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「会社を売るか迷っている」経営者が最初に読むべきM&Aの話

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1. 売却を考え始めた経営者にまず伝えたいこと

M&Aの相談を受ける中で、最も多いのは「会社を売ろうか悩んでいる」「売却という選択肢について考えてみたい」という段階のご相談です。
多くの経営者が、自社の未来と、自分自身の人生を天秤にかけながら、どこかで「そろそろ手放すべきかもしれない」という思いを持ち始めます。

しかしながら、それは一朝一夕に決断できるものではありません。
むしろ、迷って当然です。

なぜなら、「会社を売る」という決断は、単なる経済的な取引ではなく、経営者自身の人生観や責任感、人間関係、そして“これまでの生き方”そのものと向き合う行為だからです。

実際に私がご一緒したあるオーナー社長も、売却を決断するまでに半年かかりました。
売上は堅調、社員の定着率も高く、特に急いで売らなければならない理由はなかった。でも、その社長は60代も後半に差し掛かり、体力とモチベーションの限界を感じていました。

「会社の未来のことを考えると、僕が握りしめ続けるより、次の誰かに任せた方がいい気はしてるんだけど…でもまだ頑張れそうだし、売却して良いものか踏ん切りがつかなくてね。」

私は、そんな時にいつもお伝えすることがあります。

“売る”という決断は、「逃げ」でも「負け」でもない。

それは、「経営者としての新しい責任の形」でもあります。

社員の雇用、顧客との信頼、長年培った事業の価値を、次の担い手にバトンとして渡す——。
その視点に立てたとき、M&Aはただの終わりではなく、「次に託す」という誇りある選択肢になり得ます。

一方で、「まだ自分がやりきっていない」と思うなら、急ぐ必要もありません。
M&Aはあくまで「選択肢の一つ」であり、すべての経営者にとって正解とは限らないからです。

でも、迷いがあるなら、一度“仮に売るなら”という視点で考えてみること。
それが、今後の経営方針にも深みを持たせてくれます。


2. M&Aに向いている会社/向いていない会社

M&Aという言葉を聞くと、「ウチみたいな小さな会社には関係ない」「赤字だから無理だろう」とおっしゃる方も多いです。
でも実際には、どんな規模でも、M&Aの可能性はあります。

ただし、すべての会社が「売れる」わけではありません。
現場の感覚で言うと、現段階においてM&Aに“向いている会社”と“向いていない会社”というのは、確かにあると言えます。

まず、M&Aに向いている会社の特徴は以下のようなものです:

  • ある程度「自走できる」「回る」ビジネスモデルになっている
    → 特に重要なことの一つは、売上につながる"お客様"の獲得が再現性のあるものとなっていること

  • オーナーが抜けても一定期間、事業が維持できる体制がある

  • 固定客・独自ノウハウ・仕組み化された強みがある

  • 特定の業界や地域で「ポジション」を築いている

例えばですが、売上規模が小さくても、その地域でシェアが大きいビルメンテナンス会社などは、事業承継に悩む他社にとって非常に魅力的です。

一方で、M&Aに向いていない会社の典型はこうです:

  • 社長のワンマン経営で「属人性」が強すぎる

  • 財務がブラックボックス化していて“実態”が見えない

  • 顧客や仕入先との関係が“人脈”に依存しすぎている

  • 売上が激減中か、将来性が全く読めない業態

ただし、これは「売れないから諦めよう」という意味ではありません。
逆に言えば、これらの課題に少しでも手を入れることで、“売れる会社”に近づけることができる、ということなんです。

実際、私が担当したある案件では、帳簿がぐちゃぐちゃで「これは厳しいかも」と思ったものの、半年かけて決算整理・経費の見直し・契約書の整備を進めた結果、当初の予想より1.3倍程度の価格で売却できたケースもあります。

