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理念実装を可能にする2つのアプローチ|理念と戦略を往復する山脈モデルから【後編】

こんにちは、BIOTOPEの山田和雅です。

この記事では、前編に続き「理念を現場に実装すること」をテーマに後編を書いていきたいと思います。本題に入る前に、少しだけ振り返り。前編では理念が現場に実装されていくプロセスにおいて、特に重要なエッセンスとして以下のポイントを挙げさせていただきました。

  1. 現場には解放されるのを待っているエネルギーが眠っているということ

  2. 眠っているエネルギーは、今とありたい未来の姿の間の「差分 / ギャップ」がなければ、表の世界に流れ出て来れないこと

  3. 現実世界で変化を起こすには解放されたエネルギーは経営資源と結合する必要があること

  4. 経営者は、数字とロジックがなければ経営資源の投下の意思決定はできないこと

仮に「上はOK、わかったよ」という皆さんとしても、「じゃ、具体的に何すればいいの?」というのが次なる疑問ですよね。

結論から申し上げると、僕が今回ご提案するのは、

  • 2番目に対しての、「未来洞察」のアプローチ

  • 4番目に対しての、「セオリーオブチェンジビジネスキャンバス」のアプローチ

です。

また、無論この2つで網羅的な理念実装のプロセスになるわけもなく、少し視点を開いて、僕自身としてのフルセットとしての理念実装プロセスを今回整理してみましたので、そちらも併せてご紹介したいと思います。

それでは早速本題に入っていきましょう!

山田和雅 ◎ Managing Partner - Strategic Designer/Systemic Desiginer:早稲田大学政治学研究科卒。イリノイ工科大学デザイン学科(Master of Design Methods)修士課程修了。総合商社にて、海外インフラストラクチャ―事業のM&A、PMI後、事業会社に経営メンバーとして出向し、理念を軸にした組織変革、バリューアップ推進を担当。その後、オセアニア地域でのカーボンニュートラル化JV事業立ち上げに従事。事業現場での経営・事業開発経験をベースとした「戦略」と「理念」の融合型ビジネスデザイン、「社会環境」と「個のアクター」を統合的に取り扱うシステミックデザインを駆使し、目にみえる変化・インパクトの実現までを伴走型で支援することを得意としている。


現場に眠るエネルギーを解放する「未来洞察」プロセス

2024年、僕はとある地方の名門企業とプロジェクトをご一緒させていただきました。少しだけコンテクストをシェアすると、その企業は過去生業としてきた既存事業は堅調にキャッシュを稼いでいるものの、中長期目線で異なる軸の新規事業で収益の柱を立てていきたい、と考えておられました。

一方で、これまで様々なトライしてきてみたものの、取り組みがどこか散発的(出会い頭・行き当たりばったり)であったり、小粒な気がしている…、そもそもどのように新規事業開発全体のプロセスをデザインしていけば良いのかわからない…、と真剣に悩んでおられました。

この企業はその地方ではその業界の圧倒的ナンバーワン企業です。新規事業に取り組む人材も地域のトップレイヤーの超秀才ぞろい、しかも人柄も真面目で熱量高く、真剣勝負で日々取り組まれている。そんな皆さんが日夜なぜか「新規がうまくいかない」と悩んでいる──。

一体、なぜなのでしょうか?(僕の目からは、こうした新規事業開発の「現場」こそ、今まさに眠っているエネルギーが地下で揺蕩っていて、何かの「きっかけ」さえあれば間歇泉の水蒸気のように地表に飛び出してきそうな印象に映っていました)

さて、なぜなのか? 

僕の見立ては、「組織の論理」で新規事業を考えてしまっているためではないか、ということでした。

  • サイズ感のある投資をする

  • リターンの高いアセットに投資をする

  • バリュープールが大きい市場に参画する

これらは新規事業を考える上で重要な視角だし、投資意思決定上の論点として避けては通れません。でも、こうした視座で新規事業を考え続けていると、「局地戦の正しさ」の積み重ねになってしまい、散発感・飛び地感が生まれてしまう(エコシステムにならない)傾向が否めないと思います。

逆に、

  • 誰のためにそのサービスを届けたいか?

  • どんな表情になっていて欲しいか?

  • どんな一言がもらいたいか?

  • サービスが広がった結果、どんな景色が見られると、苦労が報われると感じられそうか?

