番外編を少しずつ——寅子の新作短編、できました。
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👇今回のnoteは、寅子誕生の背景などを纏めまてみました。
こんにちは、Bell noteです。
ふと気付けば、noteをはじめてから一年が過ぎました。
最初は旅の記録や日常の覚え書きのようなものを綴っていただけだったのですが、文章を書き重ねるうちに「小説のまねごと」を始めるようになり、そこから七か月ほどが経ちました。
もちろん本格的な作家活動などというものではなく、あくまでアマチュアの拙い趣味にすぎません。けれども不思議なことに、文章というものは書き続けていると、自分でも予想していなかった発見を連れてきてくれることがあります。ちょっとした出来事や心の機微を、文字にすると、まったく別のカタチを持って生まれてくる……その体験は、思った以上に刺激的でした。
そうして、ふいに生まれたのがこの「寅子」というキャラクター。もちろん最初から明確な構想があったわけはなく、偶然の産物に近いものでした。それでも、振り返ってみれば、このキャラクターこそがいまでも私の創作を続ける大きな原動力になっていると実感しています。
🐯寅子誕生
「寅子誕生」には、ちょっとしたきっかけがありました。
ある日、いつものように旅の記録(トラベルノート)を纏めていたとき、ふと横を見ると、妻がテレビの再放送に夢中になっていました。流れていたのは「西村京太郎トラベルミステリー」。
妻は昔から大の二時間ドラマ好きで、「十津川警部シリーズ」や「赤い霊柩車シリーズ」、「浅見光彦シリーズ」などは欠かさず観ています。なかでも「赤い霊柩車」では、29年間も婚約者のままという設定が原作通り続いているのがお気に入りで、「もう結婚する気ないんじゃない?」と笑いながらツッコミを入れるのが恒例です。ストーリーの型が似ている分、観たはずの話も忘れてしまって「何度見ても新鮮に楽しめる」というのも、彼女にとって魅力なのかもしれません。
そんな様子を眺めながら、私はふと考えました。
「いつも書いているトラベルノートをベースにして、小説を書いてみても楽しそうだな……」
それに、妻の好きなミステリー仕立てにすれば、きっと喜んでくれるはず。
こうして「トラベルミステリー」に挑戦してみようと決めたのが、寅子誕生の最初の一歩でした。
そんな軽いきっかけから生まれた寅子ですが、不思議なもので、関わっていくうちにだんだんと存在感を増していきました。最初は小説の中でセリフをつける程度だったのが、面白がってAI音声をつかってしゃべらせてみたり、動画生成AIをでつくった動画のナレーションをさせてみたりするうちに、「このキャラクターはもう私の手を離れて勝手に歩き出しているのかもしれない」と感じることがありました。
今では、寅子は単なる小説の登場人物を超えて、創作のたびに一緒に考え、一緒に動いてくれるような――もう一つの人格のような存在になっています(こんなことを言うと危ない人みたいですが、そこは目をつむってください)。
まるで相棒のように寄り添ってくれる感覚で、「作家がキャラクターに特別な思い入れを持つ」というのは、きっとこういうことなのだろうなと実感します。もちろん、私ごときがプロの作家の感覚を語るのはおこがましいのですが、それでもそう感じてしまいます。
不思議なことに、こちらがちょっとしたきっかけを与えると、寅子はそこから新しい一面を見せてくれる。そのやり取りが楽しくて、結局一番驚かされているのは、書き手である私自身なのかもしれません。
🐯若き日の寅子誕生
そして、先日参加した Tales の企画が、またちょっとした転機となりました。
人気イラストレーターさんの作品を“お題”として、それをもとに短編小説を書くという、ちょっと大喜利のような遊び心あふれる企画です。
いくつものイラストの中から眺めているうちに、とある一枚が、どうしても「寅子」と重なって見えてしまいました。イラストが寅子の若き日の姿を映し出しているかのようで、そこから自然とイメージが広がり、「寅子、若き日の一篇」という超短編小説が生まれました。
ほんの遊び半分で参加したはずの企画が、結果的に新しい寅子を形にするきっかけになったわけです。書き手にとっては、こうした偶然の化学反応が何よりの刺激になるのかもしれません。
驚いたのは、その短編が思いのほか多くの方に読んでいただけたことです。
私のような無名の書き手が長編を出しても、当然読んでいただけないのは仕方のないことだと思っています。でも短編なら、「ちょっと試しに読んでみてやるか」と手に取っていただけたみたいです。実際にそう感じてくださった方がいたのだとすれば、本当にありがたいことです。
そんな経験を通して、「寅子の若き日の一篇」という短編シリーズを、不定期ではありますがこれからも続けていこうと決めました。
趣味で細々と書いているに過ぎませんが、それでも読んでくださる方がいる――その事実が、私にとっては何よりの励みです。心から感謝しています。
🐯そして…今回の「寅子、若き日の一篇」は?
