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土台と遊び心。私を形作る4つのファッションブランド

私が服を購入する際に贔屓している、4つのファッションブランドがある。以前の記事でも少し触れたが、今回はその詳細を綴ってみたい。


① ONWARD(オンワード)―クローゼットの骨組みを作る、安心の集合体
最も長く付き合い、私のクローゼットの骨組みとなっているブランドたちだ。
いきなり特定のブランドではなく、オンワード樫山のブランド群という「集合体」を挙げるのは恐縮だが、私の中ではこれらがオンワードという一つのブランドのようなものなので、ご容赦いただきたい。

魅力は、地方住まいでも実店舗で購入できる取扱先の多さ、サイズバリエーションの広さ、そして体型の気になる部分をきれいに補正してくれる確かな作りだ。デザインに程よい遊び心が含まれているのも嬉しい。
実店舗の多さは、そのまま「試着のしやすさ」に直結している。たとえ最寄りの店舗に目当ての服がなくても、オンラインで選んで店舗に取り寄せる「クリック&トライ」という仕組みがある。これを使えば、ブランドの垣根を越えた試着が可能だ。たとえば、大型量販店に入っている「anySiS」で「組曲」を試着する、といった自由な買い方ができるのが本当にありがたい。

また、断捨離のしやすさも魅力のひとつだ。「グリーンポイント」という仕組みがあり、役目を終えた服を対応店舗へ持ち込むと、系列ブランドで使えるポイントが付与され、服は繊維へとリサイクルされる。手放す際の心の負担感を減らしてくれる上、自分の服がまた誰かの役に立つ。純粋に服を買うことが好きだからこそ、この制度があると「手放す服があれば、欲しい服をお得に買える」と前向きに捉えられ、別れを告げる服を選出しやすくなる。

親戚にもオンワード贔屓が多く、実家住まいの頃に連れて行かれる店はたいていこの系列だった。今でも譲り受ける服の多くはオンワードのものだ。
個人的によく買うのは「23区」や「J.Press」で、「ICB」も好みだ。ブランドが異なっても、同じオンワードという根から生えた樹々であるため、相互の相性がよく、組み合わせをイメージしやすい。
23区は私服寄り、J.Pressは行事寄り、ICBは上品なオフィスカジュアル、と頭の中で分類しているが、いずれもベーシック。だからこそ、後述する他のブランドを引き立て、私好みの「ほどほどにかっちりしたカジュアル」スタイルをしっかりと支えてくれる。


② LACOSTE(ラコステ)―機能美とコレクター心をくすぐる、上品なカジュアル

フランスのテニス選手が始めたブランドで、ポロシャツの創出で有名だが、私はアウター、ニット、あるいはバッグやベルトといった小物類に惹かれることが多い。
ほとんど形が変わらない定番がある一方で、絶妙にトレンドを取り入れた、発色の美しい品を提示することもある。ブランドの象徴であるワニのイメージもあり、鮮やかな緑色の服飾小物を買いたいなら、ラコステ以外に選択肢はないと思い定めているほどだ。
また、テニス(ルネ・ラコステ)やゴルフ(カトリーヌ・ラコステ)といったブランドの歴史を感じさせるテキスタイルや、ビビッドなワンピースが登場すると、つい手が伸びてしまう。実際、私がラコステに注目し始めたのはこうした王道ではないデザインの服からだった。そんなわけで、定番のポロシャツワンピースは「いつか欲しいな」と思いつつ、いつも後回しにしてしまっている。
今、特に重宝しているのは、薄手のクルーネックニットと防水性の高いフード付きアウターだ。特に後者は機能性の高さとデザインが見事に両立しており、あまりの使い勝手の良さに色違いで2着購入したほど。カジュアルでありながら、他のブランドと大きく喧嘩しないのが良い。
なお、象徴的なワニのロゴには、服の生地と同色のものがある。それを選べば全体のコーディネートに馴染みやすいし、何よりクローゼットにさまざまな色のワニが存在すること自体が、私のコレクター的楽しみを満たしてくれる。


ここまでは、私の装いのベースとなる2つのブランドを紹介した。ここからは、私のクローゼットに心地よい「遊び心」を加え、心に火を灯してくれる2つのブランドについて語りたい。


③ MAXMARA(マックスマーラ)―境界線のブーツから始まった、思想が響くブランド

素敵な服や小物があるなと前から思っていたものの、なんだかすごいお値段の重厚なコートがスポットライトを浴び、近寄りづらいオーラを放っていたブランド。当初は外から覗くだけで、店舗の内側に入ることを避けていた。
だがある時、百貨店内の店舗と通路の境界線に、一足のブーツが置かれていた。黒のショートブーツで、ヒールの高さといい、甲に入ったステッチのデザインといい、ちょうどよくおしゃれで、ちょうどよく格好良かった。素早く値札を確認し、「いつもの価格帯より高いが、なんとか買えそうだ」と判断して、さっとその場を離れた。勢いで買う価格ではなかったのだ。
それから何回か百貨店に寄っては、別の用事があるふりをして店舗の前を通り過ぎ、そのブーツを横目で眺めていた。やっぱり素敵だ。「ブーツ詣で」が3回繰り返されたとき、試着だけでもしてみようと、ようやく店舗の方に声をかけた。もちろん、その靴は今、私の玄関に並んでいる。

