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【新卒就職③】新卒就職を成功させると得られるもの

新卒就職を成功させるメリット。逆に言えば新卒就職を失敗すると得られないデメリットについて考えてみます。

■前回記事


新卒就職を頑張ったごほうび

 新卒就職活動は必ずやらなければならないわけではない。そして既卒就職でもなんだかんだ生きていけるので=人生終了とはならない。

筆者も新卒就職活動は盛大に爆死し、続く公務員試験でも官庁訪問で爆発四散したのだが、低空飛行のままなんだかんだで生きている。新卒就職失敗しても別に餓死したり社会から抹殺されるわけじゃない。そこは安心していいと思う。

ただそれでも多くの学生が新卒就職活動を行うのは、やはりその方がメリットが大きいからだ。どうして私たちは新卒就職活動を頑張らなければならないのか。今回はその理由を見ていきたい。

1.新入社員研修を受ける権利

 新卒就職活動を行って企業に新卒入社した際のメリットは「新入社員」のとして新人社員研修を受けることができることだ。この新入社員研修は実はかなり重要である。サラリーマンにおいて「教育を受ける権利」は保証されていないからだ。

何を当たり前のこと言っているのかと思いきや、意外と当たり前ではない。社員教育に力を入れている企業なら定期的に教育を受けることができるが、はっきり言ってナイ方が多い。そういう会社では独学で資格を取り、自己流で強くなるしかないのだが、ハッキリ言って自己流は伸びないからだ。

しかし唯一の例外として、新卒新入社員は教育を確定で受けられる。まともな会社なら3か月程度はきちんと教育してくれる。というか日本の会社でまともな社員教育が機能しているのは新卒採用くらいしかないといった方が正しい。だから貴重なのである。

①転職回数を減らせる

 そんなわけで、きちんと新入社員教育を受けられる会社に入れると、余計な転職回数を減らすことができる。この点中途採用者が未経験業種・職種に転職することになると、雑なOJTしか教育を受ける機会がないことが多いために、ミスマッチで転職を余儀なくされることが結構多い。

この手の会社は顧客LV25、先輩社員LV20、未経験者LV1とかの環境に放り込まれてあとは勝手に育ってねとなるので、パワーレベリングとなりやすく離職者が結構出る。中途採用者はほぼコレなので、ミスマッチや引継ぎ不足、人間関係などが原因ですぐ転職し直すことも少なくない。

ここで面倒見が悪い社員、ハラスメント気質のある社員がメンターになると「見て盗め」ができる人でないともたないことが多い。怒られると委縮してしまい、ミスが多発して人間関係が険悪になるため、これに耐えかねて辞める人が割と多い。一流のプレイヤーはコーチとしては三流である。

こういう人は半年か1年間そこら働いて退職し、同業他社に転職することになる。そこは前職経験が多少はあるから人間関係がそこまで険悪なものにはならず、2社目ならこなせるというわけだ。この辺は人事部や採用担当者が見えていない「退職理由のリアル」というものだ。

この点新入社員研修がある会社だと、入社3か月くらいは人事部付という特別身分で研修を受けられるので、上記中途入社社員の環境より手厚い。新入社員研修は専門性が高く、受けないとそのキャリアを積めないことも多いので、教育を受ける権利がいかに重要なのかということがわかる。

②専門実務教育を受けられる

 この新入社員教育を受けることが何故重要かというと、他で受けることができない専門実務教育だからである。こういう知識やノウハウは他で出回らないため門外不出であり、この教育を受けていること自体が機会利益でありその人のスキルになる。独学や自己流は結局伸びないのだ。

たとえば商社なら海外生活・商慣習について学べるし、広告代理店なら財閥系列企業を叩きこまれる。金融機関なら銀行・保険の仕組みや関係法令・社内手続きを学べる。ITならプログラム・ネットワーク、あるいはデザインの基礎を学ぶだろう。給料をもらいながらだ。

役所なら警察学校・消防学校でしごかれるのは当然として、税務署員なら税務大学校で税法について学ぶことになる。こういう専門実務もやはり外では出回らないため、もし辞めても一定の付加価値性を持つ。体系的な知識を持つ人が少なく希少性が高いからだ。

