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【MBTI】ISFJの苦悩 マージナルマンの難しさ

一見無難に生きているISFJが人知れず抱えている「生きづらさ」について考察。ISFJがNeを覗き込むとき、NeもまたISFJを覗いているのだ。


0.きっかけはISFJ研究

 筆者はMBTI考察は実はISFJ研究に端を発している。非常にお恥ずかしい話なのだが、当時好きだった人がISFJだったのだ。そして案の定フラれてしまい、これが原因で部活でいじめられて干されている。

このことは今現在も許されておらず、同世代の友人を一度に失ったという体験は筆者の強いトラウマになっている。前の記事で書いた、NF型は他人との距離感がバグっているという話も実はここから着想を得ている。


 しかしそれとは別にこの出来事が、筆者が他者との関係性を意識し、組織動態、社会動態といった「社会性」に強い興味を持ったきっかけであり、心理学に興味を持った「起点」にもなっている。筆者もオス(男)なので未練や後悔が完全にないと言えばそれはウソになるのだが、今現在はむしろこちらがメインといっていい。

あの子はあのときどんな心境だったのか?という過去はノスタルジーではなく現在に至るまで地続きになっていて、むしろ原体験を離れて独り歩きしている感じがある。許されない=答えが出ないという点が尽きない興味となっているポイントかもしれない。

マハトは「罪悪感」を理解したのか?

 ところで筆者が好きなマンガに「葬送のフリーレン」があるのだが、この感情はヒンメルを失ったフリーレンや、「人間」に興味を持ったマハトのそれに近い。「もっと人間を知りたい」という真摯かつ切実な興味だ。それはもはや祈りといってもいい。

特にマハトは魔族なので、まともな人間的感性や倫理良識をおよそ持ち合わせていないキャラなのだが、その不器用さがどことなく筆者に重なる部分があって、とても親近感がわいてしまう。Ni(内向直観)やTi(内向思考)といった洞察成分が異様に濃いのはたぶんそのせいなのだろう。

 彼は「悪意」「罪悪感」という自分にない感情が何なのかを知りたがっていて、その情熱と探求心は本物だった。しかし皮肉なことに、彼の採ったアプローチはどうみても魔族としての典型行動(習性)でしかなかった。こうしてマハトは人間を知ろうと努力すればするほど、自身が人間を理解できないことを確信することになる。これは悲しい。

筆者のMBTI観もそれに近い。「普通の人」が当然に感じるであろう感覚や感性について、それを持ち合わせていない者から見たイメージを言語化したものなのだ。だから筆者のMBTI観は疎外感がベースになっていて、それを強く感じる人ほど刺さるようになっている。

1.16タイプの「センター」ISFJ

 さて今回のお題となるISFJなのだが、そのような個人的な体験や感情を抜きにしても、16タイプにおける「センター」であり、キーパーソンだと思っている。

その理由としては、ISFJが全タイプでも尖ったところのない平均的な性格であり、それでいて多数派でもあるからだ。そして特筆すべきは異なる2つ以上の社会集団に同時に属しながら、そのどちらにもなりきれないというマージナルマンとしての立ち位置になることが多く、こうした特徴がMBTIを理解する上での需要なファクターだと感じている。

ちなみに「センター」に近いタイプは他にISTJ、ISFP、ENFPなどもある。これはISTJとISFPはISFJの近似種で、実際に世の中で比較的見るタイプという認識からだ。ENFPに関しては特有の浮動性からどのような環境にも現れたり、一定数存在するという特徴を持つため、別の意味からセンター的存在とみなしている。

2.マージナルマンとしての難しさ

 16タイプのセンターたるISFJであるが、実はセンター故になかなか難しいポジションにあり、INFJやINFPとは別の「生きづらさ」がある。先ほど述べたマージナルマンになりやすいのだ。

マージナルマンとは、社会学者のクルト=レヴィンに提唱した概念で、

文化の異なる複数の集団に属し、そのいずれにも完全には所属することができず、それぞれの集団の境界にいる人。 境界人。 周辺人

というものである。たとえるなら外国人とのハーフに生まれた人などだろうか。ISFJはこうした状況に比較的なりやすい。

その理由としては、社会的地位としては強者側でありながら、実質的なメンタルは弱者寄りだからである。「私(僕)はここにいていい人間なのかな…?」という自己矛盾や葛藤をISFJは常に感じている。

そして劣勢機能Neにより、ISFJはそうした自己矛盾を感じていながらも、自分自身ではどうすることもできず、与えられた役割や目の前にある仕事をとりあえず遂行するしかない。こうした閉塞感はISFJ独自の悩みの種で、他タイプからは理解されにくいものがある。

