高校受験 第1章:高校受験の全体像 〜地図を持つ〜
高校受験で多くの親が不安になる理由の一つは、「全体像が見えていない」ことです。これは、例えるなら、地図を持たずに目的地へ向かうようなものです。
多くの親は、子どもの受験対策について、
・いつから始めればよいか
・何をすればよいか
・どう勉強したらよいか
といったことで頭を悩ませます。
また、高校受験の制度に対する理解も曖昧なままです。不安になるのは当然です。だからこそ最初にやるべきことは、受験の仕組みをシンプルに理解することです。
1. 高校受験の合否は何で決まるのか?
高校受験の合否は、基本的に次の2つで決まります。これは昔から変わっていません。
・内申点(学校の成績)
・入学試験の点数(学力検査)
もちろん、公立・私立の違いや地域による細かな制度の違いはありますが、この2つが軸であることは変わりません。
公立高校における内申点と学力検査の比重は地域によって異なり、おおよそ
内申点:学力検査=3:7
内申点:学力検査=4:6
内申点:学力検査=5:5
といった配分が一般的です(この情報は各自治体の教育委員会の資料で確認できます)。*
内申点よりも、学力検査のほうが重視される傾向にあります。
*推薦入試では一般入試よりも内申点が重視される傾向にあります。
また、内申点については、
・中3の成績の比重が大きい
・ただし中1・中2の成績も評価対象になる
という点が重要です。
つまり、「中3だけ頑張ればいい」というものではないが、「中3からでも挽回の余地はある」というのが実態です。
2. 公立と私立の違い
一般入試における公立と私立の違いも整理しておきます。
【公立高校】
・内申点の影響が大きい
・学力検査とのバランスで合否が決まる
【私立高校】
・学力試験重視(学校による差が大きい)
・単願(専願)・併願制度がある*
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*単願(専願):私立高校の入試方式の一つ。合格した場合はその学校に進学することを前提に受験する方法。合格しやすくなるケースが多いのが特徴。
併願:私立高校をすべり止めとして受験する方法。第一志望(多くは公立高校)に合格した場合は、そちらに進学することが可能。
単願・併願の制度は地域や学校によって運用が異なる場合があります。具体的な条件(内申基準・優遇制度・出願方法など)は、以下の資料で確認することができます。
・各私立高校の募集要項(入試要項)
・中学校で配布される進路資料
・都道府県教育委員会の公式情報
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公立は「バランス型」、私立は「学力重視型」と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、どちらにおいても共通して言えるのは、
「最終的には学力がものを言う」
という点です。
3. 推薦入試について
ここまで一般入試について説明してきましたが、
もう一つ重要なのが「推薦入試」です。
推薦入試は、
・内申点
・学校生活の評価(出席状況・態度)
・面接・作文
などを総合的に評価して合否が決まります。
学力試験が課されない、もしくは軽い場合もあり、
「内申点が高い生徒にとって有利なルート」
と言えます。
ただし、注意点として、
・募集人数が少ない
・学校ごとの基準が厳しい
・不合格になると一般入試に切り替える必要がある
といった特徴があります。
推薦を狙うのか、一般で勝負するのかは、考えておく必要があります。ただ、推薦入試を選択する場合であっても、不合格になったときの事態に備え、学力試験への対策は必要です。
4. 受験に向けた学年ごとの心構え
仕事柄、受験に関する質問をいただくことがあります。
親として子どもが初の受験を迎えるとき、
「受験勉強はいつから始めればよいか?」
という質問がよく出されます。親として当然の疑問です。
結論から言えば、受験勉強は早ければ早いほど有利です。
しかし、親が早く意識したとしても、子どもをその気にさせることは簡単ではありません。それだけでも骨が折れます。
