DivisionというゲームのSurvivalモードについて
2016年12月にリリースしてまもなく10年。2026年現在でも、SteamやUBIサイトにて入手可能。古いゲームだが、Survivalモードに関しては依然としてコアなプレイヤーは存在しており、イベントやセール時にはサーバー増強が図られるほどの人気は維持している。現在、ジャンルとして確立した脱出シューターの先駆けであり、タルコフより古いが、ゲーム中の一モードであるため知名度は低く、地味な存在だ。
しかし、このゲームには他には無い、中毒性の高い要素が詰まっており、今回は攻略的な情報も少し加えつつ、その魅力を解析してみたい。
このゲームの中毒性の肝は、「ランダム性」「プレイヤー知識による成長と報酬」「恒常的な死のリスク」「周回前提」が重ね合わさった結果だと思う。ただ、これだけだと
他のゲームにも当てはまる。Survivalはここにさらに「空間把握」「環境サバイバル」「対人心理戦」を加えたため、中毒性の総量が高いレベルに達している。
「空間把握」とはマップ構造の理解であり、敵位置の理解、そして装備品、消耗品の位置理解の統合である。Survivalではすべての位置が固定されており、ランダム性は敵が動いたり、敵同士交戦したりしてその位置に若干のぶれが発生する程度だ。この固定性がパズル性を生み出しSurvivalの個性の一つになっている。
「環境サバイバル」とは、死へとつながる寒さだ。この設定が、サバイバルを唯一無二の存在に押し上げている。寒さの設定は非常に厳しく、最序盤ではゲームに慣れた者でも油断すると死に直結する。ゲームの序盤を支配するのが、この寒さへの対処である。常に寒さに追い立てられる緊張感は素晴らしい。なお、飲食とウイルス感染対策の薬投与は必須ではなく、ライフ回復や物資発見、プレイ時間延長のためのオプション扱いとなっている。
「対人心理戦」とは、実際に交戦しなくとも物資の先取による有利不利の発生のことだ。このゲームは、固定位置にある物資をいかに早く取るかでその後の展開が雪だるま式に差を生む。とりわけ重要なのは武器であり、良い武器に早くありついた者が先行利益を独占できる。スタート時は貧弱なピストル一丁なので、時間経過でジリ貧になる。もちろん、クラフト機能があるので材料がそろっていれば隠れ家で武器をクラフトしてもいい。最初の武器箱からスポーン地点が離れすぎている場合は、クラフトすべきだろう。この辺の駆け引きも面白い。また、多くの物が敵からのドロップ品となっている。ただ、それをあてにすると運頼みなので、進行が大幅に遅れる危険性がある。
また、中毒性の要因として達成経験が重層的になっていることも挙げられる。一つ達成するごとに次の達成を促すよう無意識に誘導が行われており、いきなりすべての達成を俯瞰できないような仕組みになっている。
以下はゲーム内の用語が出るので、わからない方は読み飛ばしていただきたい。
第1段階:ライトゾーンの完走(生き延びる)
何も分からない、何も持っていない、すぐ死ぬ → 「ダークゾーンに辿り着けた」
これは純粋な生存本能への報酬。
第2段階:ダークゾーンの完走(絶望を知る)
ハンターに完敗、絶望的強さ、どうやって勝つのか → 「回収ポイントまで行けた」
この段階でリトライ動機が上昇。
第3段階:脱出成功(物語の完結)
初クリアの達成感、心拍数の上昇 → 「やっと終わった」
これは物語的カタルシス。
第4段階:ダークゾーン内のランドマーク攻略(支配感)
もはや生存ではない、制圧と掌握 → 「狩る側になった」
ここでゲーム感覚が反転。
第5段階:6つのランドマーク攻略+3ないし4ハンター撃破(制覇)
自己最強体験、完全コントロール → 「支配してる」
これはプレイヤー万能感の最大化。
第6段階:全ランドマーク攻略(完全制圧)
失敗が許されない、時間と運との戦い → 「完全制覇」
マスタリー体験の完成形。
第7段階:30分以内脱出(スピードラン)
最適化、ルート構築、ミス許容ゼロ → 「速さこそ正義」
ここから競技化。
第8段階:スコア30,000点達成(完全理解)
戦闘、探索、ルート、スコア、すべてを統合し制御する必要 → 「Survivalを理解した」
ここがやりこみのゴール。
これ以上は、自ら制限を課すプレイとなる(緑装備のみの脱出等)。
しかし、このゲームで唯一の難点がある。それは1セッションが平均1時間30分もかかるということ。上記の30,000点を目指すと2時間15分前後かかる。
まとまった時間がとりにくい人には、厳しいプレイ条件である。ただし、始めたばかりの頃は、冒頭10分も生きられずに終わるので、慣れるまでは時間の拘束には無頓着でいい。
初心者にとって、何もかもが手探り。もたもたしていると、何もしないでもすぐに死んでしまう。圧倒的な緊張感がある。
このゲームの最もおすすめの攻略方法は、自分の手でマップを書き起こすことだ。一からはつらいので、ネット上にあるマップに自らがどんどん情報を書いていく。こうすると、まさに体で覚えることになり、攻略が加速する。
最初は、武器箱の位置。次は薬の位置といった風に書いていく。そうすると、どんどんルートが最適化していくはずだ。また、好みの武器や装備を調べておくことも大事だ。だから、最初は様々な装備で実験してみるのがいい。そして、敵の武装や行動パターンも把握するべきだ。このゲームの敵AIは賢く、裏取りを普通に行う。特にハンターは賢く、あたかも人間の操作のようにふるまう。
最終的にこのゲームは「時間制限のあるパズル」となるのだが、上記の対人心理戦があるために思わぬ展開になることが多く、数百時間遊んだプレイヤーでも変化を楽しめる。
中毒性があるにもかかわらず、このゲームにはフォロワーゲームがない。単なる脱出ゲームなら多くあるが、迫りくる死に追い立てられながらの脱出ゲームは無いと思う。
立ち止まってじっくり考えることを、特に序盤と終盤において、このゲームは許さない。バトロワ的脱出ゲームと言えなくもない。とりわけ最序盤は瞬時の判断が求められる。あくまでも総合的判断力であり、瞬間的な反射神経を求めていないことがこのゲームの大きな特徴である。
なぜ、フォロワーがいないのか。このゲームバランスを再構築することが難しいのかもしれない。もしくは、作ったとしても製作費をカバーできるほど、多くの人から関心を得ることが難しいと考えられているのかもしれない。一般的な人気は得られないかもしれないが、根強いファンのいるゲームなので、ぜひ20年代のSurvivalをUBIもしくはどこか他の会社が作ってほしいと思う。実際、Survivalの後継とみられるSurvivorsというものをUBIが製作中らしい。無事にリリースされることを祈るばかりだ。
