【レビュー】映画『ワーキングマン』:ステイサムという名の「安心」を買う。
新年最初に観る映画は、その年をどう始めるかを決める、
大事な一本だと思っています。
2026年の正月、何を観ようかと映画ラインナップを眺めたとき、
自然と候補に挙がったのが、
ジェイソン・ステイサム主演の映画『ワーキングマン』でした。
ジェイソン・ステイサムが、
悪い奴らを容赦なくぶっ潰す。
昨年の『ビーキーパー』のヒットもあり、
日本の年始は「ステイサム映画」という流れを、
配給会社が定番化しようとしているようにも感じます。
であれば、こちらも遠慮なくその流れに乗ってみよう。
そんな軽い気持ちで劇場へ向かいました。
そうして観た『ワーキングマン』。
TOHOシネマズ錦糸町、夕方の回はほぼ満席でした。
結果として、この映画は新年一発目にふさわしい、
実に爽快な一本でした。
これほど素直にスカッとできる作品もそう多くありません。
映画「ワーキングマン」のあらすじ
映画『ワーキングマン』は、ジェイソン・ステイサム演じる主人公が、
家族同然の会社の社長の娘が
ロシアンマフィアに人身売買の商品として拉致されたことをきっかけに、
彼女を救い出すため再び“仕事”に戻っていく、
非常にシンプルなアクション映画です。
「ワーキングマン」のキャスト
主演はもちろん、ジェイソン・ステイサム。
MCUファンとしては、会社の社長役に
『アントマン』シリーズのムードメーカー、
マイケル・ペーニャがキャスティングされている点が
まずうれしいところです。
さらに主人公の友人役には、
『サンダーボルツ』でレッド・ガーディアンを演じた
デヴィッド・ハーバーが登場。
個人的には『グランツーリスモ』での存在感も印象的でした。
監督は『ビーキーパー』と同じくデヴィッド・エアー。
脚本はデヴィッド・エアーと、
ステイサムの盟友とも言えるシ
ルヴェスター・スタローンの共同という、
安心感のある布陣が組まれています。
物語の構造は『ビーキーパー』と同様に、
「落ちぶれた中年男だと油断して手を出した相手が、
実はとんでもなく危険な男で、地獄の底まで追いかけられる」
というタイプのもの。
ジョン・ウィック系譜の映画と言えば、
イメージしやすいかもしれません。
余計な装飾を削ぎ落とした物語は、
善と悪、守るべきものと排除すべきものを、
誰にでも分かる形で提示してくれます。
「ジェイソン・ステイサム」という“安心感
ジェイソン・ステイサム主演の映画を観るという行為は、
突き詰めれば「安心感」を求めているのだと思います。
この男は、最終的に必ず立っている。
少なくとも、理不尽に敗北することはない。
『ワーキングマン』も、その期待を一切裏切りません。
まず印象的なのが、冒頭のシークエンスです。
寡黙でありながら周囲から慕われている男としての立ち姿が、
短い場面の中で手際よく描かれます。
部下に絡んできたチンピラを、
少ない手数で返り討ちにして追い返す。
そのチンピラが、その後まったく物語に関わってこないのは
少し笑ってしまいましたが、
それも含めて非常に分かりやすい導入です。
人柄を見せると同時に、
「触れてはいけない男」であることを
自然に匂わせる。
このあたりの演出は、
『ビーキーパー』と比べても、
より洗練されたものになっていると感じました。
アクション描写も同様です。
過去の技能を最大限に活用して情報を集め、
着実に敵を追い詰めていく。
そして、いざ手を下す段階になれば、
確実に相手を仕留める。
いっそ清々しいと感じるほどの無敵ぶりが、
観る側に確かな安心感を与えてくれます。
個性的なキャラクターも「ワーキングマン」の魅力
『ワーキングマン』が心地よく観られる理由のひとつに、
登場キャラクターの配置の巧さがあります。
善悪がはっきりしているだけでなく、
それぞれが物語の中で果たす役割を
きちんと理解したうえで描かれている。
そのため、誰が何のために動いているのかが、
常に分かりやすいのです。
主人公はもちろん、
ジェイソン・ステイサム演じるレヴォン。
多くを語らず、感情を表に出しすぎることもありませんが、
その行動一つひとつから、
守るべきものを大切にする人物像が浮かび上がってきます。
ただ強いだけの男に終わらせない、
情の熱さを感じさせるキャラクター設計は絶妙でした。
脇を固めるキャラクターたちも印象的です。
デヴィッド・ハーバー演じる盲目の友人ガニーは、
抑えた演技の中から滲み出る任侠的な熱さが見事にハマっていました。
レヴォンの娘を演じたアイラ・ジーも非常にキュートですし、
個人的には何より、
さらわれた社長の娘ジェニーを演じた
アリアンナ・リヴァスが最高でした。
拉致される立場でありながら臆することなく、
一本筋の通った女傑とも言える存在感。
ほとんど新人のはずなのに、
貫禄すら感じさせる演技でした。
彼女のおかげで、映画が飛散になりすぎずにすんだ。
そういう点で、取り返しがつかなくなってから物語が起動した
『ビーキーパー』よりもどちらかといえばこちらのほうが好きです。
正直、公式サイトのスチルよりも、
実際に動いている彼女のほうがずっと魅力的です。
敵側のキャラクターもまた分かりやすく描かれています。
ロシアンマフィアの重鎮たちが持つ重厚さと、
下の世代の軽さ。その世代間のギャップこそが、
今回の破滅を呼び込んだのだと納得させられる配役でした。
まとめ
『ワーキングマン』は、
新年最初に観る映画として完全に正解でしたね。
難しいテーマを背負わせることもなく、
過剰に感情を揺さぶることもない。
ただ、ジェイソン・ステイサムが
“やるべき仕事”をきっちりとこなしていく姿を見届ける。
その体験が心地いい。
物語はシンプルで、キャラクターは分かりやすい。
善と悪の線引きも明確で、
観る側が迷う余地はほとんどありません。
そのおかげで、観客は余計なことを考えず、
映画の流れに身を委ねることができます。
新年一発目に求めていたのは、
まさにこういう“スカッとする映画”でした。
ジェイソン・ステイサムという俳優の安心感、
洗練されたアクション、
そして脇を固めるキャラクターたちの確かな存在感。
どれか一つが欠けていても、
この映画はここまで気持ちよくはならなかったはずです。
派手な名作ではありません。
それでも、観終わったあとに
「よし、今年もやるか」
と思わせてくれる力は確かにあります。
正月で少し緩んだ心に、
静かにギアを入れてくれる一本。
新年のスタートに選ぶ映画として、
『ワーキングマン』はこれ以上ない選択でした。
そんな本作は、プライムビデオで無料配信中。
仕事で疲れた週末に見ると、気分がすっきりするかもですね!
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