定性データの取り扱い精度を上げたいPdMの考察
この記事はmikan Advent Calendar 2024 7日目の記事です。
前日は、弊社人事のyumaさんが採用について「mikan社の採用への向き合い方」という記事を書いてくれています!私もmikan社の採用に魅せられて入社したところもあり、是非ご一読ください!
はじめまして!株式会社mikanのBtoB事業である「mikan for School」のPdMをしているyaguと申します。
少し前に入社エントリーも書きましたので、もしよければこちらもどうぞ!
mikan for Schoolは、急成長している株式会社mikanの新規事業です。mikan社では、長らくtoCの英語学習アプリmikanを開発運営してきました。その中でユーザーさんから学校でも使えるmikanが欲しいという声が上がり、学校や塾に最適化した学習サービスを立ち上げました。
LPも今年リニューアルしましたので、よければご覧ください。
mikan for Schoolは、プロダクトとしてはまだまだ初期フェーズで、プロダクトの独自価値も磨き込んでいく必要があります。そういった中で、自分はPdMとして市場調査、競合分析に始まり、ユーザー調査など調査分析を進めてきました。
プロダクトの独自価値や解くべき課題の探索においては、背景を構造的に理解しやすい定性調査分析に重きを置いて進めています。そういった中で、もっと定性データの取り扱いの精度を上げたいな〜と思い、なぜ定性データは扱いが難しいのか?どう扱うと良いか?ついて、考察していたので、それを今回のテーマとして書こうと思います。
なぜ定性データは扱いが難しいのか?
定性分析と定量分析を比較すると、以下のような違いがあります。

※質的データ:数値で測れない質を表すデータ。例)調査対象者の発話
😨「主観的な分析」の難しいポイント
定性調査分析の過程で、主観はどうしても入ってしまう(人間だもの)。そこに認知バイアスが発生することで、解釈が歪み、事実と違う理解をしてしまう。
あるある例)ユーザーインタビューで出てきたN1の発話が自分の仮説と合致していたので、それがあたかも多くのユーザーに当てはまる事実であるような解釈をする

💡 主観的な分析の難しさに対しての対応策
認知バイアスには、確証バイアスやクラスタリングバイアスなど多くのバイアスが存在している。それらの認知バイアスを把握し、調査分析の過程でも客観的に「バイアスが入っていないか」を自問自答する。
調査分析は複数人で行ったり、レビューしてもらうことで多角的に認知バイアスに気付けるようにする。
😨「言葉を用いて質的データを分析」の難しいポイント
質的データ自体も言葉で表現されるものが多く、分析の過程も言葉を編集しながら分析していくため、言葉に対して常に細心の注意を払い続けないといけない。
質的データを分析していく過程で、具体 → 抽象を行き来する事が多い為、言葉のニュアンス(文脈)が少しずつズレていきやすい。
あるある例)分析時にインタビューの発話録から特定の発話を切り出した時点で、文脈が失われ、抽象化するときに解釈を間違えてしまう。