つまり、「今は売れない」ではなく、「売れる準備がまだ整っていないだけ」という考え方が重要です。


3. 売る理由は“正解”じゃなくてもいい

「会社を売りたいと思う理由が、なんとなくで…」
「後ろめたいというか、“売りたい”って言ったら裏切りっぽく感じてしまうんです」
これは実際の相談現場でよく聞く言葉です。

経営者の多くは、会社への責任感が強く、社員や取引先との関係をとても大切にされています。
だからこそ、「売る理由」には自分でも納得できるだけの“正しさ”が必要だと思い込んでしまう。でも、そんなふうに“立派な理由”に縛られる必要はないんです。

事実、M&Aを決断した方の理由は、千差万別です。

  • 体調がすぐれず、将来に不安を感じた

  • 自身のお子様、親族で継ぐ意思がある人がいなかった

  • 自社単独での成長に限界を感じた

  • 単純に、もう経営がしんどくなった

  • これまで築き上げたこととは異なる新しいことに挑戦したくなった

あるIT企業の経営者は「以前から投資家が集まって楽しく交流する投資家バーをやりたかった」とおっしゃっていました。
別の経営者は、「家族との時間を取り戻したい」と静かに話されていました。

いずれも、経営者個人の興味関心や感情かもしれませんが、“本音”でした。
そして私は、そういう本音にこそM&Aの成功が宿ると思っています。

なぜなら、売る側の想いが曖昧なまま進めてしまうと、引継ぎや譲渡後のプランニングなど買い手との会話・交渉の中でブレが生まれ、意思決定が鈍り、結局話がまとまらなくなることも考えられるからです。

買い手側としては、「なぜ、売却という意思決定に至ったのか?」ということは、対象会社が本当に置かれている状況の把握はもちろんのこと、その"想い"を汲めるかどうかも重要視しています。

逆に、「正直に、今の自分がどうしたいのか」を語れる経営者は、
買い手からも信頼されやすく、結果的に良い条件で着地する傾向があります。

M&Aというのは、“筋の通った理由”が必要なビジネスのようでいて、
実は“人間的な想い”も大きな動力になっているものです。

売りたい理由に正解はありません。

でも、“本音”で語ることが、すべてのスタートです。


4. 「売却後、どうするか」が逆算の起点

M&Aを考えるとき、売却価格やスキームばかりに目がいきがちです。
でも、私が最も重要だと思うのは、「売ったあと、どうするのか?」という問いです。

これはつまり、経営者としてではなく、“個人としての自分”をどう生きたいかという話でもあります。

例えば、ある経営者はM&A後すぐにリタイアし、奥さまと国内を旅して回る生活を始めました。
また別の方は、売却後に顧問として会社に関わりながら、週3日だけ働く“セミリタイア”の道を選びました。
中には、売却資金を元手に新たな会社を立ち上げた方や、スタートアップにエンジェル投資家として関わっている方もいます。

何が言いたいかというと、

「売却の形」は、“売却後の生き方”から逆算して決めるのがベスト、ということです。

・すぐに現場を離れたいのか?
・しばらくは会社に関わりたいのか?
・後継者にバトンを渡したいのか?
・一線から完全に引退したいのか?
・売却後の資金をどのように向けていきたいのか?

この希望によって、選ぶべき買い手のタイプや契約条件、希望すべき譲渡スキーム等も全く変わってきます。

たとえば、買い手が業界大手の場合、経営者に対して「引継ぎ後は早めに退任してほしい」というスタンスをとるケースもあります。
逆に、地域密着の会社同士では、「しばらく一緒にやっていきましょう」という丁寧な引継ぎ期間を希望されることも多々あります。

これをすり合わせずに話を進めると、「こんなはずじゃなかった…」と、M&A後に後悔することになります。

だからこそ、私は面談の初期段階で必ずこう聞きます。

「売却後、やりたいことなどありますか?どのように過ごしたいですか?」

この質問に対して、「あまり考えてなかったなあ」と言われる方も多いですが、逆に言えば、ここをじっくり一緒に考えることで、経営者の“決意”が明確になっていくのを何度も見てきました。

