ABFの直近の業績(FY25年の半期決算)とPrimark分社化の可能性
↓本記事は音声でも解説しています。
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ABFは、FY25年の半期決算において、グループ全体の売上高は9,509百万ポンドとなり、前年同期とほぼ同水準でした。しかし、調整後営業利益は835百万ポンドと、前年同期比で10%減少しました。調整後一株当たり利益も8%減の83.6ペンスとなりました。フリーキャッシュフローは27百万ポンドと大幅に減少し、前年同期のマイナス441百万ポンドから改善しましたが、依然として低い水準でした。総投資額は557百万ポンドで、前年同期比2%減でした。中間配当は20.7ペンスで、前年同期並みを維持しました。
グループ全体の財務ハイライトとしては、Primarkが欧州と米国で成長を達成した一方で、英国では消費者の慎重な姿勢が続きました。Primarkの営業利益と利益率の達成は好調で、その低コストモデルが機能していると評価されています。食料品(Grocery)と素材(Ingredients)部門は、長期的成長への複数年にわたる投資の恩恵を受け、好調に推移しました。砂糖(Sugar)部門では、収益性を改善するための運営上および規制上の解決策が明確化され、進行中であると報告されています。グループ全体で、生産能力、機能、新技術への継続的な投資が行われています。強固なバランスシートと規律ある資本配分が維持されており、ネットデットとレバレッジは前年とほぼ同水準でした。
地域別の売上高構成では、英国が36%、欧州・アフリカが39%、米州が13%(米国は9%)、アジア太平洋が12%を占めています。調整後営業利益の減少は、主に砂糖部門での営業損失によるものでした。
以下、各セグメントの詳細です。
1. リテール(Primark)セグメント
Primarkは、H1 2025において、売上高は前年同期比で1%の微増となりましたが、英国およびアイルランドでの売上高が4%減少した一方で、欧州の主要成長市場(フランス・イタリア+4%、イベリア+8%、中東欧+21%、北欧+1%)と米国(+17%)で良好な業績を達成しました。特に米国では2店舗、中東欧では2店舗、フランス・イタリアでは2店舗、イベリアでは1店舗の新規出店がありました。調整後営業利益および利益率は力強く増加しました。これは、商品、デジタル、ブランドへの投資と、厳格なコスト管理に支えられたものです。
2025年の通期目標として、売上高は低一桁成長、営業利益率は2024年とほぼ同水準を目指しています。Primarkは、デジタル顧客エンゲージメントへの投資を強化しており、英国でのクリック&コレクト(C&C)の展開を2025年6月までに完了する予定で、これにより新規顧客の獲得と既存顧客への商品提供範囲の拡大を図り、追加売上を促進しています。また、英国の店舗網を積極的に管理しており、移転、拡張、改装を通じて店舗体験の向上に努めています。将来的には、年間売上高成長の4%から5%を店舗展開プログラムが貢献することを目指しています。コスト最適化と効率化も推進されており、自動化プロジェクトを含むデポネットワークへの投資、サプライチェーンの効率化、セルフチェックアウトの導入による顧客体験の向上と人件費削減、LED照明の導入によるエネルギー消費の大幅削減などが行われています。
Primarkの店舗数は、2025年3月1日時点で全世界で459店舗、総面積は1,905.7万平方フィートに達しています。前年同期比で8店舗の純増がありました。地域別の売上成長率を見ると、Q1とQ2を合わせて英国・アイルランドは-4%でしたが、スペイン・ポルトガルは8%、フランス・イタリアは4%、中東欧は21%、米国は17%と堅調な成長を見せました。
Primarkは、その戦略的優先事項が明確であり、強力で深みのあるリーダーシップチーム、経験豊富な各国マネジメントおよびリテールチームを有しています。サプライチェーンの取り組みの加速と実行に注力しています。
2. 食料品(Grocery)セグメント
食料品セグメントは、H1 2025において売上高が前年同期比で2%増加し、調整後営業利益も8%増加しました。これは、ほとんどの主要な国際ブランドおよび地域ブランドが好調に推移し、効果的なマーケティング、優れた商業的実行、およびオーストラリアでの最近の買収(The Artisanal Group)の統合の恩恵を受けた結果です。
しかし、米国での食用油の売上が正常化したことと、英国のパン部門での販売量が減少したことにより、売上高全体の一部は相殺されました。これらの上半期のパフォーマンスの要因は、通期においても継続すると予想されています。
Allied Bakeries部門については、経営陣が戦略的選択肢を検討しており、財務スポンサーのEndlessとの潜在的な取引について協議中であることが確認されています。
