月2回の恋人たち
第9章 - 結婚式でのカップル成熟
土曜日の午前11時。ホテルの結婚式場で、ゆめは健太と並んで座っていた。
由香の結婚式。大学時代からの親友が、ついに結婚する日がやってきた。
「緊張するね」
健太が小さく呟いた。ゆめの友人たちと会うのは初めてだった。
「大丈夫。みんな優しいから」
実際、受付で由香の大学友達に会った時、みんな健太を温かく迎えてくれた。「ゆめちゃんの彼氏さんね」「素敵な人!」「ゆめちゃん、良かったじゃん」。
11時30分。挙式が始まった。
純白のウェディングドレスを着た由香が、父親と腕を組んで入場してきた。ゆめは思わず涙ぐんだ。大学時代から知っている由香が、こんなに綺麗に見えるなんて。
新郎の田中さんも、緊張しながらも幸せそうな顔をしていた。
指輪交換の場面で、ゆめは健太の手をそっと握った。健太も、ゆめの手を握り返してくれた。
「愛する人と、人生を共にすることを誓いますか?」
牧師の言葉が、ゆめの心に響いた。愛する人と人生を共にする。それがどういうことなのか、由香と田中さんを見ていると、なんとなく理解できる気がした。
12時30分。披露宴が始まった。
ゆめと健太は、大学時代の友人たちと同じテーブルに座った。
「健太さん、お仕事は何をされてるんですか?」
友人の一人が聞いた。
「カフェの店長をしています。将来は独立を考えています」
「素敵ですね。ゆめちゃんの投資のお仕事はどう思われます?」
「すごいと思います。僕にはできないことなので、尊敬しています」
健太の答えに、友人たちが感心していた。ゆめは嬉しかった。健太が自分のことを誇らしげに話してくれる。
1時。新郎新婦のスピーチが始まった。
「由香と出会って、人生が変わりました」
田中さんの言葉に、会場がしんと静まった。
「一人では乗り越えられなかったことも、由香がいてくれたから頑張れました。これから二人で、新しい人生を歩んでいきます」
ゆめは健太を見た。健太も、ゆめを見ていた。二人の間に、何かが通じ合った。
由香のスピーチも感動的だった。
「田中さんと一緒にいると、自分らしくいられます。無理をしなくても、そのままの自分を受け入れてくれる人と出会えて、本当に幸せです」
ゆめは自分の関係を振り返った。健太も、自分をそのまま受け入れてくれる人だった。投資の仕事も、ちょっと変わった価値観も、全部理解してくれる。
2時30分。歓談の時間に、由香がテーブルに挨拶に来た。
「ゆめちゃん、来てくれてありがとう!」
「おめでとう!とても素敵な式だった」
「健太さんも、ありがとうございます。ゆめちゃんがいつも嬉しそうに話してくれるので」
健太が照れながら答えた。
「こちらこそ、お招きいただいて。とても感動しました」
「ゆめちゃん、幸せそうね」
由香が小さく耳打ちした。
「ありがとう。由香も本当に幸せそう」
「お互い、良い人と出会えたわね」
3時30分。式が終わって、ホテルのロビーで友人たちと写真を撮った。
健太も一緒に写真に入ってくれて、みんなで記念撮影。ゆめは満足だった。健太が自分の友人たちに受け入れられている。
「今度、みんなでお食事会しましょう」
友人の一人が提案した。
「ぜひ。健太さんも一緒に」
「ありがとうございます」
4時。ホテルを出て、健太と二人で歩いた。
「どうだった?」
「とても良い式だった。由香さん、本当に幸せそうだったね」
「うん。田中さんも素敵だった」
「ゆめの友達も、みんな優しくて良い人たちだね」
「健太のことも気に入ってくれたみたい」
「良かった。緊張したけど、楽しかった」
4時30分。カフェで休憩しながら、結婚式のことを振り返った。
「結婚式って、こんなに感動するものなんだね」
健太が言った。
「私も初めてちゃんと参列したけど、想像以上だった」
「二人の愛が伝わってきた」
「そうだね。見てるだけで幸せな気持ちになった」
しばらく沈黙があった。でも、気まずい沈黙じゃなかった。
「ゆめは、結婚式どんなのがいい?」
健太が少し恥ずかしそうに聞いた。
「え?」
「いや、まだ先の話だけど。今日見てて、なんとなく聞いてみたくなって」
ゆめは少し考えた。
「あんまり大きくなくてもいいかな。家族と親しい友人だけで」
「俺も同じ。アットホームな感じがいい」
「でも、まだ先の話だよね」
「うん、もちろん。でも、想像はしちゃう」
お互いの将来への想像が、少し具体的になった瞬間だった。