M&Aでの売却はゴールではなく、ある種の“卒業”です。
その後の人生にとって最善の卒業式を迎えるために、今からゆっくりと逆算を始めてみてはいかがでしょうか。


5. 気軽な相談から始めて大丈夫な理由

「まだ売却を決めているわけではないのに相談していいのか、迷っていました」
そう言いながら連絡をくださる経営者は、実はとても多いです。

でも私は、本気になる“前”だからこそ、気軽に相談してもらいたいと強く思っています。

M&Aは、事業の引き継ぎだけでなく、経営者自身の人生を整理し、その後の人生を設計していくプロセスでもあります。
にもかかわらず、最初から“相談=売却決断”だと思われてしまうと、どうしても構えてしまいますよね。

M&Aの世界には「ノンネーム」という言葉があります。
これは、会社名や経営者の実名を伏せたまま、買い手候補にアプローチを行う仕組みです。
つまり、まだ売るか決めていなくても「どんな買い手がいるか」だけを知ることができます

実際、私たちアドバイザーが関わる初期フェーズは、情報提供と、現状整理が中心です。
決算書を軽く見せてもらって、
「いま売るとしたら、こういう相場になりそうですよ」
「御社のこの点は買い手にとって魅力です」
といったやりとりを通じて、経営者ご自身が“今の会社の立ち位置”を再確認される機会にもなります。

また、信頼できるアドバイザーであれば、無理に売却を勧めることは絶対にしません。
むしろ、「今は売らない方がいいですね」であったり、「こういう買い手候補が出てきた場合にのみ進めてみるで良いと思います」とはっきり伝えることもあります。
※実際、私がそうお伝えしたケースは一度や二度ではありません。

そういったプロセスを経て、1年後、2年後に
「やっぱり今なら売ってもいいかなと思った」と戻ってきてくれる経営者もたくさんいます。

つまり、M&Aにおける相談は“いますぐに動くための相談”ではなく、
“未来の選択肢を持つための対話”
として、もっと気軽に活用してほしいのです。

大切なのは、「相談すること」=「決断すること」ではない、ということ。

だから、準備が整っていなくても、迷っていても大丈夫。

気持ちの整理をつけるための会話だって、M&Aアドバイザーの仕事の一部です。


まとめ|迷っている経営者こそ、まずは“向き合う時間”を持ってほしい

ここまで読んでくださったあなたは、おそらく今、M&Aという選択肢を改めて認識し将来的にどうするか考え始め、人によっては「売るべきか」「このまま続けるべきか」の間で、気持ちが揺れている方もいるのではないでしょうか。

私がこれまでご一緒してきた経営者も、皆さん最初はそうでした。
将来のプランニングが一定できていない段階で売る決断をすぐにできる人なんて、ほとんどいません。
そしてそれは、むしろ健全なことだと思います。

会社を売るということは、確かにひとつの「経営判断」と言えます。
しかし、それ以前に一人の人間としての“人生判断”でもあります。

誰に相談すべきかもわからない、
どこから情報を集めればいいかもわからない、
そんなときこそ、この記事を思い出してもらえたら嬉しいです。

「なんとなく売却を考えている」
その“なんとなく”には、必ず理由があります。
それを一緒に整理し、形にしていくのが、私たちアドバイザーの役割です。

最初の一歩は、“売る”ためじゃなく、“考える”ためでいい。

それが、正直で後悔のないM&Aにつながっていきます。


Bish株式会社と株式会社MillionHeartについて

Bish株式会社は「最短30日での成約実績、どんな相談も断りません。」でM&A支援等を行っております。

株式会社MillionHeartでは、会計(記帳)・経理代行BPOを主軸に、経営者様を始め本業に注力してもらうための「管理業務まるごと受託サービス」を提供しております。

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