奈良にブルーベリー農園をつくり始めた話|はじめてのnote
祖父のイチゴは、特別だった。
幼い頃、祖父が丹精込めて育てたイチゴを口にしたときの香りや味は、今でも脳裏に焼き付いています。スーパーで買うものとはまったく違う、甘さと香りが混ざり合ったあの感覚。「手間をかけてつくった果物には、人の心を動かす力がある」と、子どもながらに感じた記憶です。
それが、奈良ベリーガーデンをつくろうと思ったいちばんの理由かもしれません。
■ 長野のブルーベリー狩りで、もう一つの原体験
小学生のころ、家族旅行で長野を訪れたときのことです。
道沿いに小さな看板が出ていて、「ブルーベリー狩り」と書いてあった。個人の方が自宅の庭先でやっているような、本当に小さな農園でした。観光地でもなんでもない、ただの畑。それでも、木になっている実をそのまま口に入れた瞬間、「こんなにおいしいんだ」と思った。
楽しかった。ただそれだけなのですが、その感覚がずっと残っていました。
祖父のイチゴと、長野の小さなブルーベリー農園。この二つの体験が、「いつか自分も、こういう場所をつくりたい」という気持ちの種になっていたのだと思います。
■ 祖父の農地を守りたかった
農園の場所を奈良県大和郡山市にしたのには、理由があります。
ここは、祖父がかつて農業をしていた土地です。
祖父が亡くなり、農地は使われないまま残っていました。売ることもできた。でも、どこかでずっと「この土地でなにかをしたい」という気持ちがありました。祖父の記憶が染み込んでいるような気がして、手放せなかったのかもしれません。
「農業をやろう」と決めたとき、迷わずこの場所を選びました。祖父が耕した土の上で、今度は私が果物を育てる。それはなんとなく、自然なことに思えました。
■ 父と一緒にやっている理由
農園を始めるにあたって、父に声をかけました。
父は賑やかな人です。作業しながらいろんな話をしてくれます。昔のこと、地域のこと、祖父のこと。静かに黙々と、という感じではまったくない。
最初は「農業なんだから、もう少し集中して……」と思わないでもありませんでした。でも今は、あの賑やかさがありがたいと思っています。
農業は、特に立ち上げの時期は、うまくいかないことの連続です。思った通りにならない、計画が狂う。そういうとき、父が話しかけてくれると、「まあ、なんとかなるか」と思えます。
祖父の話をしてくれることも多い。どんな人だったか、どんな農業をしていたか。直接知らないことを、父の言葉を通して少しずつ知っていく感じが、この農園での時間をより豊かにしてくれています。
■ 奈良ベリーガーデンが目指すこと
大きな農園を目指しているわけではありません。
「完熟のブルーベリーを、木の下で食べてもらえる場所にしたい」——それが、いちばんのビジョンです。
流通に乗るブルーベリーは、傷まないように完熟前に収穫されます。農園で摘むものは違う。真っ黒に熟れた実を自分で選んで、その場で口に入れる。あの長野の庭先で感じたような「こんなにおいしいんだ」という瞬間を、奈良で届けたいと思っています。
祖父が大切にしていた土地で、父と一緒に、少しずつ。
まだ開園前の農園です。でも、「いつかあの農園に行った」と思い出してもらえるような場所を、これからつくっていきます。
完成した農園をお見せできる日を、楽しみにしていてください。

農園の日々の様子はInstagramで毎週更新しています。よかったらフォローしていただけると嬉しいです👉@blueberry_nara
