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元Appleジョナサン・アイブが「巨大なタッチパネルは怠慢だ」と言い放った理由。Ferrariの新型内装が教える、Webデザインの未来と本質。

先日、デザイン業界、そして自動車業界を揺るがすセンセーショナルなニュースが飛び込んできました。

スーパーカーブランド「Ferrari(フェラーリ)」と、元Appleの最高デザイン責任者(CDO)ジョナサン・アイブ氏率いるデザインファーム「LoveFrom」による、長期的なコラボレーションの成果がついに明らかになったのです。

公式サイト https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-luce

彼らが手がけたのは、フェラーリの新型モデルのインテリアとインターフェース。 そのデザインを見た時、そしてアイブ氏の言葉を読んだ時、私は普段の業務で感じていた「これからのWebデザインのあり方」について、一つの確信を得ました。

今回は、世界最高峰のデザイナーが投げかけた「デザインとは何か?」という問いについて。 そして、私たちWebデザイナーがそこから何を学ぶべきかをシェアします。

https://www.wired.com/story/ferrari-ev-jony-ive-design/

■ Ferrari × LoveFrom が目指したものとは?

今回のニュースの主役は、元Appleのジョナサン・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が設立した「LoveFrom」です。彼らは5年以上前からフェラーリと協業し、単なる内装の「見た目(スタイリング)」だけでなく、物理スイッチとディスプレイの統合や、操作体験そのものの設計(エンジニアリング)に深く関与してきました。

そこで提示されたのは、昨今の自動車トレンドへの強烈なアンチテーゼでした。

今、多くの自動車メーカーはTeslaに追随し、運転席の真ん中に「巨大なタッチスクリーン(iPadのような画面)」を設置しています。物理ボタンをなくし、何でもかんでもタッチパネルに集約する。それが「先進的」だとされてきました。

しかし、ジョナサン・アイブ氏は、このトレンドをバッサリと切り捨てました。

■ 「それは安易で、怠慢だ(Easy and Lazy)」

アイブ氏は、Teslaスタイルの巨大タッチスクリーンについて、メディアに対してこう語っています。

「巨大なタッチスクリーンは、実用的にも機能的にも機能していない。それは明白だ。運転中に見てはいけないものを、見なければ操作できないのだから」

「『仕事(操作)を意識させたくない』という言い分はあるかもしれないが、私に言わせれば、それは安易(Easy)で怠慢(Lazy)だ。単にマルチタッチ=先進的だと思い込んでいるファッションに過ぎない」 (出典・翻訳元:The Drive / Ferrari News)

さらに彼はこう続けます。

「マルチタッチはiPhoneのようなデバイスでは素晴らしいツールだったが、それは適切な文脈で使われたからだ。車の運転という、全く異なる環境で無思慮に使うことは無責任ですらある」

つまり、「流行っているから」「先進的に見えるから」という理由だけで、ユーザーの利用環境(この場合は運転中)を無視して巨大スクリーンを置くことは、デザイナーとしての思考放棄(怠慢)だと言い放ったのです。

■ Webデザインの現場でも起きている「怠慢」

この言葉は、私たちWebデザイナーにも深く突き刺さります。
Webの世界でも同じことが起きていないでしょうか?

  • 「流行っているから」という理由だけで、使いにくいハンバーガーメニューにする。

  • 「先進的に見えるから」という理由だけで、過剰なアニメーションを入れて読み込みを遅くする。

  • 「かっこいいから」という理由だけで、文字を小さくし、英語ばかりを使って可読性を下げる。

これらはすべて、アイブ氏の言う「Easy and Lazy(安易で怠慢)」なデザインです。

ユーザーがどんな状況で、どんな目的でそのサイトを使うのか。 その「文脈」を無視して、見た目のトレンドだけを追いかけるのは、デザインではなくただの「装飾」です。

■ 「見られること」より「使われること」

正直に告白すると、私がFerrariの新しいインテリア(コックピット)を初めて見た時、一瞬こう感じました。

「え、これだけ? スーパーカーにしては簡素すぎないか? ミニマムすぎて豪華さが足りないのでは?」

しかし、すぐに思い直しました。 「これは、実際に所有して『使う』と、その感想は跡形もなく消え去るのだろう」と。

運転中に視線を逸らさずに操作できる物理スイッチの感触。 必要な情報だけが、必要な瞬間に表示されるディスプレイ。

それらは、ショールームで「見る」ためではなく、時速300kmの世界で「使う」ために極限まで設計された形だからです。 使って初めて、その真意(デザインの凄み)が体に伝わるはずです。

■ Webサイトは「使われて」こそ価値がある

私たちはつい、ポートフォリオに載せた時に映えるような「見られるためのデザイン」を作ろうとします。

しかし、Webサイトの本質は「ツール(道具)」です。 ユーザーが情報を探し、申し込みをし、悩みを解決するために「使う」ものです。

  • 迷わずに目的のページにたどり着けるか?(導線設計)

  • ストレスなくボタンが押せるか?(UI設計)

  • 欲しい情報が即座に手に入るか?(情報設計)

これらが欠落した「アート作品」のようなサイトは、ビジネスの現場では役に立ちません。

「見られること」についてはよく考えられているが、「使われること」については思考停止していないか?

今回のFerrariとジョナサン・アイブ氏のニュースは、私たちにそう問いかけているように感じました。

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■ 「思考するデザイナー」へ

AIが進化し、表面的なUIデザインやコーディングが自動化されつつある今、デザイナーに残された最後の聖域はどこでしょうか?

それは、「文脈を理解し、体験を設計すること」です。

「なぜここにボタンがあるのか?」 「なぜこの文字サイズなのか?」

すべてのデザインに、ユーザーが「使う」ための論理的な理由を持たせること。 流行りに流されず、ユーザーの文脈を想像して設計すること。

それこそが、AIにも代えられない、そして「怠慢」ではないプロフェッショナルの仕事です。

かっこいい絵を描くのではなく、使いやすい道具を設計する。 その視点を持った時、あなたのデザインは「安易なファッション」から「機能美」へと進化するはずです。

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