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タランティーノが選んだ「21世紀ベスト映画」

クエンティン・タランティーノほど「映画を語る資格のある監督」は少ない。引用と暴力、執拗なまでの映画愛で世界を振り回してきた男が、21世紀に生まれた作品のなかから「ベスト20」を選んだという。

基準はシンプル。各監督につき一作品のみ。

選ばれた20本は、彼の映画観をそのまま映した鏡だ。スタジオ映画のダイナミズム。芸術映画の静謐。娯楽と狂気、政治性とユーモア。

本数はわずか20だが、この短いリストに現代映画のすべてが詰まっている。彼が語った順序のまま、その核心を追ってみる。


▽おすすめ note


1位:Black Hawk Down

この戦争映画は、Ridley Scott の手によって、21世紀映画の頂点として挙げられた。

タランティーノはこの作品を「映像の暴力と緊張感を最後まで維持したまま、観客の心を支配する”圧倒的傑作”」と絶賛している。

現実の戦場の混沌と、兵士たちの恐怖、そして死と生の境界──カメラはそれを容赦なく突きつける。観る者を揺さぶり、映画が持つ「暴力のリアリティ」を突き詰めた作品だといえる。


2位:Toy Story 3

子ども向けアニメーションというレッテルを軽々と超えたこの作品を、タランティーノは “ほぼ完璧な映画” と評した。

ラスト5分の強烈なエモーションが、彼の心を深く揺さぶったという。

三部作の締めとして、友情や別れ、成長と喪失のテーマが重く、しかし温かく描かれる。その普遍的なテーマとアニメーションという手法のギャップが、21世紀ならではの映画体験をもたらす。


3位:Lost in Translation

都会の喧騒と孤独、人と人のすれ違い。その静かな余白を映すこの作品を、タランティーノは特別な一本と位置づけた。

脚本、演出、音楽、俳優たちの間に漂う“言葉にならない何か”が、映画全体を包む。その静けさと余韻は、暴力や派手な演出では決して得られない。

21世紀映画の多様さと、感情の奥深さを感じさせる。


4位:Dunkirk

Christopher Nolan によるこの戦争映画は、時間軸と映像表現を駆使し、観客に臨場感と圧迫感を与える。

タランティーノはこの作品について語るたびに、「観直すたびにその衝撃が増した」と語っている。

戦場の恐怖、逃走、脱出、それらが時間とともに錯綜する。観るたびに違う印象を与える構造。

21世紀映画が獲得した新たな“映画としてのポテンシャル”を強く示す一本だ。


5位:There Will Be Blood

欲望と狂気。それがこの映画を象徴するテーマだ。

タランティーノは堂々たる叙事と、それを支える演出、美術、俳優の存在感を高く評価している。

資本主義の暗部、人間の醜さと業(カルマ)のようなものを映し出すこの作品は、「娯楽」を超えて、「思想」として映画を提示する。


6位:Zodiac

Zodiac(2007年/監督:David Fincher)は、1970年代後半〜80年代にかけて実在した未解決連続殺人事件=ゾディアック事件を題材にしたサスペンス作品。

細部にわたる再現、じわじわと募る狂気、そして果てなき真実の追求が、見る者に息苦しいほどのリアルを与える。

批評家からは「情報時代のための手続き型スリラー」「事実と狂気の境界に挑む映画」として高く評価されてきた。


7位:Unstoppable

Unstoppable(2010年/監督:Tony Scott)は脱線の危機に瀕した無人貨物列車を、熟練エンジニアと新米運転士が協力して止めようとする“列車スリラー”。

スピード、迫りくる破滅、そして限界ギリギリで踏みとどまろうとする人間の葛藤、映画館級のテンションが全編にわたって持続する。

タランティーノがこの映画を7位に選んだのは、たぶん“止まらない緊張感”にある。映画は静的にも語れるが、この作品は“動き”そのものを通じて観客を巻き込む。

娯楽性と恐怖のバランスが絶妙な一作だ。


8位:Mad Max: Fury Road

Mad Max: Fury Road(2015年/監督:George Miller)は荒廃した世界を舞台にしたポストアポカリプス系アクション。

銃声と爆音、砂塵に覆われた大地、終始ハイスピードで展開する肉体とマシンの狂宴。アクション映画の限界点を更新した、21世紀のアクション映画の金字塔だ。

タランティーノにとって、この映画は“暴力美学”と“運動する映画”の理想形なのだろう。静ではなく動。生々しい映像と身体感。

感覚だけで観る映画の持つ底知れぬ力を、彼はこの作品に見たのだと思う。


9位:Shaun of the Dead

Shaun of the Dead(2004年/監督:Edgar Wright)は英国発、ゾンビ+コメディという異色のゾンビ映画。

笑いと恐怖、日常と非日常が不器用に交錯するユーモアとスリルの絶妙なブレンドだ。皮肉やブラックユーモアと共に、人間の“どうしようもなさ”と“生きる”という本能をあぶり出す。

この作品を9位に選ぶタランティーノの柔軟さには恐れ入る。彼は暴力と狂気だけを愛するわけではない。ジャンルやトーンを越えて「映画としての可能性」を信じているのだろう。

そしてこのコメディゾンビ映画の中にさえ、その可能性を見ている。


10位:Midnight in Paris

Midnight in Paris(2011年/監督:Woody Allen)は、現代のパリと1920年代のパリを時間を越えて行き来するロマンティックなタイムトラベル物語。

ノスタルジーと哀愁、美しい景観と夢。過去と今を交錯させる、穏やかで優雅な映画だ。

タランティーノがこの作品を10位に挙げるのは、“狂気や暴力”だけでは映画は完結しない、と思っているからだろう。

この静かで詩的な作品が、彼の「映画とは何か」という問いに対する別の答えになっているのだ


11位 Battle Royale

日本映画。サバイバル/暴力と狂気の究極。タランティーノが強い敬意を表して選出。

12位 Big Bad Wolves

衝撃的な脚本と大胆な演出。ジャンル映画としての振り切りが評価されたようだ。

13位 Jackass: The Movie

衝撃とユーモアを体現する映画。彼にとって“映画ならではの狂気と自由”を感じさせる一本。

14位 The School of Rock

コメディ/ミュージカル的なノリで、映画の楽しさを素直に表現。タランティーノのジャンルへの開かれた感性が見える。

15位 The Passion of the Christ

宗教/暴力表現の過激さ。衝撃性と映像の力を敢えて評価する彼らしいチョイス。

16位 The Devil's Rejects

ホラー/アウトロー映画。暴力と不気味さの中に映画的リアリズムを見出した作品。

17位 Chocolate

東洋のアクション/武術映画。ジャンル、国境を越えたタランティーノの映画愛が反映された選択。

18位 Moneyball

スポーツ × 社会ドラマ。暴力や過激さではなく、“知性”“構造”“リアリティ”を評価した作品。

19位 Cabin Fever

ホラー/スプラッターで、恐怖と不快さを徹底追求する映画。映画の持つ破壊性を肯定。

20位 West Side Story

ミュージカル/古典的エンタメ。ジャンルや年代を問わず“映画としての多様性”を尊重する彼の懐の深さ。


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