静の温度
夜だった。
浴衣の袖が、少しだけ揺れる。
風でもなく、触れたわけでもないのに。
隣にいるだけで、
距離の測り方が分からなくなる。
近いのか、遠いのか。
踏み込んでいいのか、まだなのか。
言葉にすれば、壊れそうで。
何も言わなければ、続きそうで。
ただ――
呼吸だけが、少し重なる。
視線が合う。
逸らさない。
その一瞬だけ、
時間が止まる。
触れていない。
でも、確かに“そこ”にある。
名前もついていない感情が、
静かに満ちていく。
――ねぇ。
その先を、知ってる?
答えはない。
まだ、いらない。
ただ、このまま。
終わらない手前で、
止まっている。
それだけで、いい。
👉 あなたなら、この続きをどうする?
制作・著作 しずね魅羅&きぃえぁ(協力者)