こんな問いかけで、全く同じ事業を語るとしたらどうでしょうか。同じコトを語るにも、全く異なる質感になりそうです。これは、いわば「個人モード」でその事業を眺めている状態と言えるかと思います。

前回記事で、「現場で眠っているエネルギーを解放するには、今とは異なる世界の差分が認識されないといけない」と書きました。では、どのようにその差分を作るかということが肝になりますが、僕はこの「人格のモードチェンジ(組織人モード→個人モード)」こそがその要諦・レバレッジポイントだと思っています。

その意味で、ショック療法ではない形でスムーズに人格のモードチェンジを可能にするプロセス、それが「未来洞察」です。

未来洞察はその名の通り、未来を洞察していくプロセスです。ですが、そのやり方は未来を予測する、というイメージではなく、未来の可能性を幅出ししていく、というイメージです。

いわば、ありえる未来は何かを、最も望ましいパターンと最も望ましくないパターンとで幅を持ってイメージを作っていくのです。ちょうどこのスペキュラティブデザインのフレームのように。

出典:https://wasedaneo.jp/368/

なぜ未来を洞察していくだけで、組織人モードか個人モードに切り替えられるのか、という疑問があるかもしれません。

キーワードは「ジブン」です。

というのも、誰もが一番興味があること、それは自分自身であり、自分を取り巻く過去・現在・未来の時間軸上で起こること、なのではないでしょうか。特に悪い未来の話には誰しもすごく興味がありますよね。

例えば、自分の住むまちの治安が10倍悪くなってしまう、自分の好きな海や山の美しさが壊される、といったことを言われると、生理的に胸がソワソワするものです。逆に自分が望むキラキラした未来を想像することは胸をドキドキと駆動させます。

ということで、個人モードになるステージづくりとして、ジブン、あるいは、自分たちの普段目には見えない時間の軸を左から右へと取り、ポジネガ両方の未来を追体験すること、いわば自分の人生の未来の箱庭を人工的に作りそこに没入すること、これが未来洞察プロセスに隠された意図です。

前置きが長くなりましたが、やり方を簡単にシェアします。

  1. まず未来洞察は必ずチームでやっていきましょう。3~10人程度でやるのが望ましいです。

  2. 未来洞察の素材準備をします。チームが「関係する未来」(先の地方企業の例であれば、〇〇株式会社が活動する〇〇地域の未来、となります)について、任意の未来の時間軸上(例:2030、2040、2050等)で起こりそうなことを政治・経済・社会・技術・法・環境(PESTLEと言ったりしますね)の視点で調べ、それをカード形式でまとめていきます。理想的には一人10~20枚、チーム全体で100枚ぐらい集められると、良いボリューム感です。

未来のPESTLEなどのトレンドを集めるカードフォーマットの例

3.「未来年表フレーム」を用意します。未来年表フレームは、先のスペキュラティブデザインのフレームをベースにし、横軸が時間軸、縦軸が上半分を望ましい未来、下半分を望ましくない未来として軸切りします(後段に未来洞察図を貼りましたので参考にしてみてください)。

4.その「未来年表フレーム」上に、それぞれのメンバーが集めたカードを内容を簡単にシェアしながら思い思いの場所に置いておきます。100枚のカードを置いていくと置ききれないので、同じような内容のカードは固めておくなどの工夫をしながら置いていきます。

5.シェアの際、必ず話をしてください。一人ひとりが、どんな意識でカードを集めたのか、カードとカードを繋げて語るとしたらどんな未来のストーリーになるのか、を自分の言葉で語ってください(あまり意図がなくても無理やりでも意味づけしてもらうのがポイントです、そうすることで無意識の潜在意識が顕在化する効果があるためです)。

と、BIOTOPE(僕)の仕事としては、実はここまではほとんどないと言っても過言ではありません。ようやくここから僕らは登板していくのですが、僕らの仕事は、そのチームが「共通して語る文脈」とは何なのか、「何を望み、何を望まないのか、その共通するところ」は何かを丁寧に拾いあげながら、これらを思い切ってグルーピングとラベリング、そして矢印で繋ぎ合わせるワザを使ってまとめていき、大きな未来のストーリーとして語り切っていきます。無論完璧なものであるわけはなく、そこで違和感や反論があるのはOK、むしろそれを受け取ってどんどん盛り込んでいきます。

