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自閉症支援で使われる「応用行動分析(ABA)療育」とは?

突然ですが、みなさんは ABA療育という言葉をご存じでしょうか。
自閉症のお子さんを育てていると、
療育や支援について調べる中で、一度は目にしたことがある言葉かもしれません。

一方で、
名前は聞いたことがあるけれど、内容はよく分からない
何となく難しそう
実際にどんな考え方なのか分からない

と感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、そらの家がアメリカに渡り、
UCLAでイヴァ・ロヴァース博士から直接ロヴァース法を学んだ教育者・スーザン先生から教わったことの一つ、
「自閉症の子供の発達を促すための、効果的な介入方法」として位置付けられているABA療育についてまとめていきます。

実は、ABA療育にはいくつかの指導法があり、
スーザン先生が学んだロヴァース法(別名 DTT/離散試行型指導法) と呼ばれる方法もそのうちの一つです。

ただし、結論からお伝えすると、
現在レイが受けているABA療育は、ロヴァース法ではありません。
※我が家が実際に行っているABA療育の内容については、
今後の記事で詳しく書いていく予定です。

そのため今回は、
特定の指導法に踏み込む前段階として、

ABAとはそもそも何なのか

という「考え方の土台」を中心にまとめていきます。

※本記事は、一人の親として専門家から聞いた内容や、自分で学んだことを整理したものです。医療的判断や専門的な助言を目的としたものではありません。具体的な支援については、必ず専門家にご相談ください。


1. ABA(応用行動分析)とは?

ABA は、
Applied Behavior Analysis の略で、
日本語では 応用行動分析 と呼ばれます。

これは、心理学者 B.F.スキナーの研究をもとに、
人の行動を科学的に分析する学問(行動分析学) の一分野として確立された考え方です。
現在では、世界中で研究・実践が続けられています。

ABAが扱うのは、とてもシンプルな問いです。

  • 人は、なぜその行動をするのか

  • なぜ、その行動が続くのか

これを 感覚や経験ではなく、科学的に理解しよう とするのがABAです。

そして、その理解をもとに、
生活の中で困っている行動を改善するための方法 を考えていきます。

ABAは、自閉スペクトラム症の子どもへの支援として知られることが多いですが、
実はそれだけに限られたものではありません。

現在では、

  • 教育

  • 福祉

  • 医療

  • 行動改善プログラム

など、さまざまな分野で活用されています。

ABAは、特別な人だけのものではなく、
「人の行動をどう理解し、どう変えていくか」 を考えるための、
とても実用的な科学なのです。

2. ABAの原理は、とてもシンプル

ABAと聞くと、
「専門的で難しそう」
「特別な知識が必要そう」
と感じる方も多いかもしれません。

ですが、実際の原理はとてもシンプルです。

ABAでは、次のように考えます。

人の行動は、その直後に起きた“結果”によって、
次に同じ行動をするかどうかが決まる。

つまり、

行動のあとに「その人にとって得になること」が起きると
 → その行動は増えやすくなる

行動のあとに「得にならないこと」や「何も起きないこと」が続くと
 → その行動は減りやすくなる

という考え方です。

この仕組みを整理するために、
ABAでは行動を 3つの要素 に分けて考えます。

3. ABAの基本構造:ABC分析

ABAでは、すべての行動を次の3つで整理します。

A:先行事象(Antecedent)

行動が起こる 直前にあった出来事
行動の「きっかけ」になるものです。

B:行動(Behavior)

実際にその人が取った 行動そのもの。

C:結果(Consequence)

行動の 直後に起きたこと。
この「結果」が、次の行動に大きな影響を与えます。

ポイントは、
行動を変えるカギは「C(結果)」にある
という点です。

次に、具体的な例で見てみます。

具体例①:お菓子がほしい子どもの場合

A(先行事象:Antecedent)

子供が、スーパーでお菓子を見つける。

B(行動:Behavior)

子供が「買ってー!!」と大きな声で泣き叫ぶ。

C(結果:Consequence)

親が「仕方ないな」と言って、子供にお菓子を買ってあげる。

このあと、子供の行動はどう変化するでしょうか?