5時30分。健太の車で、ゆめの実家に向かった。
「今日、うちの両親に会ってもらうのは大丈夫?」
車の中で、ゆめが改めて確認した。
「もちろん。むしろ、ちゃんと挨拶したかったから」
「結婚式の後だから、なんか特別な意味があるみたいで恥ずかしい」
「でも、良いタイミングだと思う。俺も、今日の式を見て、ちゃんとした気持ちになった」
6時。ゆめの実家に到着した。
「お疲れさま」
母親が玄関で迎えてくれた。
「お疲れさまです。田中健太と申します」
健太が丁寧に挨拶した。
「こちらこそ、いつもゆめがお世話になっております」
リビングに通されて、父親とも挨拶を交わした。
「結婚式、どうだった?」
父親が聞いた。
「とても素敵な式でした。お二人の愛が伝わってきて」
健太が答えた。
「そうか。ゆめも感動してたみたいだな」
「はい。とても良い経験でした」
6時30分。夕食を一緒に食べながら、色々な話をした。
「健太さんは、将来どんなことを考えてるの?」
母親が聞いた。
「カフェを開業したいと思っています。今、資金を貯めているところです」
「そうなの。大変でしょうね」
「でも、やりがいがあります。ゆめさんの投資の頑張りを見ていると、僕も頑張らないとって思います」
父親が頷いた。
「お互いに刺激し合えるのは良いことだ」
「はい。ゆめさんからは、いつも学ぶことがあります」
ゆめは嬉しかった。健太が両親の前でも、自分のことを大切に話してくれる。
7時30分。食事を終えて、リビングでお茶を飲んだ。
「今日の結婚式で、何か感じることがありましたか?」
母親が聞いた。
「はい。愛する人と人生を共にするということの意味を、改めて考えました」
健太の答えに、両親が感心していた。
「ゆめのことを、どう思ってますか?」
父親が直接的に聞いた。
「とても大切に思っています。ゆめさんの頑張りを支えたいし、僕自身も成長したいです」
「将来のことは、どう考えてますか?」
「まだ具体的ではありませんが、いつかは結婚して、家庭を築きたいと思っています」
健太の言葉に、ゆめの胸がドキッとした。結婚式の後で、こういう話をするのは、なんだか運命的な感じがした。
8時30分。健太が帰る時間になった。
「今日は、お忙しい中ありがとうございました」
健太が丁寧にお礼を言った。
「こちらこそ。また、ゆっくり遊びに来てください」
母親が言った。
「ゆめをよろしくお願いします」
父親も握手をしてくれた。
「はい。大切にします」
9時。健太を見送った後、ゆめは両親と話した。
「どうだった?」
「とても良い青年ね。真面目で、ゆめのことを大切に思ってくれてるのがわかる」
母親が言った。
「俺も好印象だ。しっかりした考えを持ってる」
父親も頷いた。
「ゆめも幸せそうだしな」
「ありがとう」
ゆめは安堵した。両親も健太を気に入ってくれた。
10時。自分の部屋で、ゆめは今日という日を振り返っていた。
由香の結婚式で感じた感動。健太と一緒に将来を想像したこと。そして、両親に健太を紹介できたこと。
すべてが完璧だった。
健太からLINEが来た。
『今日は本当にありがとう。結婚式も、ご両親との時間も、とても良い経験だった』
『こちらこそ、ありがとう。両親も健太のことをとても気に入ってたよ』
『良かった。今日で、僕たちの将来がより具体的に見えてきた気がする』
『私も同じ。由香の結婚式を見て、色々考えることがあった』
『また今度、ゆっくり話そう』
『うん。おやすみ』
『おやすみ』
11時。ベッドに入って、ゆめは今日の出来事を整理していた。
結婚式で見た、愛し合う二人の姿。健太と想像した、自分たちの将来。両親に認められた、健太との関係。
すべてが、ゆめたちの関係を次のステージに押し上げてくれた気がした。
まだ具体的に結婚を決めたわけじゃない。でも、その可能性が現実味を帯びてきた。
健太となら、幸せな家庭を築けるかもしれない。お互いを支え合い、お互いの夢を応援し合い、一緒に成長していく関係。
由香と田中さんのような、素敵な夫婦になれるかもしれない。
そんなことを考えながら、ゆめは眠りについた。
明日からも、投資と恋愛の両立。でも今は、将来への希望でいっぱいだった。
健太との未来が、少しずつ形になってきている。
それは、とても幸せなことだった。
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