この時点では靴を入手したことだけに満足し、ブランドそのものへの興味はそこまで高くなかった。だが、日々厚い靴下を履いて靴を慣らしているうちにどんどん愛着が湧き、ブランドについて知りたくなった。ブーツを入れる靴箱のデザイン(グレー地に蝶のロゴが全面に散る引き出し式)や、靴と同時に手渡されたコレクションブックにときめいたのも、その気持ちを後押しした。
サイトにアクセスして過去のコレクションを流し見するようになり、ときどき価格を確認しては正気に戻ってページを閉じた。
そんな私が「やはり服も欲しい」と思うようになったのは、あるシーズンのコレクション説明がきっかけだった。なんと、そこには私が敬愛する思想家の言葉が引用されていたのだ。高名な人物とはいえ、ファッションと私の好きな思想がここで交わるとはつゆほども想像しておらず、大きな衝撃を受けた。自分が大切にしている価値観を引用するブランドなら、間違いなく信頼できるし、お守りのようにそばに置きたいと思えたのだ。

マックスマーラは、イタリアの働く女性のために生まれたブランドで、海外の政治家が着ていることでも知られている。本ラインはかなり上質かつ高級で、お手入れや他の服との相性の面で私の手に負えないものが多い。そのため、私は「Weekend Max Mara」と「MAXMARA STUDIO」を中心に選んでいる。初めて買ったブーツも「Weekend」のものだ。
服の場合、私の体型では裾上げなどのお直しが必須となるが、それでも手に入れたいと思わせる力がある。特にWeekendは稚気にあふれた遊び心を宿したコレクションが発表されることが多く、コラボ先も魅力的であるため、いつでも私の財布の紐を緩めにかかってくる。


④ MUVEIL(ミュヴェール)―失われた愛着の先に出会った、心躍らせる薬味
かつて、オンワード樫山に「suivi.(スィヴィ)」というブランドがあった。オリジナルテキスタイルやボタン、ステッチに至るまで、こだわり抜かれた可愛らしさが大好きだったが、残念ながら2010年ごろに終了してしまった。当時私は学生で、これから就職するという時だった。「働き始めたら、suivi.の新作を思いっきり買う!」という夢は叶わないと知り、打ちのめされたことを今でも覚えている。
デザイナーが同系列の「組曲」に移ったという噂を聞き、その後は組曲の中にsuivi.の面影を探しては、喪失感を紛らわせていた。そんな私の心を、本当の意味で癒やしてくれたのが「MUVEIL」との出会いだった。

MUVEILは日本のブランドで、suivi.よりも「可愛らしさ」を「楽しさ」や「格好良さ」へと昇華させている。だが、私が求めていた丁寧な仕事ぶりや、細部へのこだわりは確かにそこにあった。MUVEILの服で使われるオリジナルのテキスタイルや、散見されるビーズつき刺繍は、私の心の真芯をきれいに撃ち抜いてくる。
シーズンごとに提示される物語はどれも独創的で、ときには「今回は眺めるだけにしよう」と思い、またあるときは「全部欲しい」と悶絶する。過度にトレンドにおもねらない、きっぱりとした個性を打ち出す姿勢に、私は全幅の信頼を寄せている。

私のクローゼットの中では最も明確な個性を打ち出しているので、他の3ブランドにアクセントをつけたり、全体の方向性を決めたりする役割として使っている。ほかの3ブランドだけでは落ち着きすぎるとき、心躍らせる「薬味」を加えたいときにぴったりなのだ。
服だけではなく、2024年で更新終了してしまった公式サイトマガジンの過去号を読むのも楽しいし、修理サービスを明文化している点も心強い(もちろん他ブランドでも店舗で対応はしてくれるが、明示されていることに意味があると感じる)。


後半の3ブランドは、1つ目のオンワードに比べれば付き合いはまだ短い。しかし、自ら調べ、意志を持って買い揃えるようになったという点で、私にとっては特別な存在だ。
なお、LACOSTE、Weekend Max Mara、MUVEILの3つは、いずれも羽田空港内に店舗(または取り扱い)がある。
出張や親戚の冠婚葬祭を終えた帰り道。日常へと戻る境界線である羽田空港で、ご褒美のように各ブランドを巡る時間は、私にとって最高の息抜きだ。
確固たる土台で自分を支え、ときには愛おしい遊び心を身にまとう。この4つの根から伸びる服たちには、これからも私の輪郭を心地よく形作って欲しいと思っている。

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