子どもはこの経験から、
「泣き叫べば、お菓子がもらえる」
と学びます。

そのため、
次に子供がお菓子をほしいと思った時、
子供は同じように大きな声で泣き叫ぶ行動を取りやすくなるのです。

ABAでは、このように
行動のあとに「得になる結果」が起きて、
その行動が増えることを 「強化」 と呼びます。

具体例②:椅子に座れない男の子

A(先行事象:Antecedent)

先生が「座ってください」と声をかける。

B(行動:Behavior)

先生の声かけに対して、男の子が歩き回る・逃げる。

C(結果:Consequence)

先生が「今日はそのままでいいや」と思い、
男の子の行動を止めずに、活動を始める。

このあと、男の子の行動はどう変化するでしょうか?

男の子は、この一連の出来事から、

「座らなければ、活動に参加しなくてもいい」
「座らなくても、困らない」

という結果を経験します。

すると、
次からも「座らない」という行動が起きやすくなります。

ABAでは、このように
「嫌なこと(ここでは“座る”こと、もしくは”活動に参加する”)」
を避けられた場合も、その行動は強化される と考えます。

4. ABAで大切なのは「行動のあとに何が起きたか」

ABAでは、

  • 褒めたか、叱ったか

  • 良い行動か、悪い行動か

よりも、

「その行動の直後に、何が起きたか」

を重視します。

  • 褒められた

  • 注目された

  • 欲しいものが手に入った

  • 嫌なことを避けられた

これらはすべて、
その人にとって「得」になる結果 です。

その結果が続けば、
行動は自然と増えていきます。

逆に、

  • 何も起きない

  • 欲しいものが得られない

  • 行動しても状況が変わらない

こうした場合、その行動は少しずつ減っていきます。

5. ABAは「行動を分析する科学」

ABAは、

  • 無理に行動を押さえつけるもの

  • 罰を与えるもの

ではありません。

行動をよく観察し、

  • 何がきっかけで起きているのか

  • そのあと、何が起きたのか

を整理しながら、
その子が学びやすい環境を作るための方法 です。

この「行動を見る視点」を持つだけで、
これまで分からなかった多くの「なぜ?」が、
少しずつ言葉で説明できるようになるのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は、
「自閉症において効果的な介入方法」と位置付けられている
ABA(応用行動分析)がどのようなものなのかを、
できるだけシンプルにご紹介してきました。

ABAの特徴は、
特別な推測や経験則ではなく、

  • 行動の前に何があったのか

  • どんな行動が起きたのか

  • その直後に何が起きたのか

という 観察できる事実 をもとに、
行動の理由を考え、変化を促していく点にあります。

つまりABAは、

  • 「この子はこういうタイプだから」

  • 「性格の問題だから」

  • 「この子は、言葉が喋れないから」

  • 「この子は、指示が通りにくいから」

といった曖昧な推測で子どもの行動を説明するのではなく、
その子供が起こした実際の行動そのものに注目し、
環境や関わり方を調整することで、発達を支える方法 
だと言えます。

そして、ここで一つ大切なのは、
ABAは精神論のような曖昧なものではない、という点です。

正しく理解され、
適切な量と方法で、
できるだけ早い段階から使われてこそ、
その効果が最大限に発揮される支援です。

次回の記事では、
スーザン先生が最初に強く伝えてくれた前提の一つ、

「なぜ早期発見・早期介入が重要なのか」

について、
親の立場から分かりやすく書いていきたいと思います。

「様子を見る」という選択が、
ときにどんな意味を持つのか。

そして、
親が“知っているかどうか”で変わってしまうことが、
実際にあるという現実について。

引き続き、読んでいただけたら嬉しいです。

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