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馬の恩返し?〜。岩川隆「競馬人間学」を読んだ。

全21篇。競馬と人の関わり。


こちらの本を読み終えました。

1987年初版(文庫版)
単行本版は1979年に刊行。


様々な競馬人、多くは裏方さんたちの、競馬との関わり。

全21篇。いずれも、だいたい10ページほど。

それぞれのエピソードの主役は、競馬会の職員、厩務員(この本ではまだ昔の呼び方で、”馬丁ばてい”とも呼ばれる)、馬具屋さん、馬場・発馬係、一口馬主、市井の競馬ファンなどなど。

多くは裏方さんだったり、どちらかと言うと普通マスコミが取り上げないような人たちばかり。

しかし、どのエピソードも面白かった・・!


こういう人たちが競馬を支えているんだ、とも言えるし、昭和50年代初頭に著者が各エピソードの主人公たちに会って話を聞いたものなので、こういう人たちがいて、出来事があって、今の競馬につながっているのだなと、思ったり。


2つだけ好きなエピソードを挙げると・・。


①「発馬オーライ 行ってらっしゃい」

主人公は林斎次さん、71歳。

昔、馬場係として発馬(馬追い)を専門とし、現在は騎手の調整ルームのボイラー係。

機械式のゲートが導入される前、バリアー式の発馬時代、馬を同条件に並ばせる職人芸により、”馬追いのサイちゃん”と異名をとるほどの名人だった・・。

いわゆる、機械式の「ハコ」が導入されたのが昭和36年。
この「ハコ」に対するサイちゃんの言葉がいい。

「あんなもの、大勢で馬をハコの中へ押し込んで、バタン、パッ、と出してやるだけで、ね。びっくり箱みてえなもんだ。(中略)びっくり箱の手伝いなんか、馬鹿馬鹿しくってやれねぇや。だから、さっさとやめちゃったんだ。」

「人間だって同じだ。むかしの学校といったら、いろんな商売に進む子がいて、いろんな癖や特技の持主がいた。いまの学校は、子どもをみな同じに扱う。」

93-94pより引用。

著者も、サイちゃんの言葉に首肯し、人も馬も規格通りのハコにおさめることで、”管理社会”の部品となってないか、それは哀しいことではないか、と書く。(その直後に、機械式は機械式で苦労があるとも書いているが・・)。

サイちゃんの話のオチも良かった。

サイちゃん、小学生の登校を見送るボランティアの仕事もやっていて、まだ”ハコ”に入ることも知らない伸び伸びした子どもの”子追い”をニコニコしながらやっている、という。


②「馬に惹かれて参る人生の観音開き」


一つ目の紹介が長くなってしまったので、短めに・・。

主人公は吉田慶太郎さん、84歳。

北海道生まれで、若い頃には馬の生産や飼育に携わり、草競馬の騎手もやった。その後、大正15年に騎手免許をとり公認の騎手となり、全国各地の競馬場を渡り歩いた。それから京都競馬場に厩舎を持ち、調教師となった。

戦後、一度は北海道に戻るが、馬の匂いに呼び戻されるように、競馬場のあった横浜・根岸で奥さんの実家の仕事を手伝い始めたという。

その傍ら始めたのが、近くにあった、戦後は無残に放置されていた馬を供養する「馬頭観音」の整備。

「かつて根岸で競馬をさせてもらった者として申しわけないです。せめて掃除なりともさせてもらって、お世話しなければいけない。・・・それが、残る人生も少ない私のつとめのように思えたのですよ」

174pより引用。

独力で馬頭観音の世話をしていた吉田さんに対し、やがて横浜市や中央競馬会の理解・支援も得られるようになり、中央競馬会から”馬事に関する事務嘱託”の仕事を与えられた。

それはポニーの世話をする仕事で、もともと馬の身体にふれて暮らしたかった吉田さんにとってはうってつけの仕事だった。

「好きな馬を世話して暮せる毎日がほんとうに嬉しい。こういう境遇を迎えることができたのも、馬頭さんのおかげでしょう。有難いことです」

175pより引用。

とは吉田さんの言葉。

馬への想いが、めぐりめぐって幸せを持ってきてくれた、というお話。


この二つ以外にも、こんな切り口あるんだ、というエピソードが多く、個人的にかなり面白い本でした。


おまけ・最近のつまみ読み①「馬、優先主義 四巻」

最近つまみ読みしています。

1997年4月初版

トップジョッキー岡部さんの連載を元にした本。
個人的に競馬にハマり始めた頃の馬ばかり出てくるので、読んでいて楽しい。


おまけ・最近のつまみ読み②「キングダム」

神漫画ですね。
最近好きな巻を読み返してました。
(好きな戦いの巻だけ集めています。)

47巻・2017年7月初版


つい、馬にも注目してしまいます😅

趙国の王都圏への玄関口「列尾」を攻めるあたり。
ディープ級のスピードをもつ馬たち…


キングダムに出てくる馬たち、勇敢ですよね。
サラブレッドの祖先にどこかで繋がっていたりするのかな・・?

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