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Glanbiaの事業ポートフォリオの変遷



アイルランドに本社を置くグランビア(Glanbia)は、約20年の間にその事業ポートフォリオを劇的に転換させてきました。2000年頃には伝統的な乳製品を中心とする食品・農業企業でしたが、現在ではグローバルな栄養食品企業として高付加価値分野に重点を置いています。この変化は、合弁事業や事業売却、積極的な企業買収を組み合わせることで実現されており、その結果、売上や収益性、企業価値の面でも大きな飛躍を遂げています。この記事では、2000年頃と現在それぞれにおけるグランビアの事業ポートフォリオと主な財務数値を比較し、ポートフォリオ戦略の入れ替え手法の違いとその理由を検討します。また、成長戦略として行われた買収がグランビアのバリューチェーン上のどの部分を強化し、なぜそれが必要だったのかについても解説します。

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2000年頃の事業ポートフォリオと財務規模

乳製品中心の伝統的事業: 2000年当時、グランビアはアイルランドの乳業協同組合から生まれた食品企業として、事業ポートフォリオの大半を乳製品関連に依存していました。1997年にアヴォンモア食品社とウォーターフォード食品社という2つの協同組合系企業が合併して誕生し、1999年に社名を「Glanbia(ゲール語で“純粋な食べ物”の意)」へと変更した同社は、伝統的な酪農・食品事業を幅広く展開していたのです。主力はチーズやバター、乳清(ホエイ)などの乳製品素材ビジネスで、アイルランドおよび米国で大規模なチーズ製造・乳原料加工を行い、食品メーカー向けにこれら乳原料を供給していました。また国内外の市場に向けて、自社で製造したチーズや乳清由来のタンパク質を輸出する事業も展開しており、2000年前後にはすでにアメリカ合衆国ウィスコンシン州やアイダホ州におけるチーズ生産拠点を有していました。
消費者向け食品と農業関連事業: 一方で、消費者向け食品ビジネスも事業の大きな柱でした。アイルランド市場向けには牛乳やバター、ヨーグルトといった生鮮乳製品のブランド(例:アヴォンモア牛乳など)を展開し、国内で高い市場占有率を持っていました。さらに、チルド食品(スープなど)やチーズの自社ブランド販売も行い、アイルランド国内では生鮮乳製品分野で圧倒的なトップブランドを築いていました。イギリス市場にも進出し、現地スーパー向けに小売用チーズの供給を行っており、2000年前後にはイギリス小売チーズ市場で第2位のサプライヤーとなっていたことが報告されています。加えて、当時グランビアは食品流通にも関与しており、フードサービス事業としてイギリスで外食産業向けのチルド食品流通(食材卸)を手掛けていました。
グランビアの特徴の一つは、農業協同組合発祥の企業であることから、農業関連事業(アグリビジネス)も保有していた点です。具体的には、酪農農家からの生乳集荷、家畜用飼料の製造・販売、農業資材の供給(肥料や種子の販売)、さらには畑作用穀物の集荷・販売や養豚事業まで、多岐にわたる農家向け事業を展開していました。このアグリビジネス部門はアイルランド国内の農家ネットワークと密接に結びついており、同社のルーツである協同組合員(酪農家)との関係維持に重要な役割を果たしていました。
低収益事業の存在: 2000年頃のグランビアには、一部に採算の厳しい事業も含まれていました。その代表が食肉加工事業です。当時、イギリスおよびアイルランドで培っていた食肉・加工肉分野では、例えば「Roscrea」ブランドのハム・ベーコンなど食肉加工品を製造・販売していました。しかし市場競争の激化や口蹄疫問題なども影響して、この英国向け食肉事業は収益面で苦戦していたと報告されています。事実、2000年前後には英国の食肉加工部門は赤字を計上しており、グランビア経営陣は戦略見直しを迫られていました。

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2000年当時の業績規模: グランビアの2000年度の連結売上高は約24億ユーロに達していました。事業別に見ると、約半分が消費者向け食品部門(乳製品・食肉を含む)からの売上で、次いで乳製品素材(主にチーズ・乳原料)部門が約4割を占め、残りをアグリビジネスが担う構成でした。しかし利益面では、低採算事業の存在から全体の収益率は高くありませんでした。例えば2000年のEBITDA(利払い・税引前償却前利益)は約1億3,900万ユーロで、EBITDAマージンは約5.8%にとどまっていました。営業利益率も3%台と低く、特に消費者向け食品部門は英国食肉事業の低迷により利益率1%程度と苦戦していたことが示されています。一方、チーズや乳原料を扱う乳製品素材部門は比較的堅調で、同部門だけを見ると営業利益率約6%を確保していました。とはいえ、現在と比べれば当時のグランビアは総じて薄利体質の食品企業だったと言えます。
時価総額の規模: 事業ポートフォリオが伝統的かつ収益率が低かったことは、市場からの評価にも表れていました。グランビアの株価は1999年~2000年に低迷し、2000年末時点の株価は1株あたり0.20ユーロ台にまで落ち込んでいます。これに基づく当時の時価総額は数億ユーロ規模(およそ数百億円程度)に過ぎず、現在と比べると桁違いに小さいものでした。実際、合併直後の1997年時点で約9億7,000万ユーロだった株式時価総額は、その後の業績停滞もあり2000年までに大幅に目減りしています。2001年には経営改革の成果で業績が持ち直し株価も反発しましたが、それでも当時の企業価値は現在の十分の一以下でした。このように、2000年頃のグランビアは売上規模こそ大きかったものの、事業構成は低付加価値分野に偏重し、利益率や株式市場での評価が低い状態だったのです。

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