「まだ、書いてない。」
まだ、触れていないのに、もう始まっていた。
言葉よりも先に、
空気が変わる瞬間がある。
何もしていないのに、
もう戻れない場所に立っているような。
たった数センチの距離が、
やけに遠く感じるのは、
近づく理由が増えすぎたからだ。
触れたら壊れるのか、
それとも、
触れないことで保たれているのか。
分からないまま、
ただ、同じ呼吸を繰り返している。
——
距離が縮まらないのは、
終わる条件が揃っているから。
——
だから、“今”がいちばん長く続く。
まだ、書いていない。
でも、
もう始まっている。
