水星逆行と相場感
ラジオNIKKEIの番組を聞いていると、ときどき驚かされることがあります。ベテランの市場関係者が、まじめに「水星逆行」の話を持ち出すことがあるのです。
科学技術が高度に発達した現代において、占星術と市場を結びつける考え方は、さすがに時代遅れではないか…。
最初はそう感じていました。
しかし、考えてみると、相場の世界では 合理的ではないもの が意外なほど大きな影響力を持つことがあります。
水星逆行とは何か
水星逆行は実際に存在する天文現象です。
もっとも、水星が本当に逆方向へ公転しているわけではありません。
地球と水星の公転速度の違いによって、水星が空の上で一時的に後戻りしているように見える 見かけ上の現象 です。
天文学的にはよく理解されている現象であり、水星逆行と人間社会の出来事との因果関係について、科学的根拠は確認されていません。
それにもかかわらず、西洋占星術では古くから、
コミュニケーションの混乱
交通機関の遅延
機械トラブル
判断ミス
などが起こりやすい期間だと考えられてきました。
相場の世界に残るアノマリー
投資の世界には、昔から数多くのアノマリーが存在します。
セル・イン・メイ (Sell in May)
掉尾の一振
節分天井、彼岸底
どれも厳密な科学では説明できません。
それでも、多くの投資家が信じることで、結果として相場に影響を与えることがあります。
水星逆行も、これと似た現象なのかもしれません。
市場参加者の一部が、
この期間は慎重に行こう
ポジションを軽くしておこう
と考えれば、それ自体が市場行動になります。
つまり、
水星逆行が相場を動かすのではない。
水星逆行を意識する人間が相場を動かす。
ということです。
相場を動かすのは、結局は人間心理
株価は企業価値だけで決まるわけではありません。
恐怖、期待、楽観、悲観、…
現在の市場ではアルゴリズム取引が大きな存在感を持っています。
しかし、そのアルゴリズムを設計し、運用し、リスクを管理しているのは人間です。
そう考えると、水星逆行を話題にする市場関係者が存在すること自体は、決して無意味ではありません。
私自身は水星逆行に投資判断を委ねるつもりはありませんが、「市場参加者が何を信じているのか」を知ることは、相場を理解するうえで決して無駄ではないと思っています。
結局のところ、相場は数字だけで動いているわけではありません。そこには、時代が変わってもなお、人間の心理が色濃く反映されているのだと思います。
