経理未経験からの建設業経理士2級合格体験記
経審の加点を目的に、今年の3月に第38回を受験いたしました。無事合格したので、今後も建設業経理士2級を取得する人の助けになればと思い、記事にしました。
1.建設業経理士2級とは
建設業経理に特化した、簿記2級のような資格です。一般的には、簿記2級を持っている簿記経験者が受験することが多いようで、難易度としては簿記2級より少し簡単、と言われております。
建設業経理士は建設業にとって大事な経営審査の加点項目になります。建設業で経理をしている方にとっては、経審の加点に参画できる唯一の項目ですので、お勧めの資格です。
詳しい加点計算方法については以下のページを見ていただきたいのですが、完成工事高が少ないほど加点要件が緩いので、完成工事高三億未満の場合、2級一人だけでも得られる得点は馬鹿にできないレベルになります。
2.私のスペック
造園施工管理1級を持っています。たまに現場で作業します。
経理未経験で、簿記会計関連の資格はひとつも持ってませんし、一切勉強したこともありません。完全に簿記素人です。第37回で建設業経理士2級を初めて受験し、見事に不合格でした。
3.勉強方法について
必要なもの
電卓→使い慣れたもの、使いやすいもの。関数電卓は不可です。私は普段関数電卓を使っているので、慣れるのが大変でした。
テキスト→基礎を理解するためのテキスト。次で説明しますが、このテキスト選びが難所になります。
時計→試験の時間管理に必要です。スマートウォッチは不可。
テキスト選びの問題
まず、テキストが問題です。ほとんどの受験者は簿記2級か、建設業経理士3級を取ってから受験する人が多く、テキストもそれ前提に作られているものが多いです。このため、初歩から詳しく分かりやすく解説するテキストが建設業経理士には存在していません。これが、建設業経理士2級を難しくしている一番の要因と言われています。
私が使ったテキストはネットスクール出版のテキストを使っていましたが、簿記の仕組みや、簡単な仕訳の仕方などは復習程度でした。このため、簿記の仕組みを習得するのには非常に苦労しました。少し時間はかかりますが、簿記の基礎を学べるテキストを使って勉強してから、このテキストに移ったほうが推奨ルートだと思います。
独学のオキテ
建設業経理士2級は基礎的な仕訳の問題から、工事原価計算書、決算整理表を作るところまで実践レベルをかなり重視されるような問題構成になっています。すなわち、基礎をある程度理解するだけでは合格ラインには全く到達しません。
応用力を付けるため、とにかく過去問練習が必須になります。過去問は建設業経理士のサイトから入手出来ますが、解説や答えは公開されておりません。独学のオキテというサイトで、無料で過去問の解説を見ることができます。このサイトにはかなりお世話になりました。
4.各大問ごとの特徴と勉強方法
ここからは、建設業経理士2級の各大問について過去の傾向を見ながら、どのような問題内容なのかを説明していきます。
全体として、7割が合格ラインですが、全答記述式であるため、感触としては満点取れたな…くらいの感覚でないと合格にはたどり着けません。結構厳しいです。
合格率は平均40%程度ですが、第37回くらいから全体的に難化の傾向があり、シンプルな問題でなく、要所要所にひっかけが仕込まれているようになりました。
問1 仕訳問題
問1は選択肢から勘定科目を選んで仕訳を作るシンプルな仕訳問題です。
シンプルゆえに、知っていれば処理方法がわかります。場数あるのみです。しかし、最近の難化傾向で巧妙なひっかけが仕込まれている問でもあります。
例えば、通常通りの処理しようとすると、選択肢にその方法で使う勘定科目がなく、別の方法を要求されるという、問題文に書かれない暗黙の条件付きみたいなものが出題されます。ひっかけを含めて問題の真意を理解してないと普通に間違えるので、問1は場数を踏んで練習あるのみであるものの、上記の理由もあってかあまり点数が安定しません。
問2 文章問題
問題文から空白の金額を逆算する計算問題になります。仕訳が出来るようになっていれば、全問中のなかで一番最初に歯が立つようになってくる大問の一つです。
この問2はあまり難化の傾向は受けておらず、ちゃんと文章を読んで、行われている仕訳処理の内容を理解さえすればそれなりに得点を取れます。逆に、問題文の意図を読み違えると普通に計算を間違えます。慣れてくると意図を読み違えたりするので、私は問2が最後まで苦手でした。
問3問4 理論問題・工事原価計算・配賦・材料計算
問3と問4に関しては、出る順番や項目が若干異なりますが、2つ合わせて3問が出題されます。
理論問題は毎回確実に出てくる文章穴埋め問題ですが、毎回よくわからない問題が出題されます。過去問を見ても同じものは出題されないので、対策のしようがありません。したがって、この問題はあまり点数が安定しません。
そのほかは、計算カロリーが高めの問題が1つと、低め~中くらいのものが1つ出題されます。よくある組み合わせは、工事原価計算と配賦のパターンが多く、理論問題と合わせて3問になります。過去問を解き進めれば段々と傾向がつかめてくると思います。計算問題となるので練習あるのみです。解答用紙を見て、解法がわかるくらいの練度にしておきましょう。
問5 精算表
文章から決算整理仕訳を行い、精算表を作成する問題です。この問5をどれだけできるようになるかが、試験合格の大きなカギとなります。このような方式の問題は簿記には無いようで、かなり実務に近い内容です。問5こそが建設業経理士2級の本質と言えます。
手順としては、文章から読み取って仕訳→計算→当期純利益と法人税の計算という順序で進めていきます。計算工程に時間がかかる分、どこかで計算をミスると芋づる式に間違いが発生しますが、途中点が配点されていいます。ここまでの問1~問4までに傾向のつかみにくい不確定要素がそれなりにあるため、この問5で満点取れるくらいには練度を高めておきたいです。
この問5は最近若干難化の傾向があるものの、基本の解き方は過去問とほとんど同じなので、過去問を繰り返し解くことが合格への近道です。この精算表の練習をすることによって決算書の理解も高まるので、建設業経理士2級を持っていて決算書は読めませんということにはなりません。裏を返せば、決算書が読めない2級建設業経理士はいないということです。それくらい、重要な問題です。
5.これから建設業経理士2級に臨む人へ
幸いなことに、施工管理検定と異なり、年2回の試験開催です。私の体感で、経理未経験から勉強時間は週末だけ使用で1年はかかります。しかし、年2回開催されているので、練度不足だったとしても可能な限り1回は試験を受けることをお勧めします。会場の空気感だったり、制限時間、電卓の使い勝手等、実際の試験から得られるものはたくさんあるので、受験料を投げ捨てることにはなってしまいますが、受験することを強くお勧めします。
また、試験の難易度として、最近は難化の傾向があり、致命的なひっかけがちらほらと仕込まれています。建設業の人口減少によって資格者数が減少していき、緩和の方向を取っている施工管理系の資格とは逆を行く、異例の対応です。これは国土交通省として「経審の点になる資格なので手を抜く必要はない。これでいいんだ」という意思表示にも見て取れます。ひっかけに気付けるようになると、かなり練度が上がってきている証拠です。とにかく過去問を解きまくって、場数を踏んでください。
6.感想
受験のきっかけは会社のお金がどう処理されているのかを勉強するのと、ついでに経審の加点になる資格も取ってしまおうという軽い魂胆だったのですが、ついででチャレンジするには相当ヘビーな資格でした。もう少し調べてからチャレンジするべきでした。
私個人の体感ですが、全答記述かつほぼ計算問題なので、1級の施工管理検定より勉強過程含めて難しかった気がします。
