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伊集院 静「逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方」を読んだ。

先日、野球ネタで記事を書いた。

昔、大好きだったプロ野球、いつの間にか興味を失っていた、という内容。


この記事を書いて以来、なんとなく、自分の中にくすぶっていた、「松井秀喜はなんで巨人の監督として戻ってこないんだろう?」という疑問について、考えるようになっていた。

前の記事にも書いたけど、自分は松井がメジャーに行ってしまうタイミングよりもっと前に、すでにプロ野球に興味を失っており、巨人戦の結果も気にならないようになっていた。ただ、松井は、生え抜きの四番打者で、その後監督となった原辰徳と同じように、いずれ巨人の監督に就任するのだろうと、ぼんやり考えていた。

「なんで松井は巨人の監督をやらないんだろう?」

松井が巨人の監督として戻って来れば、自分はともかくとして、かなり多くの”プロ野球ファン難民・元巨人ファン”が、再び野球を見るようになるのでは、と思える。

しかし、松井はなかなか戻ってこない。

この疑問について、私はただ漠然と、金満球団の巨人に戻りたくないのかな〜ぐらいに思い、あまり深く考えていなかった。

しかし、もう少し、松井のことを知りたくなり、松井と親交が深いという伊集院静のこの本を読んでみた。

逆風に立つ

はっきり言って、元・巨人ファンと名乗るのも恥ずかしいぐらい、松井のことについて知らないことが多かった。(現役の普通の野球ファンの方にとっては常識の事ばかりなのかもしれない。)

兎にも角にも、松井秀喜という人間の器の大きさについて、知らなかった。

ホームランがでかい、だけの人ではなかった、と、目からウロコ。

数々の慈善活動。ベトナムに里子が十人いて、経済援助をしていること。重病の子どもへのお見舞い。

伊集院静氏の妻が、少し突拍子もない誘いを松井にするエピソードが紹介されている。

それは、マザー・テレサの家に行って、一緒にボランティアをしましょう、という誘いだった。

その誘いに対し、松井は、自分には医療の経験がないので・・と一旦は躊躇するものの、あなたは力があるのだから薪割りでもできるでしょう、と言われ、「それならできますね。素晴らしいことだ。ぜひ行きましょう。」と答える。(その答えはごまかしや冗談ではないことは、前後の多くのエピソードから読み取れる。)

また、この本を読んだあと、2006年に松井がレフトフライを前進ダッシュして取ろうとした際に左手首の橈骨を骨折してしまうシーンを動画で見ると、その痛さに顔を歪める松井は、通常ならもっとのたうち回るほどの痛さのところを、ぐっと我慢し、プロ野球選手たるもの、みっともない姿は見せられない(特に野球選手に憧れる子どもたちに対して)、と必死に痛みに耐えてるようにも見えた。


この本には、松井がなぜ日本に戻ってこないのか、なぜ巨人の監督をやらないのか、答えが書かれているわけではないのだが、いくら日本で十年間世話になったとはいえ、読売グループに請われるままに巨人に戻ることは、何か松井という人間らしくない気がしてきた。

あるいは、松井はひょっとして、一度自分から巨人を出て行った人間として、戻るべきではない、と思っているのかもしれない。

メジャーに行くことを発表した2002年11月1日の記者発表会見では、「日本のファンの方を裏切ることになるかもしれませんが・・」と述べ、不退転の決意を語っている。「決断した以上は、命を懸けて戦ってきます。」とも。

いくら想像しても、松井の真意はわからないが、今度は本人が引退後に書いた本があるようなので、それを読んでみようと思っている。

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