自閉症の子にバイリンガルは無理?“One Person,One Language” が導いた、そらの家の結論
「はっきり申し上げます。自閉症の子にバイリンガルは無理です。」
「お子さんが混乱するだけです」
「お父さんは、今すぐ英語を話すのをやめてください」
——レイが3歳のとき、日本の“専門家”から、
実際に投げかけられた言葉です。
でも、結論から言います。
レイはいま、バイリンガルとして成長しました。
この記事では、
どうやってレイが英語と日本語を話すようになったのか
自閉症の子でもバイリンガルになれるのか
その根拠と、そらの家が実践した具体的な方法
を、実体験をもとにお話しします。
1. 「無理」を何度も突きつけられた日々
パパは日系アメリカ人で母国語は英語、私は日本人で母国語は日本語。
レイは生まれた瞬間から、自然に二つの言語がある環境で育ってきました。
しかし、自閉症の疑いが出始めた頃、日本の発達相談や専門機関の「専門家」の方々からは、
「言語を一つにしないとレイ君が混乱して可哀想だよ」
「バイリンガル環境は、言語発達を妨げます」
と言われ続けました。
しかし私は、これらの「専門家」からの意見にどうしても納得できませんでした。
なぜなら、アメリカにもヨーロッパにも
多言語家庭で育つ自閉症の子は普通にいるからです。
世界中の多言語家庭で生活する自閉症児がいる場合、
「子どもと母国語で話すことを諦め、家族は全員、1つの言語だけで話すべきです。」と指示するのでしょうか?
そらの家のパパは、
ただ息子と自分の母国語で会話したいだけなのです。
そのごく自然な願いは否定されなければいけないのでしょうか?
2. 疑問の答えを求めて、アメリカへ
どうしても納得できなかった私たちは、思い切ってアメリカへその真意を探しに行くことにしました。
そこで出会ったのが、ABA療育を長年専門にされていた学校の先生でした。
彼女の答えは明確でした。
「バイリンガル環境で暮らす自閉症児は、ここアメリカにはたくさんいます。ですから、バイリンガルは十分可能です。」
そして、こう続けました。
「ただし、お子さんをバイリンガル環境下で育てたいなら、
One person, One languageを徹底させてください。」
3. バイリンガルを可能にする「One Person, One Language」という考え
One person, One language (1人1言語)
つまり、話す人ごとに、使う言語を固定するという方法です。
パパは少し日本語を、ママは少し英語を話すことができ、夫婦間では英語と日本語を混ぜながら話すこともあります。
しかし、パパは英語、ママは日本語と決めたら、その決めた言語以外で息子のレイと会話することを禁じます。そして、決して二つの言語を同時に混ぜて話してはいけない、ということを徹底することです。
例えば、レイがママに
「ママ、このごはん so disgusting!」と英語と日本語を混ぜて話してしまった場合、
ママは必ず、
「このごはん、すごくまずいね」と日本語に言い換えさせます。
また、レイがパパに
「Daddy、今日は外に行くの嫌だよ」と日本語で話しかけてしまった場合は、
パパは、
“I don’t want to go outside today.” と英語に言い換えさせます。
この “相手によって言語を使い分け、同時に一語以上の言語で話さない"
ことを徹底することが、レイの二カ国語の言語発達を促してくれると教わりました。
4. 日本に戻ってわかった「世界と日本のズレ」
帰国後、私たちは幸運にも、
国内外で療育経験をもつABAセラピストや
小児専門の大学病院の医師と出会うことができました。
そして驚くことに、
彼らが口を揃えて言ったのはアメリカの先生と同じ言葉でした。
「自閉症児にもバイリンガル育児は可能。」
出会った大学病院の専門医からは、こう伝えられました。
「日本では自閉症児のバイリンガル育児に関する症例数が少なく、
現場のアップデートが追いついていません。
世界の論文では、長い間繰り広げられていた”バイリンガルは言語習得において害である vs 害はない” 論争に終止符が打たれ、
バイリンガル育児は“むしろ子どもの脳の発達を促す”という結論が出ています。」
これを聞いたとき、胸のつかえがものがスッと取れたように感じました。
“無理”と言われたのは、
子どもの限界ではなく、情報の限界だっただけ。
5. そして起きた変化——数週間で訪れた「言語の使い分け」
このルールを徹底した結果、
レイは驚くほど早く“言語の切り替え”ができるようになりました。
パパとママの間で日本語と英語を使い分けるだけでなく、英語を話すことができない祖母に英語の会話を通訳してくれるほどに成長しました。
そして、私が英語を少し使ってしまうものなら
「ママは日本語でしょ。英語でしゃべらないで。」
と注意されるようになりました。
あれほど「専門家」から、「無理」と言われ続けたのに、です。
6. 結論🔍
そらの家において「自閉症児のバイリンガル育児」は
不可能ではありませんでした。
もちろん、すべての子に同じ方法が合うとは限りません。
でも、レイは私たちに
バイリンガルは “負担” ではなく “可能性” に変わる
「無理」は、子どもの限界ではなく“周りが知らないだけ”のことが多い
ということを証明してくれました。
このレイの体験が、
誰かの「できるかもしれない」の後押しになりますように。
📘 次回
One people, One language を実践し、
今では英語と日本語を切り替えられるようになったレイ。
しかし、ここに至るまでには、
たくさんの戸惑いと“最初の違和感”がありました。
次の記事では、
私がレイの発達で「最初におかしいかもしれない…」と感じた
5つの初期サインについてお話ししていこうかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
そらのれい☁️
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