日本経済悪夢の2025年となる恐れも 今回の選挙で本当に勝った政党と逆説としての最悪シナリオ 後編
皆さん、こんにちは。前回からの続きです。部分連合を組むと見られる積極財政の国民民主と緊縮財政の財務省との間で、いずれ石破政権は政権運営に行き詰まるという予測の下、最悪のシナリオとして自民・公明・立憲の大連立を組むという日本経済にとって最悪のシナリオを描いてみました。この動きは今回の選挙の民意に反するものであることを示し、それに対抗する動きがどのような震源地で発生しうるのか確認をしてみたいと思います。
<前回の記事>
本当に勝ったのは誰だ?
獲得議席数と比例得票数の比較
政治とカネという争点ずらしと非公認・比例との重複立候補禁止という二重にずれた構図の中で、投票先を選びにくかった人も多かったでしょうが、実は多くの有権者が自分たちの経済や暮らしを重視して投票を行ったことが推測できるデータがあります。
図1と図2を比較してみましょう。図1は各党の獲得議席数です。よく報道で使われているのは、選挙前の勢力に対して今回の獲得議席数を比較するものですが、今回は純粋に前回2021年の選挙での獲得議席数と比較しました。一方で、図2は比例代表における各党の獲得投票数です。


両者を比較してみると、自民・公明・維新・共産が支持を落とし、立憲民主・国民民主・れいわが支持を高めたという大きな構図は変わりませんが、詳しく数字を見てみると両者には微妙に差があることに気が付かれたかと思います。
偶然かもしれませんが、自民党の下落率は両方とも-26.8%で完全一致。共産党もほぼ-20%で同じような数値となっています。また、下落組の中でも公明党は議席獲得の下落率の方がやや高く、維新と社民党は比例代表の得票の下落率の方が高くなっています。これは維新が大阪府の全小選挙区で公明党を蹴散らして議席獲得をしたことと、社民党の唯一の議席が沖縄県の小選挙区1つのみであったことから説明が可能です。
実はまったく勝っていない立憲民主
もっと注目すべきは、今回の勝ち組である立憲民主党、国民民主党、そしてれいわ新選組の数字です。国民民主党とれいわ新選組が、比例獲得票数と議席獲得数が共に大幅に伸ばしているのに対して今回獲得議席を52ともっとも伸ばした立憲民主党が、実は比例獲得数はわずか0.6%しか伸びていないという現実です。
マスコミでは立憲が勝ったともてはやされており、野田代表も特別国会での首班指名であわよくば一発逆転を狙っているかに見えますが、実は立憲民主は今回ほとんど勝っていないのです。
もう少し詳しく解説すると、国民民主党とれいわ新選組はすべての小選挙区で候補者を立てられているわけではありません。東京およびその近郊と愛知県では複数の候補者を立てていますが、ほとんどの道府県では良くても擁立できた候補者は1名で、多くの道府県では一人も小選挙区の候補者を立てられていません。それどころか、せっかく比例代表で獲得できた票も名簿掲載の候補者人が足りずに、3議席失っている始末です。れいわも候補者を立てている小選挙区はまだまだ少なく、状況は同じです。
このような状況から、有権者からすると石破政権にはNOを突きつけたいが、小選挙区では立憲以外の選択肢がなく、比例代表では国民生活を重視している国民民主やれいわに、停滞してきた日本経済を新しい風で立て直してくれることを期待して参政や日本保守に投票したことが見て取れます。つまり、自民党から逃げた票の行き先としては、小選挙区を含めたの立憲の議席数54.2%増ではなく、比例代表の得票0.6%増の方を見るべきなのです。
経済を軸に政界再編の可能性
では、もう一度比例投票先を整理してみると図3のようになります。前回から500万票ほど減らした自民党が1,458万票に対して、積極的な経済財政政策を打ち出す国民民主・れいわ・参政・日本保守の4党で合計1,299万票と、立憲民主の1,156万を150万票近く上回っていたのです。この有権者の支持と期待は無視できるものではなく、政界再編の大きな原動力となるでしょう。

