IAT(潜在連合テスト)を遊びに使うための発想
IAT(Implicit Association Test: 潜在連合テスト)とは、人が意識せずに持っている偏見を、言葉の分類作業を通じて取り出してやろうとするテストのことである。
テストはコンピュータ上で行われる。画面に順に出てくる単語や画像を、素早いキーボード入力で分類する。それだけだ。


二項対立のカテゴリが2組用意されており、それら計4カテゴリから単語や画像がスクランブルに提示され、二択のキー入力で分類する。

例えば、上の例において『良い』と『老人』をFキーに当て、『悪い』と『若者』をJキーに当てるなどである。やってみればわかるが、案外混乱して即答はできないものだ。
そして、キーの組み合わせを変えると反応速度も変わってしまうことを、その人間の無意識の抽出に利用する。老人に悪いイメージを持っている人間は、どうしても、『悪い』と『老人』を同じキーに当てている試行の方が反応速度が上がるということだ。
研究者主導で作られた以下のサイトに充実した情報があるので、よく知りたい人はこちらを。英語版の方がまめに更新してるらしい。
さて、このIAT。新しいものでもないし、GIGAZINEくらいにしかウケてない概念だけど、結構遊べるんじゃない?と思ったので案をメモっておこうというのがこの記事である。
オタク的好み(属性の好み)に自覚を持つための使用
このテストがごもっともな文脈で使われるとき、それは自分自身の非意識的な選好(特に倫理的にネガティブなもの)に関して自覚を促すツールとして使われるときである。例えば人種や性別、年齢などについて。
自分の潜在的選好は、自己申告するには気まずかったりそもそも気づいていなかったりするため、この手法にこそ威力があるわけだ。
じゃあ遊びレベルでいいので、カテゴリ設定をもっと卑近なものに寄せたらどうか。タレ目とツリ目どっちが好き?とか。

こういうことである。『タレ目』と『好き』を同じキーに当てたとき成績が良くなるなら、そういうことである。
私はオタク的好みに関しても、自己回答式質問紙では大した信頼性のある答えは得られないと思っている。タレ目が好きって答えるとなんか舐められる気がして嘘をつきたくなるので。あと、最近は属性語りみたいなのも化石化しつつあり、そもそも意識していない人だって多いだろう。
そういう意味で、この手法をわざわざ用いることに意義はある。
実装に際しては、二つの軸に交絡を持たせないことが重要である。例えば、タレ目の子がしがちな髪型とツリ目の子がしがちな髪型には、結構固定されたイメージがある。何も考えずそれぞれ画像を用意すると、その傾向が交絡因子として残ってしまう。まあこの例で言えば、目元だけ切り取って表示するなどすれば良い。
表現しにくい感覚を測定するための使用
もっとはしゃいだカテゴリ設定にするのはどうだろう。
こんなのとか。

こんなのとか。

私はなんとなく、高橋とファミマが敵で、渡辺とローソンが味方だと思っている。そして、この手の解釈にある程度の共有可能性を信じており、アンケートなどで検証したくなる。
そんなとき求めるのは、頭でこねくり回した末に尤もらしい説明をつけた解釈などではなく、「そう言われればなんだかずっとそう思ってしまっている」という感覚こそではないか?
それがIATで収集できると私は信じている。
ここでの論点は、ヒューリスティック(直観的)な判断と、語義やエピソードなど特定の一部分に結びつけるような意識的な判断との対立である。
IATは前者に照準を合わせているわけだが、擬人化などを介するカテゴリ設定にしても後者が混入しないことは、一つの期待に過ぎないかもしれない。
この辺りを手法的限界としてよく意識しなくてはならない。
とかね。
(本記事は雑談アドベントカレンダー 12/2 #学問全般 に寄稿しています。)
