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傾聴の教科書4:それできいてるつもり?聞いているのに聞いてないと言われる理由

最終回となる今回は、いよいよ実践編である。

前回までは、相手と波長を合わせる「ペーシング」の重要性について触れた。今回はさらに具体的な「ミラーリング」と「バックトラッキング」という、コミュニケーションの現場で即座に役立つ技術を取り上げよう。

「ミラーリング」とは、その名の通り、相手の動きを鏡のように真似するテクニックだ。相手が腕を組めば自分も組み、相手が前かがみになれば自分も前かがみになる。話している相手が無意識にとる動きを自然にコピーすると、相手は心理的に「この人は自分と似ている」と感じ、安心感を抱きやすくなる。

例えば、相手が楽しそうに話をしている時に、自分も楽しげな表情やジェスチャーを取り入れると、話し手は「この人は自分を理解してくれている」と錯覚する。これは生物が持つ本能的な「仲間意識」を巧妙に利用した心理テクニックだ。

ただし、あまり露骨に真似をすると、相手は気付いてしまい、不快感を抱く可能性がある。大切なのはあくまで自然に、さりげなく行うことだ。

一方で、「バックトラッキング」は言葉を使ったミラーリングだ。相手の話した内容やキーワードを短くまとめて繰り返すことで、相手に「ちゃんと聞いていますよ」というメッセージを送るテクニックである。

例えば、同僚が「最近仕事が忙しくて疲れが溜まってるんだ」と言ったら、「最近疲れてるんですね」とバックトラックすると、相手は自分が深く理解されていると感じ、より話したくなる。人間は誰しも自分のことを理解されたいという欲求を持っているため、バックトラッキングを使うだけで自然と信頼感が生まれるのだ。

だが、注意も必要である。単に言葉を鸚鵡返しするだけでは機械的でぎこちない印象を与えてしまう。相手が伝えたい感情やポイントを正しく拾い、要点をうまく要約しながら繰り返すことが肝心だ。たとえば、「昨日ゴルフでベストスコアが出たんだ!」という話には、「ベストスコアが出たんだ!すごいね!」と感情を込めて返す。すると、相手はより一層話したくなり、話題はさらに深まる。

傾聴力とは、相手が話したいことを引き出す力でもある。単に自分の言葉を伝えるのではなく、相手の言葉を大切に扱い、同調することで、真のコミュニケーションが生まれる。

ミラーリングとバックトラッキングを効果的に使えば、営業の成約率はもちろん、日常生活のあらゆる人間関係が劇的に改善する。人間関係に悩んでいるなら、まずはこの二つの技術を試してみることをお勧めしたい。

これまで4回の連載を通じて、傾聴とコミュニケーションの技術をお伝えしてきたが、結局のところ重要なのは、「相手の心にいかに寄り添えるか」ということである。コミュニケーション能力とは、情報を正しく伝える技術ではなく、「相手を理解する力」に他ならない。

だからこそ、あなたも今日から「聴く」ことを少しだけ意識してみてほしい。その小さな変化が、あなたの人生を大きく変えることになるかもしれないのだから。

傾聴の"聴"とは、相手に耳と目と心を十分に傾けようと覚えてみよう。
マガジンでは、傾聴の教科書1ではで、傾聴の教科書2ではで、傾聴の教科書3ではで、傾聴の教科書4では全身を使って聴く事を学びます。

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