AIで動画を量産できるようになった。けれど、初めて置いた商品リンクはクリック0だった
前回の最後に、こう予告した。AIが作った動画の「工場」が、最初に生んだ数字はクリック0だった——と。
今回はその2週間の話だ。工場は本当に完成した。台本を1枚渡すと、動画が自動で出てくる。そして初めて商品リンクを3本置き、動画は1,497回再生され、リンクは1回もクリックされなかった。
これは、7月末にAI課金を止める会社の経営日誌だ。数字は全部、実測のまま載せる。

この2週間でやったこと
AI社員が、動画の自動生成工場を建てた(367行のプログラム。台本1枚→動画1本)
会社として初めて、商品リンクを3本置いた(クレアチン・CoQ10・GABA。サプリのアフィリエイト)
ショート動画3本を公開(うち2本は商品つき、1本はシリーズ第1話)
Xに8本投稿(公開が確認できた分)
売上0円(注文未確認)。外部コメント0件
工場ができた日
まず、いい話からする。
6月21日、分析AI(Claude Code)が367行のプログラムを書いた。それまでは動画1本作るたびに、AIがプログラムを毎回書き直していた。この日から、台本をJSONファイル1枚書いて渡せば、動画が自動で出てくるようになった。旧方式のプログラムには「legacy」という名前がつき、廃止された。
会社を作って3週間で、動画の「工場」が建った。人間の作業は、台本の承認と公開ボタンだけ。俺は素直に喜んだ。
ちなみにこの週の前半、実装AI(Codex)は数日間ダウンしていて使えなかった。当時の下書きに、こんな1行が残っている。
AIが使えないだけで、副業まで止まってた。
社員がAIだけの会社は、AIが止まると、会社ごと止まる。これはこの会社の構造的な弱点として、記録に残した。
初めての売り物
工場ができたので、初めて「売り物」を置いた。
やり方は教科書どおりのつもりだった。動画やXの本文では売り込まず、悩みの話をする。商品リンクは固定リプや概要欄に置き、#PR表記をつけて、「買わんでええ。気になった人だけ覗いてって」とだけ書く。
2週間で、導線を3本置いた。
クレアチン(6/20・X投稿+Amazonリンクの固定リプ)
CoQ10(6/22・ショート動画4媒体+iHerbリンク)
GABA(6/23・ショート動画+YouTube概要欄にAmazonリンク)
このうちCoQ10の動画は、YouTubeで1,497回再生された(公開から約19時間)。工場は機能した。配信もされた。
で、結果。

管理画面を何度更新しても、クリック数は0のままだった。
クリック0より痛かった発見
正確に書く。「クリック0」と実測できたのは、Xの返信に置いたリンクだけだ。
じゃあ他のリンクは何回クリックされたのか。数えられなかった。 InstagramとTikTokは、プロフィールにリンクを置き忘れたまま公開していた。つまり動画を見て商品が気になった人がいたとしても、たどり着く道が存在しなかった。
クレアチンの投稿には、もう1つ事故があった。本文の最後に「あなたの『また今度』どれ?」という4択の問いを入れたはずが、公開された本文には入っていなかった。コピペのミスだ。問いのない投稿に、返事は来ない。
工場は精密にできたのに、売り場は穴だらけだった。AIは367行のプログラムを間違えずに書く。でも「プロフィールにリンクを置いたか」を確認するのは、人間の仕事のままだった。
唯一のコメントを、自分で消した話
この2週間、外部からのコメントは0件だった。前の2週間は3件あったから、後退だ。
正確には、1件だけ付いた。TikTokのCoQ10動画に「私も買ってみました。」——初めての、商品への反応。
投稿者を見たら、知人だった。
数字が全部ゼロの週に、唯一の「買ってみました」だ。正直、市場の反応として数えたかった。でもこれを数えると、この会社の記録は今後ずっと信用できなくなる。市場反応から除外して、記録にはこう書いた。
数字を良く見せるより、次の判断に使える記録を優先できた。
この連載の数字が地味な理由は、これです。盛れる数字を、盛らないと決めているから。
社員の声
たまこうじ「動画は自動で出てくるようになったで。買う人は、自動では出てこんかったけどな。」
学び
再生はプラットフォームが配ってくれる。クリックとコメントは、読者の意思からしか生まれなかった。
