任天堂に怒られた会社が払った金額、合計33億円。ここから学べる「パクられない仕事の作り方」
任天堂の法務部が「最強」って言われてるの、聞いたことありますか?
ネットミームみたいになってるんですけど、ちゃんと調べたらマジで最強だったんですよね。
で、調べていくうちに「これ、個人の働き方にも応用できるな」と思ったので、今日はその話をします。
外国人に大人気だった「公道マリオカート」の末路
数年前、東京とか大阪の観光地で、外国人観光客がマリオとかルイージのコスプレして公道をカートで走ってるの、見たことありますか?
SNSでめっちゃバズってたんですよ。「日本来たらこれ乗りたい!」みたいな感じで、外国人観光客に大人気でした。
TripAdvisorとかでもレビュー5000件超えてましたからね。すごい人気だった。あれ、「株式会社マリカー」っていう会社がやってたレンタル事業なんです。
…はい、もう名前の時点でアウトな気配がすごいですよね。
「マリカー」って、任天堂の「マリオカート」の略称として日本中で使われてる言葉じゃないですか。それを社名にしちゃってるんです。
しかもこの会社、マリオやルイージやピーチ姫のコスプレ衣装を用意して、お客さんに着せて、その写真を宣伝に使ってたんですよ。
なんていうか、度胸がすごい。任天堂を恐れないその姿勢、別の意味で尊敬します。まあ、結果訴えられてるんですけど。
任天堂からしたら「いや関係ない会社が勝手にウチのキャラ使って商売してるじゃん」ってなりますよね。普通にキレるやつ。
2017年、任天堂が訴えました。
で、この裁判がなかなかすごくて。
まず争点になったのが「マリカーって言葉を聞いて、みんな何を思い浮かべるか」なんです。
株式会社マリカー側は「マリカーは一般的な言葉です。うちの社名がマリオカートを連想させるとは限りません」って主張したんですね。
え? マリカーって言われてマリオカート以外に何を思い浮かべるんですか? 真理カーとか? 麻里カーとか? 無理がありすぎるのでは?
で、裁判所はちゃんと調べたんですよ。「マリカー」でGoogle検索したら何が出てくるか、とか。
裁判所がGoogle検索してるの想像するとちょっとシュールですよね。
裁判官が法廷で「えーと、マリカー、検索っと……」みたいな。書記官が横で「あ、それ私のパソコン使います?」とか言ってるのかな。知らんけど。
当然、マリオカートの情報ばっかり出てくるわけです。
結果、裁判所は「マリカーという言葉は任天堂のマリオカートを指すものとして広く認識されている」と判断しました。
知ってた。日本国民全員知ってた。
さらに、コスプレ衣装を貸し出して宣伝に使ってた行為についても「任天堂グループの事業だと誤認させる」と認定されました。
2020年12月、最高裁判所で任天堂の勝訴が確定。
株式会社マリカーは、不正競争行為の差止めと5000万円の損害賠償を命じられました。
5000万円。家買えますね。買えないか。都内だと買えないか。
その後、社名も「MARIモビリティ開発」に変更。なんか急に堅くなりましたね。モビリティ開発って言われても何してる会社かわかんない。まあ「マリカー」よりはマシかもしれないですね。
で、この判決に対して任天堂が出したコメントが印象的なんです。
「本判決は、コンテンツ産業の保護と発展のために極めて重要な意義がある」
自分とこの利益だけじゃなくて「業界全体のため」って言ってるんですよね。
余裕がすごい。5000万円取ってなお「業界のためにやってます」って言える会社、強すぎませんか。お前が業界か。
でもこれ、ポーズじゃなくて本気でそう思ってると思います。理由は後で話します。
33億円を払った「白猫プロジェクト」事件
マリカー事件が「ブランドの無断使用」だったのに対して、こっちは「技術の無断使用」の話です。
金額も桁が違います。5000万円から一気に33億円。ゼロが2つ増えた。インフレすごい。
スマホゲームの「白猫プロジェクト」って知ってますか?
