【光り物】機械式腕時計の世界 ①着られる宝石箱
唐突にはじまってしまった筆者の光り物マニアシリーズ。前回はカメラについて語ったが今回は腕時計という「着られる宝石箱」について語る。 MBTIから逃げるな
腕時計という嗜好品

筆者blueはお酒やタバコの類はやらない。夜の街でお姉さんと遊ぶ度胸はないし、パチンコ競馬宝くじといったギャンブルもやらない(トレードはやる)。その意味では至極真っ当というかつまらない人生を送っている。
ただ嗜好品をまったくやらないのかと言われればそうでもなく、腕時計をささやかな趣味としている。
腕時計というと金がかかりそうなイメージはあるが、中古品や中華時計(中国製腕時計)ならまあ筆者の安月給でも楽しめるので、これをお酒やタバコの代わりに嗜んでいるという感じになる。
1.男性に許された唯一の装飾品
筆者は根っからの光り物オタクなので、若い頃は耳たぶに風穴が空いてた系の痛い人だったのだが、就職するとスーツになるためさすがにそうもいかなくなってしまった。
しかし男性に許された唯一の装飾品が存在する。腕時計である。重度の光り物ジャンキーである筆者はその質感や表情、夜光を愛でるのが好きなのだ。筆者は安価な中華時計を好んでおり、これを日替わりで楽しんでいる。光り物好きにとっては至上の贅沢といえよう。
腕時計に何を求めるのかは人それぞれだ。中には購入金額、ブランド、ステータス、リセールバリューといった資産価値を見出す人種がいて、腕時計を投資商品として欲しがる人もいるだろう。その価値観は別段否定しない。
一方で腕時計というものが単純に好きな人もいて、筆者は後者のタイプになる。数十万円する高い時計も、数万円で買える中華時計も平等に愛している。みんな違ってみんないい(さすがに数百万円のは買えないけど)
2.神は細部に宿る
①計算されたデザイン

腕時計の妙は計算されたデザインだろう。それはケース形状、インデックスの配置、フォントのサイズといった細部に始まり、サイズ感、視認性、実際手に巻いた時のバランスといった全体に至る。
腕時計は一言でいえば「庭園」だ。男性向けなら直径36mm~42mmというきわめてミクロな領域において、いかにして最適解となるデザインを詰め込み、世界観を表現できるかということになる。
良い時計はキャラクターやコンセプトが明確で、仕様として一貫性があることが多い。デザインとして「なぜそういう形なのか」という必然性があり、なおかつそれ噛み合っている。機能美というものだ。
他の要素との両立や取捨選択を行った結果として「そうなった」時計はこの機能美を伴うため美しい。これは価格にかかわらずだ。限られた予算制約線の中で最善を尽くした時計はたとえ安物であっても美しく、プロダクトとして良い製品だろう。
逆に不自然な箇所があったり、矛盾があったりすると途端にダサくなってしまう。違和感が気になってしまうためだ。そういう時計は高級時計にもよくある。だから時計は値段ではその価値を計れない。
②精密加工・表面仕上げ



腕時計のもうひとつの見どころは精密加工・表面仕上げだろう。ケースでいえば、まずどういった形にして、どこをポリッシュしてどこをヘアラインで流すのかという感じになる。
ブレスレットならコマのクリアランス(隙間)をどこまで攻められるかだろう。これを多く取ればそのブレスはゆるゆるガバガバになってしまうし、少なく取れば動きが渋くなってしまう。
またガラスも見どころでこれもグレードがある。最近の腕時計はサファイアガラスが標準となっているのだが、カーブやドームといった曲面に仕上げると切削コストが上がる。またARコーティング(無反射コーティング)の有無でも視認性が変わってくる。
これらの要素は腕時計としての質感に関わっていて、加工技術と熟練した技能が求められる。当然予算制約線によってレベルは変わってくるが、いい時計はこれらの水準が同価格帯の時計よりも優れている。
③ムーブメント


最後にムーブメントだろう。最近の腕時計は裏蓋がシースルーバックとなっていて、ムーブメントを覗くことができる。
ケースバックと違って圧入できないため耐圧性を求められる時計からは邪道とされているが、頑張って動いているテンプを覗くことができるのは楽しい。メーカーによっては自社開発ムーブメントを乗せていて、機械式腕時計の醍醐味となっている。



ムーブメントを堪能するなら手巻き式のものが良い。雲上ブランドのように数百万する腕時計は我々庶民には手が出ないが、ユニタスコピーのような懐中時計ムーブメントなら比較的安価で楽しむこともできる。
3.ギミック
それから腕時計には何らかのギミックが搭載されていることが多い。男というのは基本的にギミックが好きな生き物なのだが、筆者もその例に漏れない。手持ちの中でいくつか紹介してみたい。
①GMT機能