Twiningsは、ブラックティーでの好調を維持しており、ウェルネスティーへの拡大を可能にしています。Ovaltineは、強力なブランドと成長する製品ポートフォリオにより、成長を牽引しています。Tip Topは、オーストラリアでの生産能力を拡大し、フードサービスチャネルでのさらなる成長を可能にしています。米国では、Mazola(食用油ブランド)、Fleischmann’s(ベーキングイーストの市場リーダー)、HighKey(急速に成長するブランド)など、強力な消費者ブランドとフードサービス製品のポートフォリオを有しています。
3. 素材(Ingredients)セグメント
素材セグメントは、H1 2025において売上高が前年同期比で8%増加し、調整後営業利益も8%増加しました。酵母およびベーカリー用素材が、欧州、中南米を中心に好調な成長を遂げました。特にOmega Yeastの買収統合の恩恵を受け、特殊酵母の売上が大きく伸びました。特殊素材部門(ABFI)も、特に酵素やヘルス&ニュートリション分野で好調に推移しました。このセグメントは、通期においても継続的な成長を達成すると予想されています。
ABF Ingredientsは、専門分野の素材市場での成功に向けて体制を整えており、醸造、バイオエタノール、動物栄養、ワイン、蒸留酒などの非ベーカリー特殊酵母分野で成長機会を追求しています。AB Enzymesは、イノベーションと能力への投資が実を結び、売上が大きく伸びています。これは、地域ごとのベーキングラボの設置、商業チームの大幅な拡大、新製品イノベーションの加速、マーケティング活動の強化によるものです。最近では、Ohly(ドイツ)でのスプレードライ生産量の倍増や、Septemes(フランス)でのワクチンアジュバント能力の獲得など、新たな能力への大規模な投資を完了しました。
4. 砂糖(Sugar)セグメント
砂糖セグメントは、H1 2025において売上高は前年同期比で4%減少し、調整後営業利益は114%減と、営業損失を計上しました。これは、主に英国とスペインにおける欧州の砂糖価格の低迷と高いビートコストが大きく影響したためです。バイオエタノール価格の継続的な低迷により、Vivergoでの営業損失も発生しました。さらに、スペイン事業であるAzucareraにおいて、101百万ポンドの非現金減損損失を計上しました。タンザニアと南アフリカでも利益が減少しました。
2025年の砂糖セグメントの調整後営業損失は、最大で40百万ポンドに達すると予想されています。欧州の砂糖市場における需給バランスの再調整は、以前の予想よりも遅いペースで進行しています。
ABFは、財務実績を改善するために、運営上および規制上の解決策に取り組んでいます。2023/24年および2024/25年キャンペーンでは、ビート価格が1トンあたり40ポンドと高水準であったのに対し、2024年下半期には欧州および英国の砂糖価格が急激に下落しました。Azucarera(スペイン)では、事業再編のための様々なシナリオを評価する運営見直しが行われています。Vivergo(英国のバイオエタノール工場)については、欧州のバイオエタノール価格が低迷しており、規制の適用方法がその商業的実現可能性を損なっているとしています。ABFは英国政府と建設的な協議を行っており、規制上の選択肢を模索していますが、これらの協議が成功する保証はなく、必要であればVivergo工場を一時休止または閉鎖する可能性も示唆しています。
一方で、アフリカでの長期的な成長機会に向けては良い位置にいます。タンザニアでは強い需要に応えるための生産能力に投資しており、エスワティニでは生産能力を増強するためのボトルネック解消プロジェクトを進め、精密農業技術を活用して収穫量の向上を図っています。2025年下半期にはタンザニアでの新しい製糖工場の稼働により、収益性の回復が期待されています。ABFは、中期的に砂糖事業の収益性が回復すると確信しています。
5. 農業(Agriculture)セグメント
農業セグメントは、H1 2025において売上高が前年同期比で1%増加しましたが、調整後営業利益は8%減少しました。これは、特殊飼料と添加物事業が好調に推移し、酪農部門も良好な成長を遂げたものの、配合飼料の利益が減少し、Frontier JVからの利益も減少したためです。全体的な利益の減少は、一過性の費用によるものでした。
ABFは、付加価値の高い製品とサービス分野での存在感を高めています。特殊飼料と添加物の強い成長、酪農におけるフルサービス提供の統合と成長、配合飼料の強みを活用した付加価値製品の成長に注力しています。西オーストラリア州の新しい動物飼料工場は、長期的に良い収益を上げられる好位置にあります。
リテール部門(Primark)の売却が企業価値を生み出す理由
リテール部門の売却がABFの企業価値を生み出すと考えられる主な理由は以下の通りです。
1. 潜在的な企業価値の解放と評価のアンロック
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