そうしてできていく(実際に作成した)のが、こんな未来洞察図です。

これはあくまでチームの集合的な主観の産物であって、完璧に「正しい」未来予想図にはなりえません。でも、これはチームにとっては「真実味のある」未来像です。こんな未来は嫌だ/好きだ、できればこんな未来に自分はいたくない/いたい、と皆が思っているものが一つの文脈になっている、という意味では、それは迫り来るリアリティを発します。

そして、ここで重要な問いかけをしていきます:

「なぜその未来を望むのか? なぜその未来を望まないのか?」 

です。

こうしたWHYの問いかけには、個人の価値観や大事にしている信条、組織のこれまで大事にしてきたモノ・思想などが滲み出てきます。その回答はポストイットなどに思い思いに書き出してもらい、先ほどの未来像にこれらをレイヤーを塗り重ねるように貼っていきます。実はこの滲み出てきたモノ・思想こそ、僕が前回から言っている「エネルギー」の正体に他なりません

ちなみに先の例の地方企業の場合、皆さんに共通するエネルギー(理念)に現実世界のナマエをつけるとしたら、それは「郷土愛」でした。

僕のように東京近辺で暮らしている人間には、なぜそれほど? と感じるぐらいに強いポジネガ含めた「郷土愛」がそこにはありました(その意味で「郷土愛」一言では語りきれない、郷土愛憎?と言ってもいい何かです)。

その湧き出てくる郷土愛をありのままに受け止めた上で、今私たちの〇〇地域には何が不足しているのだろうか? 何があればふるさとは良い未来に行けるのだろうか? 何を欲しいと言っているのだろうか? そんなことを対話していきます。

例えばその答え(仮説)は、交通インフラかもしれませんし、介護施設かもしれません。あるいは、観光に関わる複合的なプラットフォームかもしれません。これらを皆が思い思いの視点で語り合いながら、さらに未来洞察図にレイヤーとして塗り重ねていきます。そうして作っていったのが以下写真のようなイメージの図面です。

実は先ほどから「塗り重ねる」という言葉を使っています。僕自身実はこの動詞はとても大事だと感じています。なぜならば、組織が向き合う市場や社会といったものは大抵は自分からは切り分けられた It / Theyにあたる存在です。これをいかに内在化できるか、I / Weの世界に取り込めるかが、個人モードになれるかどうかの分水嶺だと思うのです。

こうして別の客体だったもの(未来洞察図の第1レイヤー)に、自分が考えた思想や思考が重なり合って結合し(同第2レイヤー)、その先で、「じゃあ具体的に何をやっていけばいいのだろう? まず手始めに〇〇はどうだろうか」と具体案を考え始める(同第3レイヤー)、こうして組織人モードではない個人視点での事業開発が始まっていきます。

前回ご説明した「現場に眠るエネルギーが今との “差分” を見出すことによって現実世界に解放される」とはまさにこの瞬間を言ったものでした。

ですが、晴れて解放されたエネルギーは次なる重要な命題に向き合うことになります。すなわち、

“現実世界で変化を起こすには、解放されたエネルギーは経営資源と結合する必要があること。経営者は、数字とロジックがなければ経営資源の投下の意思決定はできないこと”

です。

ここまでは、どちらかというと「理念づくり」の頭、「イチ個人」の人格モードでプロセスを進めてきましたが、ここから先、現実世界で変化のインパクトを生むためには、先に解放したエネルギーと経営資源とを結合させる必要があります。そしてそのためには、今度は逆方向にギアを入れ替えて、「戦略づくり」の頭、「商人モード・オーナーモード」になって、数字とロジックでクリアに未来を語る必要があるのです。

次項ではそのための方法論・フレームをご紹介します。

経営の意思決定をサポートする、理念と戦略統合型キャンバス

さて、上記の地方企業を例に取って今少しイメージを膨らませると、「〇〇地域の未来を良い方向へ傾けるために、〇〇(事業)をやっていくべきではないか?」という仮説が未来洞察を経て生まれたとします。その後、個人の思いから生まれたその仮説は、市場に出てさまざまな試練を潜り抜け、中長期的に利益を組織にもたらす事業案へと進化しなければなりません。