「言葉を用いて質的データを分析」に関しては、改めて『続・発想法』を読み返してみると、下記の内容があり、定性データを扱う際に意識したいと思いました。
📝「野外科学(≒現場のリサーチ)における雑然たる異質のデータをいかに「まとめ」たら良いか。その最後の隘路(=狭くて通行が困難な道)は、このようにデータの統合化の方法いかんにある」
📝(KJ法でグルーピングする際には)「自然に集まってきた、という感じが大切」
📝(無理なグルーピングは)「独断的な分類のワクぐみを適用し、そのできあいのワクの中に、たんに紙切れの資料をふるい分けて、はめ込んでいるにすぎない」
📝「過度に抽象化しすぎないこと。なるべく柔らかく、元の発言の肌触りができるだけ伝わるようにと表現するのが良い」
上記を自分なりに解釈してみると…
定性分析ではデータをまとめていく作業の出来次第で精度が変わる
情報を整理整頓することが目的化しちゃダメ(無理に分類しない)
過度な抽象化はせず、元の発言の文脈ができるだけ伝わるように表現する
(上記の他にも「理性で考えるのではなく情念で考える」「理性的判断が入るにしても、それは情念のあとについてくる」というのもあって、理性の反対として情念という言葉が出てくるんだけど、他の言葉で表すのが難しい。でも、なんか分かる感じもします。理屈で考えるのではなく、感情や感覚を発話者に同期させた上で情報を捉えるというか。この解釈談義で一晩飲めそうです。)
続・発想法は、KJ法について書かれた書籍ですが、「情報を整理整頓することが目的化しちゃダメ(無理に分類しない)」は、他の思考フレームワークを使う際にも意識したいと思いました。
フレームワークがあると、どうしても整理整頓することが目的化してしまう時があります。定性データをフレームワークにはめ、整理整頓できたことで満足してしまって、自分が正しく分析できていないことに気付いてないなんてことも…。
もちろん過度な抽象化により解釈を間違えることや、抽象化して違う意味にしてしまうことはNGだと思いますが、「元の発言の文脈ができるだけ伝わるように表現する」というのは、UXデザインの原理に照らし合わせるとより大事なことがわかる気がします。
なぜ文脈が大切なのか?
UXデザインの原理とは
利用状況が同じであれば、人は同じような行動・反応をする可能性が高いという状況依存性を応用している。
上記に対する自分の解釈は、人間という共通種である我々には、少なくとも同じOSが積まれているので、利用状況(文脈)が近しければ、同じような行動・反応をする可能性が高い。
この原理を利用して、ユーザー群から共通するパターンを抽出し、ユーザー像(モデル)を作成。その上でユーザー像にどういう価値を感じてもらいたいかを考えて、体験を設計する。最終的には、文脈の共通するユーザー群に価値が届く(=UXデザイン)という理解をしています。

プロダクト開発において、N1のユーザーに向けて機能開発するよりは、多くのユーザーが価値を感じるように機能開発していく場合が多いと思います。それを実現する為に、ユーザーの共通するパターンを見つけ、同じ反応を引き出すことで、多くのユーザーに価値を感じてもらえる状態を目指すという考えです。
そして、この共通するパターンを見つけ出すためには、定性調査分析が有効で、その中でも軸として捉えたいのが属性層、行為層、価値層に当たる情報です。
言葉としてはアカデミックな雰囲気なのですが、こんな感じで解釈しています。
属性層:どんなユーザーが
行為層:どんな行動をした時に
価値層:〇〇という価値を感じる
例えば、
属性層:英語の成績を上げたいが、紙の単語帳を開くのが億劫で単語学習が進まないユーザーが
行為層:通学電車の中で、スマホで単語学習ができた時に
価値層:スキマ時間で手軽に学習できる価値をmikanに感じる
この3層から共通するパターンを抽出して形にしたものを表すと、以下の図のようになります。ペルソナやカスタマージャーニーマップは実際に作成したことがある方も多いのではないでしょうか。

なぜこの3層がセットで捉えられていると良いかというと、例えばユーザー要望で「〇〇という機能が欲しいです」となった場合に、言われるがまま〇〇機能を作ってしまうと、利用文脈に合わない使えない機能になってしまう可能性があるからです。
その機能を使うのがどんなユーザーなのか(属性層)、どういった状況で何をした時に(行為層)その課題を感じて、なぜその機能が欲しい(価値層※この場合は未充足の価値)と言っているのか?これらの理解が甘いと、どうしても芯を食った体験設計になりづらいというものがあります。
そして、この3層を扱う上でも、定性データを正確に扱えないといけないわけで、続・発想法の教えが大切になってきます。
定性分析ではデータをまとめていく作業の出来次第で精度が変わる
情報を整理整頓することが目的化しちゃダメ(無理に分類しない)
過度な抽象化はせず、元の発言の文脈ができるだけ伝わるように表現する
おわりに
PdMの大事な仕事は、いかに良い課題を見つけられるかだと自分は考えてます。こういった考察を経て丁寧に定性データを扱っていった結果、以前よりもユーザーさんの課題がより立体的に掴めるようになってきました。今後もユーザーさんのことをもっとよく知り、mikan for Schoolを導入してよかった!と思ってもらえるような価値を届けていきたいと思います。
そのためにもですが…メンバーが足りていません!(採用広報)
もし、mikan for Schoolに興味を持ってくださる方がいましたら、カジュアル面談でも良いですし、ぜひお話ししましょう!
toCのmikanでもデザイナーやデザインマネージャーも募集しておりますので、よろしくお願いします!
記事の中で引用させていただいた先生方の著書