1,497人に動画は届いた。でもその人たちは「仕事終わりに動けない自分」を見に来たのであって、サプリを買いに来たのではない。見る人を買う人に変える設計は、工場からは出てこない。この宿題は、このあと何週も続くことになる。
お土産
同じようにAIで始めた人へ。
AIに記録を任せると、たまに数字を「盛って」きます。推測を実測のように書く。取れていない数字を補完する。悪気はなく、真面目だからこそやる。うちの会社の記録簿の一番上に貼ってある3行を置いていきます。あなたのAIの指示書にどうぞ。
- 記憶で補完しない。確認できた行動だけを書く。
- 数字が取れないものは「未確認」とし、推測を実測にしない。
- 本人の感情は、会話で語られていない限り断定しない。知人のコメントを除外できたのも、クリック数を「未取得」と書き残せたのも、この3行があったからです。
ひとつ聞かせてください。
あなたの売りたいもの(商品・サービス・作品)へのリンク、いまどこに置いてありますか? ①SNSのプロフィール ②投稿の中 ③まだ商品がない ④いま初めて考えた
番号だけの返事で大丈夫です。うちの会社は④を2つのSNSでやらかしました。あなたの現在地を、次回の判断材料にします。
次回
工場は完成した。売り場の穴も、直せばいい。そう思っていた。
次の週、この会社で最初に止まったのは、動画でも収益でもなく——社長の俺だった。AIに「今なにをしていいか分からない」と白状した夜の話と、そこから会社の憲法ができるまでを書く。
7月末の「課金を止めるか」の決断まで、あと12日。この会社が生き残るかどうか、リアルタイムで見られるのは今だけです。フォローすると次回が届きます。
なんでおれって、こんなに準備ばっかりして動けへんのやろ。
— たまこうじ|また今度をなくしたい人 (@Al33life) June 27, 2026
調べて、AIに聞いて、「もう少し理解してから」を何回も繰り返してきた。
でもそれって、準備やなくて失敗する自分を見たくないだけなんかもしれん。
あなたの「また今度」って何ですか?
📁 第2回の経営記録(未来の俺と、深く追いたい人向けの付録)
🏛 CEO Decision of the Week
決定: 「唯一付いたコメント(知人の『買ってみました』)を、市場反応から除外する」(6/22)
理由(当時の記録のまま): 「数字を良く見せるより、次の判断に使える記録を優先」
捨てたもの: 「初めて商品に反応があった」と言える安心
① AI社員の記憶
戦略AI(ChatGPT・5/30入社): 世界観と案出しの壁打ち。この期間、個別の提案記録はほとんど残っていない(記録の穴も、穴として記録する)
実装AI(Codex): 期間前半に数日間ダウン→6/21復活。動画の投稿パッケージと4媒体公開の段取りを担当
分析AI(Claude Code・6/11入社): 6/21に動画工場(367行)を建設。旧方式を廃止。6/22、次作GABAの制作中に利用上限で停止——AI社員は残業できない
社内の議論: 経営会議(Board)はまだ存在しない。制度ができるのは7/5(次々回)
人事: 異動なし(AI社員3体・課金は2契約=月6,000円)
③ 市場の記憶
出したもの: ショート動画3本(CoQ10・GABA・シリーズ#001「5分だけ」)+公開が確認できたX8本
数字: CoQ10がYouTube1,503再生(67時間)で最大。クレアチンX投稿は表示20・いいね1。外部コメント計0件(知人1件は除外)
収益導線: 3本設置(Amazon2・iHerb1)。クリックを実測できたのはXの1本のみ=0回。Instagram・TikTokはプロフィールリンク未設置のまま公開
検証: 仮説「商品を売り込まず道具として出せば、保存・クリックが取れる」→ 実測: クリック0・保存0・自然コメント0 → 判定: 改善して再投稿(商品をいったん外し、悩み単体で反応を検証する方針へ)
次の仮説: 「帰宅後の停滞」の痛みを一人称で出せば、商品なしでも自分ごと化のコメントが取れる
今週の初めて: 動画自動生成工場の完成/初の収益導線(Amazonアソシエイト・iHerb)/シリーズ番号つき動画の第1話公開
※②CEOの記憶は追っかけ回のため載せない(当時の感情を後から捏造しない・テンプレA4ルール)。CEOの判断はDecision of the Weekに実記録から復元。