コロプラっていう会社が出してる人気ゲームで、累計ダウンロード数が数千万を超える大ヒット作品です。
このゲームの特徴的な操作方法に「ぷにコン」っていうのがあるんですよ。
画面上に表示される仮想的なジョイスティックを指でぐりぐり動かしてキャラクターを操作する、っていうやつです。スマホゲームではよく見る操作方法ですよね。
ぷにコン。名前はかわいい。
2018年1月、任天堂がコロプラを訴えました。
「白猫プロジェクトの操作方法が、うちの特許を侵害してる」と。
コロプラからしたら「え、タッチ操作なんてみんなやってるじゃん」って思いますよね。僕も最初そう思いました。
でも任天堂が主張したのって「タッチパネルで操作するな」みたいな雑な話じゃないんですよ。
もっと具体的に「タッチパネル上で、こういう方法でキャラクターを操作すると、こういう快適な体験ができる」っていう、体験の設計そのものに特許をかけてたんです。
任天堂ってニンテンドーDSとかWii Uとかでタッチ操作のゲーム機を作ってきたじゃないですか。あの過程で「どうやったらタッチ操作が気持ちいいか」を研究しまくってて、そこで生まれた発明を特許として押さえてたんですよね。
気持ちよさを特許にしてるんですよ。何それ。強すぎる。気持ちよさに特許ってあるんだ。
しかもこの裁判、提訴前の動きがえぐいんです。
報道によると、任天堂は訴訟を起こす1年以上前、2016年の時点で、対象となる特許の内容を調整してるんですよ。
どういうことかっていうと、特許って「こういう技術を保護します」っていう範囲を文章で定義するんですけど、その文章を修正して、コロプラの「ぷにコン」をより確実にカバーできるようにしてたんです。
これ「訂正審判」っていう正式な手続きなんですけど、要するに訴訟を起こす前から「どう攻めるか」を設計してたってことなんですよね。
普通、裁判って「被害を受けた!訴える!」っていう流れじゃないですか。感情で動くやつ。
任天堂は違うんです。「被害を受けてるのは知ってる。でもまず証拠固めて、特許の穴を塞いで、相手が反論できないように準備してから訴えよう」なんですよ。
怖すぎませんか。もはや戦国武将の戦い方。詳しくないけど多分。
当初、任天堂が請求した損害賠償額は44億円でした。
それが裁判の過程で何度か増額されて、最終的に96億円まで膨らみました。
増えすぎ。裁判やってる間にどんどん増えるの怖すぎる。そんな増えていくもの?
2021年8月、両社は和解しました。コロプラが任天堂に33億円を支払うという内容です。
96億円請求して33億円で和解って、任天堂が負けたみたいに見えますか?
全然違うんですよ。
この和解金、「今後のライセンス料が含まれる」って発表されてるんです。
つまりコロプラは「ごめんなさい」してお金払って終わり、じゃないんです。「今後もこの技術を使いたいなら、任天堂のルールに従ってね」っていう契約を結ばされてるんですよ。
任天堂は訴訟を通じて、競合を潰したんじゃなくて、競合を自分の支配下に置いたんです。
なんかマフィアみたいですよね。「お前、俺のシマで商売してるよな?」みたいな。いや、ちゃんと法律に則ってるのでマフィアではないです。すみません。任天堂さん本当にすみません。
任天堂法務部が最強な「本当の理由」
ここまで読んで「任天堂の弁護士、優秀なんだな」って思いました?
それ、半分正解で半分間違いです。
たしかに優秀な人材はいると思います。北米や欧州の拠点には現地の特許弁護士を直接雇用してて、複雑な特許訴訟に対応できる体制を作ってますし。
でも、任天堂の本当の強さって「法務部が優秀」とかいう話じゃないんですよね。
会社の設計思想そのものが違うんです。
普通の会社って、法務とか知財の部門って「何かあったときに対応する」ポジションじゃないですか。開発チームが製品を作って、売り出して、問題が起きたら法務が動く、みたいな。
なんか問題起きた → 法務「え、今?ちょっと待って」って感じで動き出す。よくある感じですよね。
でも、任天堂は違うんですよ。
知的財産部っていう部門が、ゲームの企画開発をする部門と最初からセットで動いてるんです。
どういうことかっていうと、開発者が「この操作方法面白くない?」ってアイデアを出した瞬間に、知財の人が「それ特許取れるかも、調べよう」ってなるんです。
製品が完成してから「どこを守ろうか」じゃなくて、アイデアが生まれた瞬間に「これは守ろう」って動いてる。
順番が全然違うんですよ。
だから、他の会社が「任天堂のあの操作方法いいな、真似しよう」と思ったときには、もう特許で押さえられてる。気づいた時には遅い。
「いいなと思って真似したら特許侵害でした」って、なんか理不尽に感じるかもしれないですけど、任天堂からしたら「先に思いついて、先に守っただけですけど?」なんですよね。
正論すぎて何も言えない。ぐうの音も出ない。
コロプラの件で訴訟の1年前から準備してたって話、さっきしましたよね。
あれ、法務部が優秀だから1年前から準備できたんじゃないんですよ。最初から「守る」前提で会社が動いてるから、自然とそうなるんです。
任天堂が本当に売ってるもの
ここでちょっと視点を変えます。
任天堂って何を売ってる会社だと思いますか?
