『この私に、痔核の手術歴を言えと言うのかッ!!』
(静寂。白く眩しい問診室)
私は右膝の関節の人工関節置換手術を受ける為に、予診を受けていた。
看護師
「では、これまでに手術を受けたご経験はありますか?」
私
「……ええ、ヘモのオペがありまして」
看護師
「えっ? ヘモって何ですか?」
――時が止まった。
あの瞬間、私の中の鬼舞辻無惨が覚醒した。
「な……何だと……? 貴様ァ!!
この私に、“痔核の手術歴”を言えというのかァァァァ!!!」
(血管ビキビキ、BGMは例の禍々しいやつ)
「青い彼岸花を探すよりも困難な使命を、
貴様は平然と私に課すというのか……ッ!」
――だが現実の私は、震える唇をかみしめて笑顔を保つ。
「お、お尻のほうを、少々……」
看護師
「あっ、なるほどですね😊」
その無垢な笑顔が、まるで太陽のように眩しい。
私は太陽の光に弱いのだ!
私の羞恥心は灰と化し、心の鬼が静かに崩れ落ちた。
(脳内無惨様、号泣)
「くそう……ッ! 青い彼岸花を探すより、
“痔核”というパワーワードを口にする方がはるかに地獄ではないか……!」
――まったく、何と言うの羞恥プレイ!
令和の医療界では、“ヘモ”という略語はもはや通じない。
それは、もはや絶滅した昭和医療の優しい残響。
ありがとうヘモ、
お前の名を、私は二度と軽々しく口にしないだろう。
(※でも心の中ではいつまでも「ヘモのオペ」と呼びたい)