①集団内におけるISFJのポジション

 ISFJはSJ型であるため、基本的には権力・体制側に取り込まれることで強者として振る舞うことになりやすい。

具体的には、学校生活では一軍・陽キャの取り巻きという安定したポジションがあり、社会人なら間接部門・公務員という指定席があり、女性はモテる上に主婦適性も高く、ママ友も無難にやっていきやすい、といった具合だ。

ここでいう「強者」とは、学校や会社などの組織集団に適応してうまくやっていきやすいタイプで、筆者としてはSJ型(ESTJ・ESFJ・ISTJ・ISFJ)+ESTP・ESFP・ENTJの7タイプと考えている。

 ISFJは自己評価が低く攻撃性が皆無であるにもかかわらず、なぜか権力・体制側として取り込まれ、これら強者側のポジションに入ってしまうのだ。他の一軍・陽キャタイプはTe・Se・Fe主機能といういかにも強そうなタイプが目白押しの中、このカテゴリにISFJが入ってしまうのはある意味で異質ともいえる。

なんだかアメリカザリガニがひしめく水槽に迷い込んだグッピーみたいな違和感があるのだが、この「嫌われない」という特性はISFJの大きな武器で、下位カーストやアウトサイダーになりにくい性質がある。

あくまで一般的印象なのでISFJが皆順風満帆な人生を歩んでいるというわけではないが、基本的には二軍以下に落ちることなく、INFJやINFPに比べると無難に人生をこなせる人が多い印象はある。

②ISFJの「素」のメンタリティ

 しかしISFJは社会的に強者のポジションを築きやすいにも関わらず、その本質は弱者だ。比較的恵まれた社会的な立ち位置とは裏腹に自己肯定感(自己評価)はかなり低く、そのメンタルはISFP、INFJ、INFPの側に近い。ISFJの精神性は紛れもなくIF型であり、人種的にはコチラ側なのである。

中学高校でカースト二軍の女子が、漫画やラノベを回し読みしながらくっついたりハグしているのをしばしば見かける。特に思春期の女子は自身の親友が好きすぎて「友達以上恋人未満」という特有の感情を抱くらしいのだが、ISFJ、ISFP、INFJ、INFPは全部ひっくるめてあのイメージがある。

 冒頭で述べた筆者が昔好きだった人も例によって同性から物凄い勢いでモテた。陽キャとオタグループの2つの集団に属しているため常に取り巻きがおり、学校内で1人でいるところを筆者は一度も見たことがなかった。

しかしよくよく見るとクラスで浮いている子に気にかけていたり、一緒に帰ってあげているところが度々あったので、素はやはり内向型なのだろうと思う。案の定孤立していた筆者に声をかけてくれたときもそうだった。

だからISFJはポジションとしては一軍グループにいることもあるが、素で見たときのメンタルは明らかに二軍グループ寄りになる。本人としてもたぶん陽キャにいるよりも、コチラの方が明らかに居心地がよさそうだ。

3.「どっちつかず」の代償

 先述の通りマージナルマン(境界人)は葛藤や板挟みが発生しやすい立ち位置であり「どっちつかず」の立場になりやすい。それゆえ帰属意識を得ることが思いの外難しい面がある。

ISFJは主機能Si(内向感覚)であり、ルーチンや居場所に対する愛着が深く、組織集団に対する帰属意識が強いタイプである。そうでありながら、マージナルマンとしての立場から帰属意識を得づらいタイプでもあるのだ。このことは、受け身であること、どっちつかずであることの代償ともいえる。

①陽キャからのプレッシャー

 ISFJは陽キャ・一軍ポジションに「なぜか」入ってしまうタイプである。それゆえ陽キャとしてのプレッシャーは常に付きまとう。

学生時代の陽キャグループは運動神経や面白さを常に求められる。いじめや仲間外れを行って拒絶や排除をすることもあるだろう。社会人になれば
営業職なら当然ノルマを求められる。ISFJはなまじ面接適性が高いので、うっかり大企業のソルジャー枠に入ってしまい、戦闘民族ひしめく営業職配属されてしまうことはままある。

こうした環境に置かれると、根が内向型のISFJにとっては居心地が悪くなってしまう。しかしISFJは劣勢Neであることから、会社を辞める・転職するといった、自律性を発揮して自ら判断・行動しなければならない状況はとても苦手とするため、こうなるとなかなか苦しくなる。

②INFJ・INFPからの突き上げ

 他方ISFJはキャラの被るINFJ・INFPからやっかまれやすい。社会生活においてISFJはINFJ・INFPと適性が似ているため志望職種やポジションが競合しやすく、もっぱら上位互換として扱われるため、その役割や居場所を奪ってしまうことになりやすい。

たとえば総務・人事業務、あるいは公務員といったサポート業務は需要が少なく枠が狭いため、就職活動では激戦になりやすいのだが、それゆえこのような場面では面接適性が高いISFJが選ばれやすい。