「ゲーム」って答えた人、間違ってはいないです。でも本質じゃないんですよね。
任天堂が売ってるのは「任天堂でしか味わえない体験」なんです。
Wiiが出たとき、みんなリモコン振ってボウリングしたじゃないですか。正月に親戚集まってWii Sportsやったよね。え、やりましたよね?
あの「振ったらピンが倒れる」っていう体験、特許で守られてるんですよ。
だから他社が「うちもリモコン振るやつ作ろう」と思っても、同じ気持ちよさは再現できない。特許で押さえられてるから。
Switchが出たとき、「テレビでも遊べるし、外に持ち出しても遊べる」って驚きましたよね。あの体験も特許で守られてます。
Joy-Conを横にして友達に渡して2人で遊ぶ、あれも特許。
もうなんか、楽しいこと全部特許にしてる。
任天堂って、PlayStationやXboxみたいに「グラフィックがすごい」「処理能力が高い」みたいなスペック競争をしてないんですよ。
スペックで勝負したら資金力のある会社に負けるかもしれない。でも「任天堂でしか味わえない体験」は真似できない。特許で守られてるから。
ソニーがフランチャイズ(人気シリーズ)を売ってて、マイクロソフトがサービス(Game Passみたいなサブスク)を売ってる中で、任天堂は特許で保護された体験を売ってるんです。
土俵が違うんですよね。
PS5とXboxが「うちの方がスペック高い!」「いや、うちだ!」ってやってる横で、任天堂は「ところでWii振ると楽しいよ」って言ってる。独自路線でマイペース。
でもそれでいいんですよ。競争のルールを自分で作ってるから。勝手にやってて、勝手に勝ってる。
だからさっきの「コンテンツ産業の保護と発展のために重要」っていう任天堂のコメント、本気だと思うんですよ。
自分たちのビジネスが「体験を特許で守る」ことで成り立ってるから、業界全体でその仕組みが認められることが大事なんです。
守りだけじゃない。攻めもすごい
ここまで「守り」の話ばっかりしてきましたけど、任天堂って攻めもすごいんですよ。
2023年に公開された「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」、観ました?
あの映画、世界興行収入2000億円超えなんですよ。ゲームが原作の映画として史上最高記録です。
2000億円ってどれくらいかっていうと、日本の映画興行収入の年間合計が約2000億円なんですよ。日本の映画市場1年分と同じ。マリオ1本で。
バグってる。完全にバグってる。
ゲームに比べたら「映画なんてオマケでしょ」って思うかもしれないんですけど、任天堂の決算を見ると「モバイル・IP関連収入」っていう項目が前年比81%増になってて、その主な要因がこの映画なんですよね。
もはやオマケじゃなくて、本業の一つになってます。副業で本業超えてきてる。
USJの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」も同じ考え方で作られてます。
普通のテーマパークって、アトラクションに乗って、写真撮って、お土産買って帰るじゃないですか。
ニンテンドーワールドは違うんですよ。「パワーアップバンド」っていうリストバンドを買うと、エリア内を歩き回ってハテナブロックを叩いてコインを集めたり、ミニゲームに挑戦したりできるんです。
テーマパークを「見る場所」から「遊ぶ場所」に変えてるんですよね。
大人が本気でハテナブロック叩いてコイン集めてるの、冷静に考えるとシュールなんですけど、でも楽しいんですよ。僕も叩きました。めっちゃ叩いた。何回叩いても楽しい。
これ、任天堂がゲームで培ってきた「体験設計」をリアルの世界に持ち込んでるんですよ。
で、この映画とテーマパーク、バラバラに存在してるわけじゃないんです。
映画を観る → マリオの世界に行きたくなる → USJに行く → グッズ買う → 家でもマリオやりたくなる → ゲーム買う → 新しいマリオの情報が気になる → 映画の続編を観る
このループを回すように設計されてるんですよね。
任天堂に入ったが最後、抜け出せない。完全に沼。課金沼じゃなくて体験沼。
任天堂はこれを「任天堂IPに触れる人口の拡大」っていう言葉で表現してます。公式の経営方針なんですよ。
「人口の拡大」って言い方、冷静に考えるとすごいですよね。国家かな?