今回の作品では、寅子が「押し買い事件」に巻き込まれます。題材に選んだのは、過去に私自身の家族に実際に起きた出来事があったからです。
母は父を亡くしてから、少しずつ物忘れが増え、軽い認知症の兆しがありました。そんな母のもとに出張買取業者が訪れ、「金の指輪を高価なエメラルドに交換してあげます」と言葉巧みに持ちかけたのです。父から贈られた大切な結婚指輪は、母の手から奪われ、代わりに渡されたのは、ただのガラス玉でした。
今思い返しても、あの時の悔しさややりきれなさは消えません。母はすでに他界しましたが、だからこそなおさら「なぜそんなひどいことを平気でできる人間がいるのか」という怒りが静かに心に残り続けています。せめて物語の中だけでも、寅子にその業者を懲らしめてもらいたい――そんな思いを込めた一篇です。
タイトルは『寅子、若き日の一篇 ~蟻の證明~』。
やはり、私自身の中にある静かな怒り――あのとき抱えたやりきれない気持ち――が、今回の物語を少し面白くしてくれたのかもしれません。書きながら、寅子に託すことで自分の感情を整理していたようにも思います。だからこそ、読んでいただける方には、ちょっとした爽快感を味わってもらえるかもしれません。
今回も前回と同じ「超短編」です。肩の力を抜いて、ちょっとした空き時間にさらっと読める長さです。早い方であれば数分で読み切れるので、お茶を飲みながらでも、電車を待ちながらでも、どうぞ気軽に手に取っていただければうれしいです。
前回も申し上げましたがTales では、アカウントがなくても読むことができます。ぜひ、お時間のあるときに覗いてみていただけると嬉しいです。
👇新作超短編:『蟻の證明』を読む:
🖋エピソード3 「蟻の證明」作品紹介
寅子にとって幼い頃から身近な存在だったミツさん。その家には、亡き夫が研究していた「アリ」の観察箱が今も残り、ミツさんは日課のように世話を続けている。
ある日、学校帰りに訪ねた寅子は、ふとした違和感に気づく。ミツさんの薬指に、いつもあるはずの結婚指輪がなかったのだ。代わりに光っていたのは、どう見ても安っぽい“緑の石”。
優しいけれど少し物忘れが増えてきたミツさん。寅子は彼女を守ろうと決意する。しかしその背後には、訪問を装い老人を狙う「押し買い業者」の影があった。
——何もできない相手の「一番大事なもの」を奪おうとする者がいるなら、黙ってはいられない。
寅子はいつもの“フレーム”をつくり、真実を掴み取ろうとする。観察箱のアリと、机に置かれた指輪。そこから導き出されるのは、思いもよらぬ逆転の一手だった。
一人の少女のまっすぐな怒りと、町の人々との信頼の輪がつながっていく。短い時間で読めるけれど、読後には確かな余韻が残る——そんな一篇です。
🎥紹介動画も作ってみました!
「トラベル🐅ミステリー・寅子の事件ノート」シリーズとは
明るく奔放な寅子と、慎重で理論派の夫・ひとし。旅行好きの夫婦が訪れる先々で、観光地の空気に紛れる“不可解な出来事”が物語を呼び込みます。
そこに加わるのは、情に厚いが早合点しがちな鶴岡警部、飄々とした若者、穴崎刑事といった個性的な警察コンビ。軽妙なやり取りと、人間ドラマを絡めながら、事件は思いもよらぬ真実へと繋がっていきます。
旅情あふれる風景描写と、日常から一歩はみ出す謎解きの醍醐味――。「旅」と「推理」の両方を楽しめる、大人のためのトラベルミステリー・シリーズです。
🖋寅子の事件ノートシリーズ過去作《参考に》
🔔Bell
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