中途採用者の場合はこうした基礎教養を涵養することができない。知識やノウハウを得ようにもせいぜい国家資格など汎用的知識しか得られず、しかも断片的なので伸び悩むことが多い。運転免許を考えればわかるが、資格は実務にはあまり関連しないので未経験だとあまり役に立たない。

このため間接部門は経験者しか転職できず、直接部門は現場で強くなるしかないのだが、新卒就職だとここが手厚い。運よく間接部門配属ならそのスキルと経験自体が希少だし、直接部門配属でも然るべき教育を受け、3年程度その会社で実務を積めば辞めても一定の価値を持つ。


2.「総合職正社員」という身分

 それから新卒入社で得られるものは「総合職正社員」という身分である。つまり会社はその人材を「営業職」以外の運用に用いたり、役割を与える可能性が「制度的」には存在するということを意味しており、これをメンバーシップ型雇用という。

つまり新卒採用者は現場を知るために一時的に全員が営業職に配属される可能性はあるが、入社数年後の本配属決定時や、ジョブローテーション期間では、間接部門をはじめとした非営業職への配属もあり得るということだ(いわゆる「配属ガチャ」

なので新卒入社後に営業職に配属されたとしても、そこそこの大手企業に入った人は腐らない方がいい。日商簿記検定・社労士、衛生管理者、基本情報技術者あたりを取得し、自己申告書に間接部門志望を粘り強く書けば営業職から間接部門職種に配置転換される可能性もある。

①中途採用者の多くは「一般職」である

 中途採用でも入社できる企業は数多くあるが、新卒で入社する場合とはポストと扱いが決定的に異なっている。最大の違いはジョブ型雇用ということだろう。

中途採用者の場合、その多くは一般職という扱いになるため、採用した職種以外での運用可能性はあまり考慮されていない。つまり「営業職」として入社したならば、営業職以外の運用は想定されておらず、または制度的に異動の可能性が無かったりで、辞めるまでずっと営業職となる。

つまり現職種として結果が出せなくなったら転職して辞めるしかない。この点において、自己申告制度やジョブローテーション制度といった人事制度に基づいた会社側からのアクションがあり、現実的に可能性が見込めるのが「総合職」である。

ただし一般職が完全にジョブ型雇用かという不完全で、休職、懲罰、経営不振といった形で間接部門から直接部門への左遷はあり得る。反対に直接部門から間接部門の異動はまずない。人余りな上に女性枠も存在する間接部門に、あえて営業職を異動させるメリットはないからだ。

実態としては離職率に従う。既存社員を離職率の高い職種から離職率の低い職種へ配置転換する経済的メリットが会社側にはないため、そういう短期的な採算性を無視した長期的目線での運用がされる社員は幹部候補生(=総合職採用者・プロパー社員)に限られるだろう。

②「ソルジャー枠採用者」は区別される

 また注意しなければならないのは、企業によっていわゆる「ソルジャー枠採用」がある。これは大手金融機関などでよく見られる採用形態で、将来的に非営業職に配置予定の高学歴新卒採用者とは別に、もっぱら営業職として使い潰す予定の新卒採用者を採用する方式である。

これもその会社にいる間は辞めるまでずっと営業職だ。ソルジャーであることを会社は明言しないため名目的にはメンバーシップ型だが、実質的にはほぼジョブ型雇用だろう。全国転勤のある会社なら支店や営業所を点々と異動し続け、営業職以外のキャリアを積むことはほとんどない。

また大企業グループ企業(いわゆる子会社)の場合、新卒入社組全員が直接部門要員(=ソルジャー採用)という状況もある。管理部門職は本体企業の総合職が出向・天下りしてくるパターンであり、子会社の新卒正社員ではなれない。これは労働集約型業種に多く見られる。


3.新卒採用限定企業に入社できる

 それから新卒就職でしか入社することができない会社も多い。これは会社の人気が著しく高いか、待遇がいいため離職率が著しく低く、常に応募者>求人募集となっているため、募集が新卒採用限定になっているという会社である。

大手の金融機関・BtoBメーカー・インフラ系企業といった市場寡占化が進んでいる会社ほどこの傾向は強い。高学歴新卒者の間でいわゆるJTC(Japanese Traditional Company)と呼ばれる企業群のうち、Tier1・Tier2あたりはこんな感じで、新卒就職しか入社チャンスがないことが多い。