ここから何を学べるか
任天堂の戦略、個人の働き方に置き換えるとどうなるか。
①「技術」じゃなくて「体験」を売る
任天堂は「タッチパネルの技術」を特許で守ってるんじゃなくて、「タッチパネルで快適にキャラを動かす体験」を守ってます。
これ、個人の仕事でも同じなんですよ。
「Excel使えます」って言っても「私も使えますけど」で終わりじゃないですか。Excelできる人、日本に何千万人いるんだって話。
でも「御社の営業データを30分で分析して、来月どの商品に注力すべきか提案できます」って言ったら、それは体験なんですよね。
「私もExcel使えます」とは言われない。「え、それやってほしい」ってなる。
同じスキルでも、相手が得られる「体験」として語り直すだけで価値が変わります。
②「やられた」じゃ遅い。先に囲い込む
任天堂は、アイデアが生まれた瞬間に「これ守ろう」って動いてます。コロプラの件では訴訟の1年前から準備してました。
個人で特許を取るのは難しいかもしれないですけど、「最初にやった人」になることはできるんですよ。
「こういうコンテンツやってる人いないな」と思ったら、質がどうとか言ってないで出す。
「このサービス誰もやってないな」と思ったら、完璧じゃなくても始める。
後から来た人に「あ、それ〇〇さんがやってるやつね」って言わせる側に回る。
これが「先に囲い込む」ってことです。
「まだ準備が……」とか言ってる間に誰かに取られますよ。任天堂は1年前から準備してるんだから。あなたが「準備中」の間に、任天堂は特許取り終わってる。
③ 一発で終わらせない。継続的な関係を作る
コロプラとの和解、33億円で終わりじゃなかったですよね。
「今後のライセンス料込み」、つまり継続的な契約関係を作ってました。
個人の仕事も同じで、「案件を一つこなして終わり」じゃなくて「月額で顧問契約」とか「メンバーシップに入ってもらう」とか、継続的な関係を作れた方が強いんですよ。
一回売って終わりじゃなくて、相手を自分のファンにする。そうすると、新しい仕事を取りに行かなくても向こうから来るようになります。
任天堂が33億円取った上に「今後もよろしく」って言ってるの、見習いましょう。さすがにスケールが違いすぎますけど。僕らは33円からでいいので。
まとめ
今日の話をまとめると、
任天堂は「ゲーム」じゃなくて「体験」を売ってる
その体験を守るために、開発段階から知財部門が動いてる
だから訴訟になっても勝てるし、そもそも訴訟にならないように先回りできる
これは個人の働き方にも応用できる
法務部が最強なんじゃなくて、会社の設計思想として「パクられない」が組み込まれてるんですよね。
「あなたじゃなきゃダメな理由」を先に作っておく。
これ、個人でもできると思うんですよ。
やってみてください。
【注意】
僕は法律の専門家じゃないので、この記事の内容には間違いがあるかもしれません。「ここ違うよ」ってところがあったら、コメントで優しく教えてください。優しくね。傷つきやすいので。
あと、この記事は公開情報をもとに書いてます。任天堂さんの公式見解ではないです。
任天堂法務部に見つかりませんように。(祈り)
この記事が参考になったらスキ押してもらえると嬉しいです。フォローしてくれたらもっと嬉しい。泣いて喜びます。
【編集後記:なぜ、AIの記事なのに「深くて面白い」のか?】
最後まで読んでいただきありがとうございます。Biz-3編集長です。
実は、この記事… リサーチから執筆まで、作業の9割をAI(Gemini & Claude)に行っています。
ただ、皆さんも経験があるかもしれませんが、AIに普通に頼んでも、 「浅い情報のまとめ」や「教科書みたいにつまらない文章」しか出てきませんよね?
私が開発したのは、その壁を突破する2つの特別なプロンプト(指示書)と制作手順です。
❶ 【分析】コンサル級の「完全網羅レポート」を作らせる
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(※この記事で使ったプロンプトもそのまま載せています)
👇 プロンプトの解説と入手はこちら
https://note.com/biz_3/n/n5fef7e8cad13
