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芥川賞受賞作『バリ山行』

『バリ山行』松永K三蔵著 を読んだ。
地図にないルートを地図を読みながら進んでいく。
バリエーション山行。
フロンティア精神。孤独。いや独立独歩。
都会の喧騒を離れ、とっぷりと自分自身と向き合う時間をもつ。自然の中に溶け込むように棲息し、生き延びる。命を失うかもしれない危機感とも背中合わせ。そこで飲むミルからひく珈琲の贅沢。
それを行っているのは、会社の中でも変わり者と思われている妻鹿。社の方針と営業スタイルが違っても自分のスタイルを貫く。
一方、リストラの不安に怯え、会社に迎合スタイルで生きる波多。
対照的な二人のバリ山行は、波乱に満ちる。危機一髪で妻鹿に助けられた波多は、自分の中のもやもやを爆発させ、妻鹿とぶつかっていく。
街の本物と山の本物。仕事と遊び。どちらを選ぶか。いやそんな単純な構図ではない。
どちらにいようと、不安は消えないのだ。一人で山行すればその不安だって大きくなる。だからそれを打ち消す価値観で生きようとする。生の実感と切り拓く快感と充実感を求めて。
二つの価値観の中で揺れながら波多は妻鹿のバリ山行に惹かれていく。
山好きの私にはたまらない小説だった。

でもでもシンプルに思う。
波多さん、妻と子をもっと大切にせよ!

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