(※本記事では紙幅の関係でその全てをお伝えできませんが、その過程では、市場分析、戦略フィットを作るVRIO分析、エッジを作る10 types of innovationなどの戦略フレームを使って骨を通していきます。この部分は極めて奥が深く、別の機会に幾つかの記事に分けてそれらのフレームもご紹介させてください)

この記事後半では、仮にそれらのプロセスで事業案ができた後、その実装のために必要な経営資源(ヒト/モノ/カネ/知恵/関係性等)をいかにして経営陣から取ってくるか、そのコミュニケーションの取り方にフォーカスしたいと思います。

新規事業あるある、として

  • うちの経営陣は頭が硬くてアイデアを潰しちゃうんだよね

  • すぐに儲かるかどうか聞かれちゃうんだよね

  • なので、何も生まれないんだよね

という現場側の声がありはしないでしょうか。

無論一理も二理もあるのですが、状況の打開をするために、あえてクリアに言ってしまうと、この相剋は、現場側が全て解決すべき問題だと考えています。

なぜならば、前半編で書いた通り、経営者は理念が語られることを重視する一方、数字とロジックがなければ経営資源の投下の意思決定はできない、という深いジレンマを抱える、難しい立場にいる人種です。取締役であれば善管注意義務や株主代表訴訟のリスクもあります。利益の最大化のために常にかかってくるプレッシャーやリアリティは大変なものです。

ですが、数字=「儲け」に向き合うことは実際には多くを教えてくれます。儲けが価値貢献への対価である以上、それが薄いことは現在価値が低いこととほぼ同義であり、計画段階ですらそれを明確に語れないことは、社会から求められていないこと、上市・実装後も大いに苦労することになります。

一方で、「郷土愛」のような真心から生まれたコンセプトや事業案は、もしそれが普遍的な課題感に根差したものであれば、ほぼ絶対に儲けのストーリーとして語りうる、と言うのがこれまでの僕自身の経験則ですので、実はあまり心配も要りません。

というわけで、現場側から思いを込めて生み出した事業案をいかにして経営人種の言語=数字と(戦略)ロジックに語り直していくかという翻訳作業が、先の命題への答えです。

往々にして経営判断をする際に経営人は幾つかの論点を頭に持っています。

すなわち、

  • この事業が直面する市場の規模と質はどうなっているか(いくか)?

  • 自社の戦略とのフィット感はどうか? 既存事業のどんな強みを活かせるか?

  • 儲かるか?

  • 社会にどんなインパクトがあるか?

  • 他の案と比べてどうか?

といったポイントです(他にもリスクやEXITプランなども重要ですが、新規事業案を考え出したタイミングではまずはシンプルにこの5つで良いかと思います)。

ですので、この5つの論点のツボをあからさまなぐらいに押さえられる説明・ストーリーメイクをしていくべきですし、もっと言えば、この5つのポイントは必ず100点満点を取れるように事業案自体を作り込んでいけばよいと思います。

というわけで、このポイントを一つも忘れることなく、全て一枚のフレームとして網羅したのが下のセオリーオブチェンジビジネスキャンバスです。

キャンバスの構造をお伝えすると、

  • 上部:青色のボックス箇所は、 今(As-is)と未来(To-be)とその差分を埋める自分たちなりの仮説(事業案)を描き込む部分です。ここは未来洞察の成果がソースになっていきます。すなわち、As isとは「今」の放物線上で起きてしまう望ましくない世界線、To beとは逆に望ましい世界線、そして間に事業仮説を入れます(いわばここが自分たちなりの変化の仮説=セオリーオブチェンジになるので、キャンバスの命名の由来となっています)。

  • 下部:上の議論を支える分析構造となっています。左側のピンク箇所が市場を規模と競争環境と規制環境から、中央の緑箇所がビジネスモデルと戦略フィット(VRIO分析を通じた自社アセットの活用を押し込む)から、右側の黄色箇所が結果として生まれうる自社利益と社会インパクト(Social Return on Investmentの手法を活用して計算するのが基本コンセプト)から、それぞれ分析するフレーム構造になっています。

特に自社利益の箇所では、簡易的であれ定量モデルを見せることが重要です。事業案を草案する段階では、簡単なキャッシュフロー、損益計算書、貸借対照表のモデルをつくり、チャートを見せながら、損益分岐点や顧客数や価格の弾力性などを示し、どのようにしてこの事業が儲けを出しうるのか、を語っていきます。

