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音楽賞は、ゴールではなく入口になれる。MUSIC AWARDS JAPANをグローバル目線で考えると見えてくること。

こんにちは。Lily-Kです。
BMSGの音楽を海外読者に紹介する英語メディア「BMSG Pulse」を運営しています。

先日開催された「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」。

授賞式を見ていたときは、ただ純粋に「おめでとうございます」という気持ちでした。

でも、そのあとSNSを開いて、少し考えさせられました。

今日は、そんな「MUSIC AWARDS JAPAN」をめぐるSNSでのざわつきから巡らせた思いを書いてみたいと思います。



授賞式のあとに見えた景色

今年のMUSIC AWARDS JAPANでは、サカナクションが8冠という快挙を達成しました。

BMSG傘下のHANAも、デビュー14か月で
最優秀ニュー・アーティスト賞、
最優秀ダンス&ボーカル楽曲賞(「Blue Jeans」)、
最優秀ダンス&ボーカルアーティスト賞
という3冠を受賞。
本当に素晴らしい快挙だったと思います。

まずは、受賞された皆さん、本当におめでとうございます。

一方で、SNSには喜びだけではないさまざまな声も流れていました。

BE:FIRSTが、HANAと同じ部門にノミネートされていたこともあり、「HANAの受賞はうれしい。でもBESTYとしては正直悔しい」という声。

XGのファンダムからの反応。

Mrs. GREEN APPLEの最優秀アーティスト賞を巡る議論。

推しが受賞できなかったら悔しいと、そう感じる人がいるのは自然なことだと思います。

でも、SNSを眺めているうちに、私の関心は少しずつ別の方向へ向かっていきました。

「そもそも、この賞って、どうやって決まっているんだろう?」


音楽賞はどう決まるのか

そこで、MUSIC AWARDS JAPANの投票規定を読んでみました。

読んでまず感じたのは、「思っていた以上に丁寧に制度設計されている」ということです。

もちろん、完璧な制度だと言いたいわけではありません。
そもそも、芸術に「完璧な審査」なんて存在しないでしょう。

それでも、アーティストやクリエイターだけでなく、音楽業界関係者、海外投票メンバーなど、多様な立場から音楽を評価しようとする仕組みが整えられていました。

規定を読んでみて、外から見ているだけでは分からなかった難しさがあることを実感しました。

結果だけを見て、「なぜこの人なのか?あの人ではないのか?」と意見することは簡単です。

でも、その「なぜ」に真正面から向き合い、制度として形にすることは、おそらく想像以上に難しい仕事なのだと思いました。

詳しい投票規定が気になる方は、ぜひ一度読んでみてください。


審査とは。SKY-HIの言葉

そんなことを考えていたとき、昨年、SKY-HIさんが第1回MUSIC AWARDS JAPANについて語ったインタビューを読みました。

その中で印象に残ったのが、「日本にはJ-POPを世界へ届ける入口が必要だ」という言葉です。

一方で彼は、音楽賞を主催することについて「想像すればするほどしんどい」とも語っていました。

賞を与えるということは、同時に賞を受け取れない人を生み出すということ。

その向こうには、アーティスト本人だけでなく、所属事務所やレーベル、そしてファンのさまざまな感情があります。

このインタビューを読んだ瞬間、私は、THE FIRSTなどのBMSGオーディションでSKY-HIさんが繰り返し口にしていた言葉を思い出しました。

「自分はなんと業の深いことをしているのかと思う」

自分の判断一つで、人の人生が変わる。

審査とは、権力ではなく責任なのだということです。

その言葉を思い出すと、「音楽賞も同じなのかもしれない」と感じました。

誰かが受賞するということは、誰かが受賞できなかったということでもあります。

その構造そのものは、変えようがないのです。


音楽賞が担うべきもの

でも、だからこそ私たち音楽ファンは、少し視点を変えてみてもいいのではないかと思いました。

HANAが受賞したからといって、BE:FIRSTやSTARGLOWの価値が変わるわけではありません。

同じことは、Mrs. GREEN APPLE、米津玄師さん、藤井風さん、XGにも言えます。

それぞれが、まったく違う音楽をつくり、違う表現を追い求めています。
それぞれ唯一無二の素晴らしい音楽です。

音楽賞は、その年のある側面を評価することはできても、アーティストそのものの価値を決めることはできません。

だから私は、受賞した人には、その瞬間を心から祝福したいと思いました。

そこに至るまでには、何年もの努力や葛藤、挑戦があったはずですから。

そして同時に、受賞しなかったアーティストの音楽も、昨日までと何ひとつその価値は変わらないと思うのです。


私たちは、どんな音楽文化を育てたいのか

今回、私が一番考えさせられたのは、「私たち音楽ファンは、どんな音楽文化を育てたいのか」ということでした。

SKY-HIさんは別のインタビューで、「やさしさ」とは単に優しくすることではなく、「想像力」だと語っています。

自分の言葉が、誰にどう届くのかを想像すること。

その考え方は、音楽賞のあとに流れてくるSNSを見ていても、とても大切なことのように思えました。

悔しい。
もっと評価されてほしかった。

そう思うこと自体は自然です。

でも、その感情をどう表現するかによって、私たちが育てる音楽文化も少しずつ変わっていくのではないかと思うのです。


音楽賞は、ゴールではなく入口になれる

MUSIC AWARDS JAPANは、まだ始まったばかりです。
これから制度も改善されていくでしょうし、批判も受け続けるでしょう。

それでも、一人の音楽ファンとして願うことがあります。

この賞が、単に「誰が勝ったか」を決める場所で終わるのではなく、日本の音楽と新しく出会う入口になってほしい。

「あ、このアーティスト知らなかった。」
「この曲、聴いてみよう。」

そんな出会いが積み重なり、日本の音楽全体が盛り上がっていく。
そして、その先に世界へとつながっていく。

MUSIC AWARDS JAPANが、日本の音楽文化を祝う「祭典」として育っていけばいいなと、ひとりの日本の音楽ファンとして願わずにいられません。

推しを応援することと、日本の音楽そのものを応援すること。
本当は、その二つは矛盾しないのだと思います。

むしろ、日本の音楽全体の魅力がもっと世界へ届けば、
その中で輝く推しの音楽も、さらに多くの人へ届いていく。
それって、とても夢のあることではないでしょうか?


実は今回、恥ずかしながら、サカナクションの音楽を初めてちゃんと聴いてみました。

……すっかり、はまっています。

少なくとも私にとって、MUSIC AWARDS JAPANは、新しい音楽への「入口」になりました。

Written by Lily-K | BMSG Pulse


※今回のテーマの英語記事はこちらです。


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