、巫女を通して神の言葉を受け取ったとされる。ただし、その答えはしばしば曖昧で、受け取る側の解釈に委ねられていた。

デルフォイの神託には、不思議な特徴がありました。

神託は、いつも曖昧だった。

有名なのは、リディア王クロイソスの逸話です。

リディア王クロイソスの逸話

彼がペルシャとの戦争について神託を求めたとき、返ってきた言葉は、

「もし川を渡れば、大きな帝国が滅びるだろう」

というものでした。

クロイソスは、「滅びるのはペルシャ帝国だ」と解釈して戦争を始めた。
けれど、実際に滅びたのは、自分の王国だった。

神託は嘘をついていない。
ただ、答えは最初から曖昧だった。

そしてもう一つ、デルフォイには重要な特徴がありました。

「問いを持たない者には、何も返ってこない。」

本気で問いを抱えた者だけが、そこから何かを受け取った。

私はその構造が、植木の残そうとしていた、「注意深く見る者だけが違和感を持つ」と、どこか似ている気がしたんです。

誰かが問い(違和感)を持つ。
すると、どこかに残されていた違和感の痕跡が、急に意味を持ちはじめる。

その瞬間、私は質問箱という機能の見え方が、少し変わりました。

単なるQ&Aツールではなく、

「どこかに向けて、そっと問い(違和感)を投げ込む装置」

のように思えたんです。

返事が来る保証はない。
誰が答えているのかも、よくわからない。

でも、ときどき“座標の違う場所”から、声が返ってくることがある。

『Code:Mn-137』の世界には、「異なる座標」という考え方があります。

同じ時空間の中に存在していても、互いの位置を知らない者同士。
過去なのか、未来なのか、それとも別の層なのかもわからない。

ただ、痕跡だけが残っている。

そして、問い(違和感)を持った者だけが、それを見つける。

そんな構造です。

もし質問箱を、ただのQ&Aではなく、そういう「違和感と応答の場所」として使ったら、どうなるだろう。

問いを投げる者がいる。

すると、どこかわからない座標から、何かが返ってくることがある。

返ってこないこともある。

答えは曖昧で、解釈の余地がある。

でも、問いと応答が積み重なっていくうちに、少しずつ「向こう側」の輪郭が浮かび上がってくる。

そんな遊びが、できるかもしれない。

——そう思いました。

というわけで。

少しだけ、変わったポストを置いてみます。


ここに届いた問いは、必ず読まれます。

ただし、返答があるとは限りません。

どこから返ってくるのかは、まだよくわかっていません。

気になった方は、何かそっと投げ込んでみてください。

もしかすると、どこか別の座標から、声が返ってくるかもしれません。


返事が来ることがあるそうです…

🔔 Bell

いいなと思ったら応援しよう!

🔔Bell note いただいたサポートは、noteの有料記事の購入や他のクリエイターの方へのサポートなど、何かしらnoteに還元する形で使わせていただきます。