最も簡易的な財務モデリングの前提タブ

重要なのはここでも数字を完璧に作り込むことではなく、自分たちの変化の仮説がどんな「前提数値(オペレーショナルKPIとも言える)」を置くことで、どう儲けを生みうるのか、そのロジックを経営陣と議論できる状況そのものであり、その意味で、チャート以上に重要なのは前提のロジック構成にあります。

・「前提の置き方がアグレッシブすぎる」と指摘があれば、コンサバに直せばいい(あるいはパターンとして見せればいい)
・「もっと期近で黒転する必要がある」と指摘があれば、そのために必要な追加投資(規模と範囲の経済を高める戦略)を明示すればいい
・「リターンが小さい」と指摘があれば、自己資金と借入金のバランスを変えるレバレッジ提案をすればいい

そんな具合で対話の道具として徹底して数字を活用して、事業を経営陣と共に構築していくのが、いわば経営資源をもぎ取るためのコミュニケーションの基本戦略と言っても良いと思います。

こういうしつこいやり方は好まれないのでは? との懸念を口にされる方もおられるかもしれません。が、あらゆる成功した新規事業が蛇行運転と幾度ものピボットの末に生み出される実情も踏まえると、何度指摘されてもゾンビのように起き上がり、「これならばどうですか?」と毎回儲けの光明を見出しながら経営陣に問いかけ続ける──。そんなやりとりの末に、もはやぐうの音も出ないような投資承認ロジックを携えて迫りくる「狂気的な現場」こそ(健全な)経営陣は待っているのではないでしょうか?

理念の山と戦略の谷の往来で生まれる理念実装ジャーニー

さて、ここまで具体的なプロセスとして「未来洞察」と「セオリーオブチェンジビジネスキャンバス」をご紹介してきました。ですが、これらが理念をつくり、戦略の力を使って現場に実装することの全てであるわけもありません。

前半編の記事でも、この理念と戦略の脳を右足・左足に例えて交互に進んでいくことを強調しましたが、この往来と適時的確な切り替えこそが、僕は理念実装の旅路の本質・要諦であると考えています。その全体像を示したのが、この図です。

山脈モデルの高解像度版はこちらからご覧・DLいただけます

残念ながら中身の詳しい説明をするだけの紙幅が残っていませんし、ある程度はSelf explanatoryかなとも思いますので、2つだけハイライトし、終わりとさせていただきます。

  • ジャーニー全体の「第一歩目」が理念づくりの側のプロセスである「ビジョンデザイン」フェーズから始まっていること

  • ジャーニー全体が、主役の皆さん(個人、チーム)が「人格のモードチェンジ」をできるようにデザインされていること

です。

1点目の話は、先にもご紹介した通り、この第一歩目は戦略サイドから始まってはならないということを踏まえています。これは事業づくりが「戦略=勝つこと」が目的ではなく、あくまで「個人として誰かのために尽くすこと」がその存在理由であり目的であるという哲学に依拠しています。

また、この「戦略=勝つこと」からスタートすることが、際限のない生産性の追求や、マイノリティを排他するエクスクルーシブな組織・社会、ひいては環境問題などの資本主義の暴走のような大きな議論にも関連してくるポイントだと考えています。

必ず理念サイドから一歩目を歩み出すこと、それが現代における「社会人人格の人間性の恢復」に繋がり、様々な社会の病理の処方箋になるのでは、という大きな視座があります。

2点目の話は、人格モードのチェンジこそ、「差分」を生み出すドライバーであり(組織人→個人のモード遷移)、魅力的な「事業案」を生み出す仕掛けであり(個人→生活者・商人のモード遷移)、経営資源をもぎ取る武器にもなりうる(個人・生活者→商人・オーナーのモード遷移)だと考えています。結局は、自分(たち)が柔軟に変わり続け、視座が広がり・深まること、すなわち「人として成長していくこと」「多様な視点を味わい、人生を愉しむこと」が、理念実装の背骨を作る道程と言えるのかもしれません。

ご精読ありがとうございました。ご質問・ご意見や対話のご依頼、お気軽にお寄せください。

BIOTOPEマネージングパートナー 山田和雅


連載:理念を現場につなげるデザイン

プロジェクトのご相談は下記より

text by Kazumasa Yamada
design by Minori Hayashi

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