そのため、現実には中3から意識するケースが多いと思います。といっても、子どもが自発的に意識するケースはそれほど多くありません。ほとんどが、学校の先生や塾の先生、友達、そして親の影響によるものです。中3は受験を意識せざるを得ない段階とも言えます。
さて、ここでは、各学年で受験に対してどのように対処していけばよいのか、簡潔に整理したいと思います。受験を早くから意識する場合、中3から意識する場合の2つのパターンに分けて記載します。
【中1・2から受験を意識する場合】
中1〜中2
・勉強習慣をつける
・苦手科目を放置しない
・学校の成績を安定させる
➡受験の「土台」を作るフェーズ
中3(春~夏)
・志望校を考え始める
・模試を受ける
・学力の現在地を把握する
➡「現実を知る」フェーズ
中3(秋~冬)
・志望校を絞る
・過去問対策
・弱点補強
➡「合格に合わせにいく」フェーズ
中1~2の時期は、いわば受験をするための基礎体力をつけるとき、すなわち、「土台づくり」です。
ここで最も重要なのは、「勉強習慣をつけること」です。
中3の受験の真っただ中では、1日何時間も机に向かう必要があります。習慣のない状態からそれを求めるのは、子どもにとって大きな負担です。
中1~2の頃に勉強習慣を身につけておけば、長時間の学習もそれほど苦にはなりません。
ただし、中3になる子ども全員が勉強習慣を身につけているかというと、もちろんそのようなことはありません。むしろ少数派でしょう。
うちの子は勉強習慣がない! どうしよう!?
そのような過度な心配は不要です。中3になって受験に立ち向かっていく中で、身につけていけばよいのです。
実際、私の子どもも中1~2の頃は、宿題とテスト前の勉強が中心で、いわゆる受験勉強らしいことはしていませんでした。中3になってから月日が経つに連れ、本人の意識も徐々に強くなっていき、自然と長時間の勉強をやるようになっていました。
意外と何とかなるものです。ただ、受験直前期だけやる気を出しても手遅れになる危険性があるので、そこはご注意ください。
また、見落とされがちですが、
入試問題の60%以上は中1・2の内容
とも言われています。
特に数学や英語のような積み上げ型の科目では、基礎が抜けていると、中3の内容が理解できないということが起こります。
そのため、中3に上がる時点で基礎ができていれば、大きなアドバンテージになります。
【中3から受験を意識する場合】
中3(春~夏)
・中1~2の総復習
・勉強習慣の確立
・苦手科目の克服
・志望校の検討
・模試で現状把握
➡「基礎固め+現実認識」フェーズ
中3(秋~冬)
・志望校決定
・過去問対策
・弱点補強
➡「合格に合わせにいく」フェーズ
中1~2から準備している場合との違いは、「復習」を短期間でやる必要がある点です。
その分、負荷は大きくなりますが、正しい順序でやれば十分に巻き返すことは可能です。
また、中3になってからは、塾などを通じて申し込める各都道府県の模試を、できるだけ受験するようにしましょう。
学校の定期テストで校内での学力レベルが分かっていたとしても、受験では各都道府県の生徒(他の中学校の生徒)と競うことになります。
模試を受けることで、
・自分がどの位置にいるのか
・志望校合格に向けてどれくらい学力を伸ばす必要があるのか
といった点を、客観的に把握することができます。
合格できる高校にしか行くことはできませんが、受験の初期段階では、「行ける学校」ではなく「行きたい学校」を選ぶといいでしょう。
志望校を下げることは、あとになってからでもできます。「行きたい学校」に向けた受験勉強こそ、子どものモチベーションは上がりやすいです。
まとめ
この章のポイントを整理します。
・高校受験の合否は内申点+入学試験の点数で決まる
・公立は「バランス型」、私立は「学力重視型」
・推薦入試が目標でも学力試験の対策は必要
・受験対策は早ければ早いほどよい
・中3の都道府県模試はできるだけ受験する
・受験初期では行ける学校でなく行きたい学校を選ぶ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次の章では、子どもが受験生になったときに、親がやるべきこととして、3つの役割を紹介します。
