宇宙太陽光発電 ─ 未来少年コナンを思い出した!
宇宙太陽光発電の実用化にむけたニュースを読みました。
これは子供の頃に NHK で観た 未来少年コナン の第23話「太陽塔」を彷彿とさせる技術です。
読んだのは、XenoSpectrum にあった宇宙太陽光発電の実用化に向けたニュースです。
2027年と2028年、宇宙太陽光発電の実証が待ったなしの正念場に | XenoSpectrum [2026-07-10]
上記 XenoSpectrum のニュースの一部を構成する元記事があります。
下記のサイト(2026年7月9日付)です。
日本語の要約を紹介します。
Space Solar Power Is Coming Home to the Energy Industry
Srikanth Raviprasad and Abhinav Agrawal
Thursday, July 9, 2026
要約
宇宙太陽光発電 (Space Solar Power: SSP) は、長年「SFや研究段階の技術」と見なされてきましたが、近年の打ち上げコスト低下や無線送電技術の進歩により、実用化へ向けた議論が急速に進んでいます。著者は、SSPはもはや宇宙産業だけのテーマではなく、電力業界が真剣に検討すべきエネルギー技術になりつつあると主張しています。
AI時代の電力不足が追い風
AIやハイパースケールデータセンターの普及により、電力需要は急増しています。一方で、
送電網の容量不足
再生可能エネルギーの不安定性
系統接続 (Interconnection) の遅延
電力システムの強靱化(レジリエンス)
などが課題となっています。
レジリエンスとは、
「停電や災害、設備故障、サイバー攻撃などが起きても、電力を安定して供給し続けられる能力」
を指しています。
著者は、
「必要なのは単なるクリーンエネルギーではなく、安定供給 (firm)、必要な時に供給でき (dispatchable)、大規模展開可能 (scalable) な電源であり、SSP は地上の太陽光や風力を補完する存在になり得る」
と説明しています。
実際に進む商業化
記事では、2026年の SF Climate Week で講演した3社の事例を紹介しています。
Virtus Solis Technologies
元SpaceXエンジニアが創業
マイクロ波送電方式
500MWの初期導入契約を締結
24か月以内に実証開始予定
将来的には100MW~20GWへ拡張可能
Overview Energy
静止軌道から近赤外線レーザーで送電
夜間でも既存の太陽光発電所へ電力供給
2028年にSpaceXで打ち上げ予定
2030年にメガワット級衛星を計画
Metaのデータセンター向け容量予約契約を締結
Reach Power
地上向け無線給電システムは既に商業利用
ロボット、防衛、遠隔設備向けに導入済み
NASA関連ミッションを2027年に予定
米国防総省も顧客
3社とも、安全面ではFCC基準を満たし、家庭用Wi-Fi程度の電力密度に抑える設計だとしています。
SSP最大の特徴は「地理的に自由な送電」
著者が最も重要視している特徴は、
Geographic Dispatchability
地理的ディスパッチ性 ─ 必要な場所へ、必要なタイミングで電力を送れる
です。従来は、
発電所
送電線
消費地
が物理的につながっている必要がありました。
一方、SSPでは静止軌道上の衛星から、
サンフランシスコ
テキサス
スペイン
南米
など、需要が高い地域へ瞬時に送電先を切り替えられる可能性があると言います。つまり、
発電所ではなく「宇宙の発電衛星」が世界中へ電力を配分する
という新しい電力インフラの構想です。
コスト競争力
SSPの目標発電コスト (LCOE, Levelized Cost of Electricity) は、
50~100ドル/MWh
としています。昼間の太陽光発電と比較すると高いですが、
原子力:80~130ドル/MWh
長時間蓄電:約93ドル/MWh
ガス火力ピーカー:150~200ドル/MWh
と比較すれば競争力があると主張しています。
さらにNASAは2050年までに、
30~80ドル/MWh
まで低下する可能性を示しているとのことです。
ガス火力ピーカー (Gas Peaker) は、
電力需要がピークになったときだけ運転するガス火力発電所
のことです。
今後の課題
記事では、
実証プロジェクト
規制整備
標準化
電力会社との連携
が今まさに始まっている段階であり、この時期に参画した企業が将来の市場形成に大きな影響を与えると述べています。
2026年9月にはワシントンD.C.でSSP専門シンポジウムが開催され、電力会社、データセンター事業者、規制当局などが議論を行う予定です。
記事の結論
著者は、
宇宙太陽光発電は、もはや宇宙開発の話ではなく、エネルギー産業の話になった
と締めくくっています。
AI時代の爆発的な電力需要に対応するため、SSPは地上の再生可能エネルギーや蓄電池、原子力を補完する新たな選択肢として、商業化へ向けた動きが本格化しているというのが記事の主張です。
補足説明
未来少年コナンの「太陽塔」は夢のようなエネルギー源でした。
しかし現実の宇宙太陽光発電は、宇宙の発電衛星だけでは完結しません。地上にはマイクロ波やレーザーを受けて電力へ変換する大規模な受電設備(レクテナ)や送電インフラが必要であり、その建設や運用も実用化の重要な課題になります。
地上側も巨大設備になる
下記の記事では、
5~10km²規模のレクテナ(受電アンテナ)
が必要になると説明しています。
つまり、
宇宙の巨大太陽電池
↓
マイクロ波・レーザー
↓
5~10km²のレクテナ
↓
送電網
という構成になります。
この点は、「宇宙に巨大衛星を作れば終わり」ではなく、地上にも発電所並みのインフラが必要であることを示しています。
