【戯作】静かな水戸
君は、水戸がどんな場所か説明できるか?
東京の隣にある田舎みたいなところ?
いんや。そんな分かりやすいもんじゃあないよ。
納豆、梅、黄門、よく聞くやつね。
いやいや、そんな分かりやすい水戸だったらむしろ親切じゃないか。あれは夢を与えるためのものって誰もが分かるからね。
水戸はね、うんと静かなんだよ。
とっても、とっても。
海からの空気が底をつたうんだ。風は生ぬるい。
水戸の底ってのは空気が冷たそうだろ、いや、だいぶぬるいんだ。
君はな、そこでは何も理解できないんだ。
到底君の思いつく限りの考えを巡らせても、辿り着けないんだよ、答えには。
もし水戸に来ても、誰も説明してくれないんだ。
何故君がそこにいるのかも、
何故そこに珍走団が走っているのかも、
何故いばらぎって訛ってるのかも、
何故光圀なのに黄門様っていうのかも、
何故山のほうに巨大なはにわ像があるのかも、
何故白い大仏みたいな像が海のほうにあるのかも、
何故地震のときに映るクネクネタワーをおもしーって笑うのかも、
自分が水戸で何をしたのかも、
いつそこから出られるのかも。
僕が水戸に行ったことがあるかだって?
そらぁ、うん、想像にお任せしますよ。少しは自分で考えてください。何でもかんでも僕に聞かないでください。
分からないって不気味で、奇妙で、魅力的で、怖いだろう。分かれば怖くないんだよ人間。
「はい、これがそうです」っと言われれば「はい、そうですか」でスッと入ってくるだろう。
え、僕が誰かって?それも自分で考えてくださいよ。
とりあえず君に教えておきたいのは、水戸は君の想像以上に理解ができなくて妖しい場所ってことだよ。
気づかないかもしれないね、うん。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
納豆ご飯さんの「静かな」シリーズのパロディです。偶然にも納豆つながりですね。ローカルネタに置き換えてみました。文体をほとんど同じ感じにしてありますが、お楽しみ頂けましたでしょうか?
地名ということでピザさん寄り、でしょうかね(一応地元なもんで)
答え合わせは「地球の歩き方」茨城版で!(PRではありませんよ。笑)
☆解説
何故そこに珍走団が走っているのかも
→週末、深夜になるとどこからともなく現れる。五月蠅い上に、うっかり遭遇すると邪魔なのでなかなか面倒くさい。何故いばらぎって訛ってるのかも
→地元の人は訛っていないつもりで「いばらき」と言っているが、よその人は「いばらぎ」と聞こえるらしい。より訛っていると「えばらぎ」(「い」と「え」が逆になる)。例:色鉛筆→「えろいんぴづ」何故光圀なのに黄門様っていうのかも
→官職名のこと。中納言のことを昔の中国では「黄門」ということから、光圀は黄門と呼ばれていたらしい。何故山に巨大なはにわ像があるのかも
→くれふしの里古墳公園にある、「はに丸タワー」。高さ17.3m。
https://www.city.mito.lg.jp/site/education/1767.html何故白い大仏みたいな像が海のほうにあるのかも
→ダイダラボウ像(大串貝塚ふれあい公園)のこと。高さ15.25m。
https://www.city.mito.lg.jp/site/education/4803.html何故地震のときに映るクネクネタワーをおもしーって笑うのかも
→地震の時にNHK水戸放送局の気象カメラが水戸芸術館のタワー(水戸市制100周年記念で作られたもの。高さ100m)を映すと、あれは何だとネット上がザワつくらしい。ちなみに「おもしー」は「面白い」の茨城弁。

ヘッダーはJR水戸駅北口前にある水戸黄門像。白黒なのは納豆さんへのオマージュ。ヘッダーをそのまま使っても良かったんですが、どうしても象徴を載せたかったのです。勝手にパロディを含め、もろもろお許しを。
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