この時計で右下の5時を指している針はGMT針といって、通常の時針と異なり24時間で一周するようになっている。
そしてこの針は時針と独立して時刻設定できるのでこれで第二時間帯を表せる。たとえば東京時間とロンドン時間を同時に表示したり、逆に時針と合わせれば午前・午後を判別できるようにもできる。ついでに赤青のベゼルは回転するようになっているので、これも回せば第三時間帯を表せる。
このGMT機能は海外渡航する人に便利な機能で、東京時間の他にロンドン時間とニューヨーク時間を合わせれば3ヶ国の時差を同時に表せる。あまり海外旅行をしない人ならGMT針を現在時刻に合わせ、ベゼルをデフォルト位置に合わせると24時間表示としても使える。
デザインも魅力で、GMT時計はカラーベゼルになっていることが多い。色のパターンによって、ペプシコーラ、コカコーラ、スプライト、ルートビア、バットマンなどの清涼飲料にちなんだニックネームががあり、これもユニークでおもしろい。
(バットマンは飲み物だった‥‥?)
②クロノグラフ

これは簡単に言うとストップウォッチ機能で、時計とは独立して計測することができる。デジタル時計ならなんて事のない機能だが、機械式時計でこれをやるとかなり複雑な機構を必要とする。
見どころとしては機能もさることながら文字盤の華やかさだろうか。実際に使うかどうかはともかくとしてロマンがある。

また複雑機構ゆえのムーブメントの美しさも魅力だろう。この時計は中国製ムーブメントのST19というもので、スイス製ヴィーナス175のデッドコピーなので然程上等なものでもないのだがそれでもこの美しさだ。
精緻に組まれたレバーと軸石の織り成す機能美はさながら宝石箱のようで、思わずため息が出る。


これはユンカースというブランドの時計。これはドイツのポインテック社が展開しているブランドで、他にもツェッペリンなどを展開している。
この時計のクロノグラフはロシアのポレオット(パリョート)社のムーブメントを搭載しており、なんか仲良しで気に入っている。こういうコラボレーションは素晴らしい。
③トゥールビヨン

トゥールビヨンはフランス語で「渦」を意味する機構で、姿勢差による誤差を補正する機構になる。
かつて懐中時計は重力の影響を受けるため、姿勢差によって精度が狂いやすいとされていた。この機構はこれに対応するためキャリッジ(馬車の意)にヒゲゼンマイやアンクル、ガンギ車、テンプなどの駆動部品を詰んで、これごと回転するようにして姿勢差の影響を受けにくくした仕組みとなる。
トゥールビヨンは稀代の天才時計師・ブレゲによって1801年に発明されたもので、ブレゲは腕時計の歴史を200年進めたと言われている。天才の考案したメカニズムは設計が難解で、かつ組み立ても困難を極めるもので、世界三大複雑機構のひとつの数えられている。

このトゥールビヨンだが、実際のところはロマンに近い。腕時計は懐中時計と違って腕に巻くものであること、またその一方でムーブメント自体の精度が著しく向上したためだ。
そのため現在は一流ブランドの威信・技術力アピールの側面や、オープンハートにしてキャリッジの動きを楽しむというデザイン上の趣旨に近い。価格は当然べらぼうに高く、まともに買おうものならそれこそ家すら買えるレベルなのだが‥‥。
これは飛び道具的やつで、中華時計は中国驚異のメカニズムによりわずか数万円という普及価格帯で買えてしまう。そんなわけで筆者も何本か所有している。
⑤電波ソーラー


番外になるが電波ソーラー時計もポピュラーなギミックだろう。これは機械式時計とは根本的に仕組みが異なるハイテク時計で、窓際に当てておけば勝手に充電してくれて電波を受信してくれる優れ物だ。
その特性から駆動系式がクオーツ式に限られるため、機械式時計ファンからはあまり人気がないのだが、実用時計としてはやはり1本持って行くと便利だろう。筆者のようなノロマは持っていないとダメなやつだ。そんなわけで中古品を2本確保している。
なお電波時計はシチズン製がおすすめだ。理由はデュラテクトという表面硬化処理技術を持っているためで、柔らかいチタン合金でありながらラフに扱っても傷がつきにくい。
欠点としては二次電池が弱ると交換の必要がある点。またクオーツ時計としての精度は並で、ザ・シチズンやグランドセイコーなどの年差クオーツには遠く及ばない。
(え?スマートウォッチ??知りませんねそんな子は)
まとめ

そんなわけで今回登場した時計たち。三連休中ということで家の片づけをやっていたのだが、引っ張り出したが最後、撮影会になってしまった。
これらは中堅ブランドの中古品や中華時計が多いので、実はそれほど高価なものではない。そして同じく中古で買ったニコン DF(2013年発売)という古いカメラでテストついでに撮ってみたものなのだが、どの子もゴキゲンに写ってくれる。
光り物が主食の筆者にとっては非常に眼福であり、テンションが上がる。おかげで全く片付いておらず、休み中にやろうと思っていた確定申告も全く進んでいない。ダメだこりゃw
まあでもこんな休日があってもいいよね(よくはない)
リンク
自ブログでたまに時計レビュー書いてます。よろしくければご覧ください。中華時計があまりにもディープすぎて、普通の時計のレビューが一向に書けてないのが最近の悩み。
