収支メモの効用〜浅田次郎「競馬どんぶり」を読んで。
浅田次郎氏と競馬。
競馬ファンの間では結構知られていると思うけど、氏は根っからの競馬ファン。この本が書かれた時点で既に30年来の競馬歴。(この本は約20年前に書かれているので、2021年の現在では競馬歴は50年オーバー・・!)
馬主にもなられているようで、時々競馬新聞の馬柱にも「浅田次郎」と載っています。
「競馬どんぶり」は、後輩へのメッセージ。
この本で浅田氏は、自身が30年の競馬歴で得た教訓、競馬を長くつづけるためのチップスを惜しみなく披露しています。

氏曰く、私が本書に書いたことを体得すれば、誰でも私と同じ競馬人生は約束されるであろう、と。
氏は競馬場の一般席で競馬を楽しむ一ファンの立場から、30年をかけ、凱旋門賞のパドックで世界最高のホースマン、シェイク・モハメド殿下と握手を交わし、その際に「ナイス・トゥー・ミート・ユー・ミスター・アサダ!」と声を掛けられる立場になるまで人生のステージを駆け上ったと。そして、モハメド殿下の言葉を「30年もかかって、よくぞここまでやってきたな!」と翻訳したそう。
まさか自分はそんなことまでは望んでいないけど、これからも競馬を楽しみつづけ、できたら氏のように50年以上の競馬ファンを目指したい。
様々なチップス。
この本では、実に様々なチップスが紹介されている。いくつか例を挙げると、
競馬場にはジャケットを着て行け!
→大口の払い戻しを受ける気持ちで臨め。ジャケットを着て行けば、いくら払い戻しを受けても、ポケットに入れれば何とか持ち帰れる。
勝負にはメリハリをつけろ!
→10万円持っていって、各レースに1万円ずつ張るのは愚の骨頂。勝負レースを見分け、自信のあるレースに太く張れ。)
自分のレートで楽しめ!
→分相応の予算で楽しめ。入れる金額が少なくても、ちゃんと予想をしてレースを見ればそれなりに興奮できるのが競馬。)
などなど。
収支メモをつけろ。
紹介されている数あるチップスの中で自分が早速実践したのがこれでした。
大雑把でもいいから、その日の収支を手帳にメモしておいて、年間トータルでどのぐらい負けているか(勝っているか)、知っておくべきだ、というススメです。
氏のアドバイスではそこまで細かくつける必要はないようですが、自分はエクセルを使い、その日の競馬が終わったら新聞に書き込んでおいたレース毎の投資額・回収額を入力しています。
最近では無観客競馬や入場制限の状況下で、PATでの購入がほとんどですが、PATの場合は投票内容が残るので、その記録をそのままエクセルの方にも記録しています。
「収支メモ」の効用はと言うと・・??
これは、やはり負けがこんできた時にブレーキをかけるきっかけにできる、と言うのは大きい。上の「自分のレートで楽しめ」というチップスとの合わせ技になるけど、要は自分の予算という基本的な枠があり、ある一定の時期に負けが重なると、「うーん、これでは来月のG1シーズン楽しめないぞ・・」と気付くことができ、「今週はメーンだけにしておくか」とか、「今週は自信のあるレースがないから見るだけにしておくか」と、自制することができる訳です。
氏も言っていますが、競馬をやめたくなるのは、やはり負けがこんでばかばかしくなる、という理由が大半だと思います。なので、これぐらいは負けても趣味を楽しんだということで許容できる予算を決め、その予算内で遊べているかどうかをいつでも確認できるように収支をつけること、これは長く競馬を楽しむ上で有効な習慣だと思います。
他にお勧めの記録の仕方。
浅田氏のお勧めにはないのですが、自分は競馬場別・月別・グレード別に収支記録を集計できるようにしています。これにより、得意な競馬場や、収支が好調なことが多い月、またはその逆の傾向を掴むことができ、勝負の掛けどころを考えるのに参考にしています。
また、これはG1についてだけですが、自分の本命馬が何で誰が騎乗していたか、そして結果がどうだったかを記録しています。G1となると特に過去のレースをyoutubeで見直したりすることが多いので、何を買っていたか記録しておくことで、当時の感情を思い出し再び楽しめたりします。
例えば、2008年の牡馬クラシック。キャプテントゥーレが勝った皐月賞で自分の本命はベンチャーナイン(騎手は武士沢、16番人気で結果13着)、ダービーはディープスカイが勝ったが、本命はサクセスブロッケン(横山典、3番人気18着)、菊花賞はオウケンブルースリ、本命はヤマニンキングリー(柴山、16番人気9着)と、散々な結果。
ただ、同じ年のオークスは本命トールポピー(池添、4番人気)が直線斜行しながらも勝ってくれ、クラシックのトータルで見るとちょい負けで済みました。
もしよかったらこんな記録のつけ方も参考にどうぞ。
最後に。
この記事のために「競馬どんぶり」を読み返したのですが、これは浅田氏が当時多忙過ぎて、書き下ろす時間は取れず、語り下ろしのものだったんですね。そのせいかもしれませんが、氏の他のエッセイと比べるとやや五月雨式な印象もあるものの、語り下ろしだからこそ伝わってくるほとばしる競馬への情熱もまた感じました。