外資系金融機関・コンサルティングファームも高学歴新卒しか取らないが、こちらはノルマや能力の要求水準が非常に高いので辞めていく人は多い。ただし辞めてもスキルがあれば市場価値は高い。JTCを嫌う競争心や上昇志向の強い高学歴新卒学生はこちらを目指す人もいるようだ。

①間接部門職への道が開ける

 また上記のような「新卒でしか入社できない会社」に入社すると、間接部門職などの非営業職のキャリアを歩める可能性が高くなる。たとえばメーカーなら本体企業とは別に「販売会社」(例.〇〇マーケティング)があり、保険業界では「代理店」があって、そちらに営業を業務委託しているからだ。

これらの企業体では、本体企業に入社すれば総務人事経理、法務広報IR経営企画、調達マーケティング代理店指導といった職種に従事することが多く、営業職は避けやすい。

ただし企業本体でも営業を行っている場合もあるのでよく調べた方がいい。また配置ガチャはあるので、必ずしも間接部門職や、希望の部署に配属できるとは限らない。外した場合は3年働いて第二新卒枠で転職となるが、これはジョブ型雇用では最強カードになるのでどちらにしろ有利だ。


4.新卒就職を無視できる人

 この新卒就職は特定の条件・進路があると無視または延期できる。具体的には「コネがある人」「在学中に働いている人」「特殊な業界を目指す人」という形になる。

どうしても新卒就職活動が無理な人は以下も検討してみるのも一考だ。

①新卒就職ルールを「無視」できる人

 この新卒一括採用システムは結局のところ経済性・社会性に起因するので、これを予め持っている人ならばルール破壊ができる。たとえば極端な美人、コネや推薦がある、実家が会社経営などの付加価値を持っている人ならば、このルールには必ずしも縛られずある程度無視できる。

それから既に働いている人も無視できる。学生起業経験者、スポーツ・芸能の世界で活躍している人、出版社とプロ契約している作家・漫画・イラストレーター、ソフトハウスでシステムやゲーム開発しているプログラマーなどは、あえて新卒就職活動はしなくてもいい。

逆に上記のようなルール破壊をできるカードを持たない人は、不本意でも新卒就職制度を受け入れた方が人生が好転する可能性は高い。

②新卒就職ルールを「延期」できる人

 大学院進学者、教育志望学生、公務員受験生、医療系志望学生もある程度延期できるため、大学新卒就職というルールをすり抜ける。

まず大学院進学者は2年後まで延期できる。文系の場合、ロースクール(法科大学院)は法務就職に強く、東大の公共政策大学院は国家公務員就職に強いので、学力に自身があれば院ロンダはできる。MBA(経営学修士)はエリート社員が社費留学制度で通う所なので一般人には縁もメリットもない。

教員採用試験や公務員試験は24歳までなら既卒職歴なしに対する差別がないため無視できる。試験倍率が15~10年前よりも下がっているため、上記年齢ですぐ撤退するつもりなら悪くない。ただ失敗するとそこからのリカバリーが難しい。

医療系は社会人として働いてから専門実践教育訓練給付制度を利用して専門学校に通うという方法がある。この資格は雇用保険に2年以上加入すれば得られる。そのため意外と20代や30代の入学者もいて、ルール破壊カードにはなりうる。ブラック企業や営業職がどうしてもダメな人などは。


まとめ

 新卒就職活動は、向いている人と向いていない人に二極化されやすい。これは 就職活動 ≒ 売り込み ≒ 営業力 だからで、断られる・落とされる前提でいかにして行動数や試行回数を増やせるかということだからだ。

加えて新卒は期間限定の特別な身分でありタイミングを選べない。実務経験もないので学歴・容姿・性別・ガクチカといったポテンシャル(持っているカード)で決まってくる部分が大きいので、猶更理不尽かつ不条理を感じやすいかもしれない。

就活力と営業力は残念ながら比例する現実はある。自己肯定感や打たれ強さといったメンタルの強さはその人固有のもので鍛えることは難しい。HSP気質の人などはきっと難儀すると思う。

筆者は29歳までフリーターをやっていたダメ人間なのだが、その立場から言わせてもらうと、新卒就職は頑張った方がその後の人生は有利に展開しやすいと思う。辛い人もいるかもしれないがなんとか頑張って戦おう。自分の未来を守るために。

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