結果として面接が苦手なINFJやINFPは本来の適性や長所を発揮できる職種やポジションに就けず、下位カーストやアウトサイダーに追いやられやすい状況があることはこの記事で触れたのだが、その理由というのが生存競争でISFJに負けてしまうためなのである。


 INFJ・INFP目線からすると、自分たちそう変わらない精神性にもかかわらず、受け身のまま陽キャグループに属し、就職も恋愛(結婚)もしっかり決めていくISFJの抜け目ない点に疎外感を感じやすい。「違う人」になってしまうのだ。

ずっと一緒にいてくれるのかと思いきや、一番苦しいところで離れていくので心象が悪く、嫉妬・裏切り者という負の感情を持ちやすい。INFJ・INFP女性で病む人が多いのもコレじゃないかなと思う節がある。

一方のISFJ目線からするとこれは逆恨みもいいところで、陽キャグループに取り込まれるのも、いいとこに就職決まるのも、異性から告白されるのも、結婚や出産で幸せな家庭を築くのも自分の意思ではない。他人や社会に勝手に求められただけのことだ。そして勝ち馬に乗ることはISFJに限らず、誰しもが生きていく上で必要な戦略でもある。

だからISFJもまた、INFJやINFPのように弱者に寄り添えないことに、自身が彼らのようになれないことに、実は疎外感を感じている。つまりINFJ・INFPの「生きづらさ」の表裏にあるのがISFJの「生きづらさ」というわけだ。

②ジェンダーロールの強制

 ISFJが権力・体制側に取り込まれ、強者としてのポジションを確立できているのは「女性という部分も込みで」という部分が多少なりともある。

つまりISFJはポジションの対価として、女性としての気配りや細やかさ、ケア要素を求められやすい。タダで「サポート」とか「縁の下の力持ち」といった恵まれたポジションを得られるわけではない。間接部門職も公務員もそれ含めての評価なのだ。

 しかしMBTIのタイプと性自認は当然ながら一致しないので、女性だけが尽くさなければならないことに疑問を感じるISFJもいるだろう。

しかし「女性」という付加価値でサポートのポジションに居られるのも事実なので甘んじる他はない。それを拒めば営業行きだ。このジェンダーロールの葛藤は女性ISFJをしばしば苦しめるものになるかもしれない。

男性ISFJの場合は、女性としてのジェンダーロールを求められることはないが、その分扱いは軽くなる。つまり営業職や技能職で他のSe・Teユーザー同様の働きをしてノルマを達成して実績を立てるか、それができずに淘汰・排除されるかのどちらかだ。こうなると立ち位置はINFJやINFPと然程変わらず、窓際で小さくなっているしかない。

4.ISFJの劣勢機能Ne

 ISFJの劣勢機能Neは忘れた頃に顔を出す。普段仕事や日常生活をしている分には気にならないが、受け身ではなく自分自身で主体的に行動しなければならないとき、誰かの指示ではなく自身が問題解決をしなければならないとき、ISFJに牙をむく。

マージナルマンとして不安定な立場にあるISFJは帰属意識を得られず、劣勢機能Neを刺激されて過度に心配性になったり、過去の検証を繰り返した挙句疲れ果てて思考を停止してしまったり、どうすればいいのかわからず塞ぎ込んでしまったりする。これはSi-Tiループと呼ばれるものだ。その果てにあるNeグリップによる極端な行動は、恐慌状態に陥ったISFJのSOSである。

ISFJの自己肯定感(自己評価)の低さは未知・未来に対する恐怖からであり、高い貢献意欲も生存戦略の一環でもある(地の部分ももちろんある)。ISFJの強者に取り込まれる本能的習性は劣勢機能Neを意識しなくて済む方法ではあるが、根本的解決にはならない。

本当の意味で自分らしく生きたいなら、強者に守られた安全な場所から一歩踏み出す勇気と、リスクを背負う覚悟が必要なのかもしれない。劣勢機能と向き合う必要があるのはどのタイプも同じで、ISFJにとってのそれはNeとなるのだろう。

まとめ

 ISFJとINFJ・INFPのメンタリティは基本的には近い。NF型に一番近いS型であり、ほぼ同種の人間と見て差支えない。特にISFJと擬態したINFPは筆者でも区別がつかない。

しかしISFJは社会的地位がINFJ・INFPとは異なっており、この点で区別される。ISFJとINFJ・INFPの間には容易には渡れない大きな河があって、その対岸にいる人々というイメージだ。

しかしISFJもまた、大河の向こう岸でまた生きづらさを感じているようだ。INFJ目線では、川を隔てた向こう岸に浮かぶ、点々とした街の灯がISFJというイメージなのだが、ISFJにはこちらがどう見えているのだろうか。

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