組織的なコーチングの導入はパワハラ対策になるのか?~人事院月報10月号に掲載された研究レポート「パワー・ハラスメントを生まない組織文化へ-公務職場におけるコーチングの有用性」より
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
こちらの記事で書きました通り、11月より、noteの毎日更新を再開しています。木曜は「学びと成長の日:大学講師絡みのこと、コーチングの話」のテーマとなります。
今回は人事院月報10月号に掲載された、「パワー・ハラスメントを生まない組織文化へ-公務職場におけるコーチングの有用性」という記事を紹介します。
人事院月報についてはこちら。
今回、紹介するレポートはPDF版がこちらから読めるようです。(タイトルは少し違うものになっています。)
10年以上前から、ある上場企業の営業職にコーチングプログラムを導入するお手伝いをしています。先日、その導入に関わられた方と現在、導入に貢献してくださっている方と飲む機会があり、そこで、その組織内の展開状況について話していました。そもそもコーチングは強制では学べない(=コーチング研修は役に立たない)と私は思っているので、そのプログラムも手上げ式で、希望者のみが参加するものなのですが、たいていは上司の方がこのプログラムに参加することで、マネジメント能力が上がって出世し、それで部下の方に薦める、という流れで脈々と続いています。そんな中、頑強にコーチングを否定している上司の方がいて、この方が参加しないのはもちろん、部下にも薦めないので、そこではなかなか広がらない、という話をしていました。
その頃、ちょうど、今回紹介するレポートの取材を受けていたこともあり、その「コーチングを頑強に否定している上司」の特徴を訊いてみたところ、「パワハラ体質」ということでお二人の認識が一致しました。ちなみに誤解のないように付け加えておきますと、実際にパワハラをしている、という意味ではなく、一歩、間違えばパワハラになりそうなマネジメントスタイル、という意味です。
逆に言えば、「パワハラ的なマネジメント」と「コーチング的なマネジメント」は相性が悪い、とも言えます。実際、プログラムの参加者の中で、「以前はパワハラ体質だった上司がこのプログラムを受けて急に優しい上司に変わったので興味を持った」ことで興味を持って下さった方も確かにいたなぁ、と思い出しました。
さて、そんな個人的な体験もあり、今回のレポートを興味深く拝見しました。導入部分で、国家公務員からの苦情相談の内訳として「パワー・ハラスメント・いじめ・嫌がらせ」が最も多くを占めているのに、こと、パワハラに関しては、「業務上必要かつ相当な範囲」と判断されてパワハラとして扱われないことがある、とあります。
また、「制度や研修といった仕組みだけではパワハラが解決できない原因は「人と人との関係性」にあるのではないか」というところから、「人と人との関係性」に働きかけるコーチングをパワハラ防止対策に活用できるのではないか、として、論を進めています。
私が最近、お伝えしているコーチングの3本柱は、「強みに焦点を当てる」「理想型問題解決」「支援的対話」なのですが、これらができるようになると、確かにパワハラ的なコミュニケ―ションにはなりませんし、そもそも、人との関係性はよくなります。もっとシンプルに言えば、パワハラ的な人は、マクレガーのX理論・Y理論で言うところのX理論(部下は指示しないと動かない)が根底にあるような気がします。一方、コーチングを学ぶとY理論(部下を信頼)ではないとそもそもコーチングができませんので、結果としてパワハラ体質ではなくなる、ということがあるように思います。

このレポートの最後にも触れられていますが、まだまだコーチングがパワハラ対策に有効であるという実証研究は不足していますが、コーチングを学ぶのではなく、コーチングを受けることで効果があったという海外の先行文献も紹介されており、もしかしたら今後、そういった研究も増えてくるかもしれません。期待したいところです。
ただ、気をつけないといけないと思うのは、まだまだ日本ではコーチングを「スキル」だと思っている人も多く、実際にはコーチという役割が重要なのですが、この誤解から、「強制的にコーチングを学ばせる」という全くY理論ではないやり方を取ってしまうと、逆効果になってしまう可能性がある、ということです。
そういう意味では、まだまだコーチングそのものの研究と実証が足りないということで、そういう発信ももっとしていかないとな、と思いました。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。
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