物語の断片を探して、「周南 蚤の市×周南 本屋通り」を歩く
「蚤の市に『本屋通り』が来る!」その情報を知った時、「これは行かねば」と思いました。
初めて5月30日・31日の2日間開催となった『周南 蚤の市』 。今回は、過去3回広島で開催された『本屋通り』との初コラボです。
さらに『周南 蚤の市』のInstagramを見て、その豪華さに2度ビックリ!約40店もの本屋さんが出店しているのです。
周南市市民ライターとして、遊び尽くした『周南 蚤の市×周南 本屋通り』の2日間をご紹介します。
あの出版社さんが周南に来る!

東京や京都から出版社さんがやってくる。Instagramの発信を見て一番驚いたのが、この情報です。
出版社ブースでは「おすすめの1冊」を聞きながら、本を探してみました。
ミシマ社(京都・東京)|周防大島の暮らし『ダンス・イン・ザ・ファーム』

徳山駅南北自由通路の一番奥にあるミシマ社のブースから、今回の蚤の市探訪を始めました。

おすすめの1冊を尋ねると、「山口県にちなんだこちらはどうですか?周防大島での生活を綴ったエッセイです。この方は、地元のラジオ局にも出演されていますよ」
パラパラとめくると、島の暮らしを描いた軽快な文章が目に飛び込んできます。

奥にある、くどうれいんさんのエッセイを見つけました。
「くどうれいんさんが、フードエッセイを書くのは久しぶりなんですよ」
そう教えてもらい、思わず手が止まります。発行した出版社から、直接本の話を聞く時間。どの本も欲しくなり目移りしてしまいました。
ライツ社(兵庫)|これはお宝!『ライツ社ZINE』

私が一番楽しみにしていたのが、社員7名の小さな出版社ライツ社です。
ライツ社のコーナーで、ライツ社の本を買う!そう意気込んで向かったのですが、なんと本がない。
「手配した本が届かなかったのです。今日あるのは、僕が手持ちで持ってきたこちらだけで申し訳ない」

でもこれ、ここでしか購入できない「ライツ社のZINE」です!
ZINEになじみのない人に向けて一言で説明すると、「好き」を目いっぱい詰め込んだ自主制作の本や冊子のこと。
イベントにはよく出店しているのか尋ねてみました。
「ほとんど出かけられないですね。うちは社員数が少ないので、営業担当は1人なんです。イベントはどうしても休日だから。今回の『周南 本屋通り』は、特別です」
まさに、お宝の1冊です。
翌日の31日、ブースに伺ったら『本が生まれるいちばん側で』がありました!念願の「ライツ社のブースでライツ社の発行した本」を手に入れましたよ。
法藏館(京都)|日本で2番目に古い出版社で見つけた宮島本『安芸厳島社』

一目見た瞬間に、「京都ですねえ」と声をかけてしまいました。心の中で(京都のだんさんだ!)とツッコミを入れていた私。日本で2番目に古い出版社の法藏館です。
「学会で対面販売することはあるけれど、一般のお客様の前で販売するのは初めて。もちろん周南へ来るのも初めてです」

仏教書を中心とした専門書の出版社なので、気軽に読める本はないかもと思っていた予想を覆してくれるラインアップです。

私が手に取ったのは、幼い頃から何度も通っている宮島の本。
「宮島について総合的に書かれた本というのは、実はこの1冊しかないのですよ」
その言葉に、思わず納得してしまいました。宮島について調べ物をする時、「これ」と思える1冊に出会えずにいたからです。
翌日の31日、この本の姿はありませんでした。30日にはぎっしり並んでいたブースの本も、かなり少なくなっています。
「こんなに興味を持ってくださる人が多くいらっしゃる。来てよかったです」
独立書店は店主の個性がにじむ!

『周南 本屋通り』には、個人で営む独立書店も出店しています。印象に残った店舗をご紹介しましょう。
本と羊(福岡)|私にとっての一期一会

「本と羊」では、土門蘭さんの『死ぬまで生きる日記』のサイン本を見つけてお買い上げしました。
その会計を待っている間に、別の本の帯に目が留まります。

どれを見ても「読みたい」が湧き上がってくる選書の数々。近くにお店があれば、足繁く通っていたでしょう。
「街の中には大型書店、中規模の書店が必要だよ。そういう大きな書店があって初めて、うちのような独立書店が生きる」という言葉に、考えさせられました。
ちいさな本や マルコ(岡山)|胸に本を抱える小さなお客さま

「ちいさな本やマルコ」では、ZINEを購入。ZINEは購入できる場所が限られているので、まさに出会いの1冊です。
私がブースにいる間に、『ねずみくんのチョッキ』をお母さんに買ってもらう小さなお客さまが。
本を受け取った男の子が、大切そうにぎゅっと胸に抱える姿に、「よかったねえ」と思わず声をかけていました。
古本 斑猫軒(岡山)|読書人の奥深さに驚いた

「古本斑猫軒」で古本を見ていたら、カップルで来店した若い女性が「あっ、〇〇がある」とさっと手に取った一冊。
私には分からない詩人さん?ですが、店主さんは「この本を手に取るとはお目が高い」と大絶賛!
受け渡しの瞬間を写真に撮らせてもらいました(笑)。

『周南 蚤の市×周南 本屋通り』で時間を共有している来場者。その読書経験の豊かさに、圧倒された一瞬でした。
ニワノホンヤ(福岡)|懐かしい絵本に再会

昨年オープンしたばかりの「ニワノホンヤ」。大人向けの選書も手に取りたくなるものばかりです。

絵本は、移動販売用の車に展示されていました。その展示棚の中央に一番思い入れのある絵本が!
自宅に1000冊以上の絵本を揃えていたわが家の蔵書の中で、大人になった息子が一番好きだった絵本としてあげた、『おちゃのじかんにきたとら』の背表紙を見つけたのです。
「あっ、おちゃとらがある」と思わず叫んだ私に、ニコニコ顔でこちらを見つめる店主さん。やはり人気の1冊なのでしょうね。
私の見つけたアンソロジー

今回の『周南 蚤の市×周南 本屋通り』のテーマは“Anthology(アンソロジー)”。詩や短編、物語など複数の作品をまとめた作品集を意味する言葉です。
2日間の蚤の市散策が終わった後、購入した本を並べて驚きました。今、興味を持っているものや好きなものが色濃く出ている。まさに私のアンソロジーです。
そしてそこで出会った方とのやり取りが、本を見るたびに浮かび上がってきます。本の持つ力を改めて感じたこのイベント。
両日ともに所用があり、時間を気にしながらの2日間だったのですが、幸せなひとときを過ごしました。
またいつか、私の物語を探しに出かけられる日が来ればいいな。
この記事は、周南市の魅力をPRする周南市市民ライターとして発信しています。
▼昨年秋の『周南 蚤の市』の様子を取材した記事