そうなると、積極的な経済財政政策が1つの極になれるとして、問題は大連立に対抗する軸ができるのかどうかです。もちろんそのためには、自民党が割れる必要があります。野田体制の立憲とは政策がまったく相いれず現執行部と確執のある、安倍派議員、自民党総裁選で高市氏を支持したグループ、積極財政議連等です。もちろん、これらはメンバーが被っていますし、実際に自民党が割れるような騒動となれば、さまざまな思惑や打算がうごめくことは間違いありません。
大連立に対抗する自民党内反支流派は?
では、自民・公明・立憲大連立に対抗すべく勢力が、自民党内にどれくらいいるのかを予想してみましょう。
まず一番に注目したいのが、自民党内の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の存在です。この議員連盟は派閥横断的に構成されており、基本的に衆議院当選4回目、参議院当選2回目以下の議員で構成されています。

衆議院選挙前は96名でしたが、旧安倍派メンバーの多いこの会は、比例重複立候補を認めない石破政権による妨害で29名の議員を失って67名となってしまいました。しかしながら、もっと当選回数を重ねたベテランの中にも積極財政推進派の議員はいますし、この塊こそは、増税・増負担に向かう大連立に真っ向から立ち向かう勢力であってほしいところです。
次に今回の衆議院議員選挙を経て変化した派閥の勢力図を見てみましょう。
安倍・麻生・茂木の反主流派は、政治資金報告書不記載で公認や重複立候補ができなかった議員が旧安倍派に集中しているため、今回の選挙で勢力は200から151に減らしました。一方で岸田・二階・森山派に加えて無所属に分類される菅グループと旧石破派を見てみると、こちらも171から139へと30議席ほど減らしているのです。もちろん、無派閥の中には高市氏なども含まれており、一方で安倍・麻生・茂木派の中にも総裁選で石破氏に投票した議員も多くいるので、このままの勢力ではありません。ただ、どのくらいの人数が固まって動き得るのか予測する手掛かりにはなります。

この他にも、消費減税であれば維新も公約に掲げていますし、立憲民主党内にも、前回の代表選で消費税5%を主張した吉田晴美氏や、江田憲司氏、原口一博氏など減税派の議員も一定数の勢力を持っています。そして永田町では誰もが来年の7月の参議院議員選挙に向けて動き始めています。
なんだかんだ言いつつ、自民党が割れることなんであるものか、権力を自分で手放すリスクは誰もとらないという意見もあるでしょう。しかしこのままでは、現在の自民党主流派も立憲民主党も行き詰まりは明らかです。11月11日に召集される特別国会や補正予算は国民民主や維新の直接的・間接的協力で乗り切るにしても、参議院選挙に向けてこの部分連合が乗り切れる見込みは皆無です。たとえ、自民党総裁の顔を林芳正氏や加藤勝信氏にすげかえたとしても変わりはないでしょう。そもそもマスコミが騒いだような裏金うんぬんではなく、政策的に石破政権の路線にNOが突き付けられたことは明白だからです。
むしろ、今回の選挙で見えた1,300万票に近い民意をどうやって取り込むか、今回の記事で取り上げた政治グループの方々には是非真剣に考えていただきたいと思います。
まだまだ続く日本経済再生のための戦い
さて、いよいよ来週は米国大統領選挙です。この結果も日本の政治の今後の展開に大きな影響を与えるものですので、しっかりと注目をしていきたいと思います。
石破政権はすでに死に体ではあるものの、まだまだ終わったわけではないので、有権者は根拠あるNoを突きつけなければならなりません。この動きを止めないためにも、有権者はしっかりとした理論武装を行わなければなりません。このためにも、ジュース1本のお値段で、しっかりとした経済知識が学べる「選挙に行く前に知っておきたい経済のしくみ」を引き続きよろしくお願いします!
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