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高校受験 第5章:子どもとの関わり方

第2章、第3章では、高校受験において「親がやるべきこと」「やってはいけないこと」を取り上げました。本章では、「親の関わり方」について説明します。
同じ学力であっても、親の関わり方次第で、
 
・やる気が続く子
・途中で失速する子
 
に分かれることがあります。
実際によくあるケースとして、例えば、
 
・最初は順調だったのに、だんだん勉強しなくなる
・成績は悪くないのに、自信をなくしてしまう
・親が関わるほど、子どもが反発する

 
といったことがあります。
高校受験は、思春期という難しい時期に迎えます。どれほど気を配って接していても、理想通りに進まないこともあります。
この章では、特に悩みやすい
 
・勉強しないときの対応
・声かけの仕方
・モチベーションの上げ方

 
について、具体的に解説します。 


1. 勉強しないときの対応

日常的に勉強をしない子どもがいる一方で、「普段は勉強しているが、気分が乗らない日がある」という子どももいます。こうした場面に直面したとき、親としてどのように対応するのがよいのでしょうか。
まず、よくあるNG対応です。
 
・「なんでやらないの?」と責める
・無理やり机に向かわせる
・他の子と比較する

 
このような対応をすると、多くの場合、次のようなやり取りになります。
親:「なんでやらないの?」
子:「あとでやる」
親:「今やりなさい!」
このやり取りは、ほぼ確実に同じ結末を迎えます。
子どもはその場では渋々やるかもしれませんが、翌日にはまたやらなくなり、最終的には親の目を盗んでサボるようになることもあります。
つまり、その場では「やらせる」ことに成功しても、「続ける」ことには失敗している状態です。
親としての考え方のポイントはシンプルです。
子どもに勉強を無理やり「やらせる」のではなく、「やれる状態を作る」ことです。
一見遠回りに見えますが、結果的にはこれが最も効率的な方法です。
 
①まず「原因」を見つける
子どもが勉強を避ける原因を考えてみましょう。
「嫌なものは嫌」で片づけてしまいがちですが、日頃から子どもを見ていれば、何に抵抗を感じているのかはある程度見えてくるはずです。
ここでは、主な原因と対策を整理します。
 
「面倒くさい(習慣がない)」
最も多いタイプと考えられます。机に向かうまでに時間はかかりますが、一度始めれば一定の集中力で取り組めます。
このタイプは、「やる気」ではなく「仕組み」で解決するのが有効です。例えば、
 
・勉強する時間を固定する(夕食後すぐ、など)
・最初のハードルを下げる(10分だけやる)
・勉強する場所を決める
 
ポイントは、「やるかやらないかを考えさせないこと」です。
一度机に向かえばできる子なので、最初の一歩をいかに軽くするかが重要です。
なお、このタイプには「やりなさい」と言うよりも、「何時からやるんだっけ?」と確認する声かけのほうが効果的です。
 
「分からない(理解不足)」
分からないことを分かるようにするのが勉強ですが、理解できない状態が続くと苦手意識が強まり、勉強そのものを避けるようになります。
このタイプには、「できる感覚」を取り戻させることが最優先です。例えば、
 
・レベルを一段階下げた教材に変える
・できた問題をしっかり認める
・苦手分野を細かく分解する(数学→方程式など)
 
重要なのは、「分かる→できる」という成功体験を積ませることです。
また、親が教えすぎると逆効果になる場合もあります。必要に応じて、塾や学校の先生の力を借りることも有効です。
 
「やる意味が分からない(目的不足)」
高校進学のためとはいえ、将来のイメージが持てず、勉強する意味を見出せない状態です。
このタイプには、「勉強の先にあるもの」を具体化することが重要です。例えば、
 
・高校生活について話す
・興味のあることと勉強を結びつける
・短期的な目標を設定する(次のテストで○点など)
 
将来の漠然としたことではなく、できるだけ具体的に話をすると伝わりやすいです。数年先の未来を想像することが難しい場合は、「少し先の未来」をイメージさせることです。
また、「勉強しないと困る」という不安ベースではなく、「できるようになると選択肢が広がる」という前向きな伝え方が効果的です。
 
②ハードルを下げる
学習習慣が身についていない子どもに、いきなり「2時間やれ」と求めるのは現実的ではありません。
親としては「受験生なのだから当然」と思いがちですが、その考えは子どもにはなかなか伝わりません。
大切なのは、最初の一歩を踏み出させることです。
 
・「まず10分だけやってみよう」
・「この1ページだけやろう」

 
こうした声かけで十分です。
最初の一歩さえ踏み出せれば、多くの場合、
「始める → 少し続く → 気づいたら30分」
と自然に進んでいきます。
勉強において最も重要なのは、「最初の一歩」です。 

2. 声かけの具体例

子どもへの声かけは、想像以上に大きな影響を与えます。
同じ内容でも、言い方ひとつで結果が変わります。
ここでは、ありがちなやりとりをNG例・OK例の順で紹介します。
 
❌「なんでやらないの?」
→責められていると感じる
 
⭕「今日はどこまでやる予定?」
→自分で考えさせる
 
❌「こんなんじゃ受からないよ」
→不安だけが残る
 
⭕「ここをできるようにすれば、かなり良くなるね」
→改善点が明確になる
 
❌「ちゃんとやりなさい」
→抽象的すぎる
 
⭕「英語の単語を10個だけやってみようか」
→行動が具体的になる
 
よくある「間違った声かけ」として、
 
・「もっとやればできるのに」
・「本気を出していないだけでしょ」
 
といったものがあります。
一見励ましているように思えますが、子どもは「今の自分はダメなんだ」と受け取ってしまうことがあります。
やる気を高めたいのであれば、「できている部分」に目を向けることが重要です。
声かけでは、以下の点を意識しましょう。
 
・否定ではなく「問いかけ」
・抽象ではなく「具体」
・結果ではなく「プロセス」を見る
 

3. モチベーションの上げ方

子どもが受験勉強に前向きになっても、その状態が安定し続けるとは限りません。
大切なのは、「モチベーションは上下するもの」と理解することです。これは大人も同じです。
よくある誤解に、「やる気が出たらやる」という考え方があります。しかし、やる気が出るのを待っていても、いつ行動に移せるかは分かりません。数日、場合によっては数週間が過ぎてしまうこともあります。
考え方を逆にしましょう。
「やるから、やる気が出る」のです。やる気は後からついてくるものです。
ここでは、やる気を引き出すための具体的な方法を紹介します。
 
方法①:小さな成功体験を積む
学習を続けていても、すぐに結果が出るとは限りません。結果が出ない期間が続くと、子どもは焦りを感じます。
例えば、偏差値50の子が1週間勉強したからといって、すぐに60になることはありません。
そのようなときは、
 
・昨日より1問多く解けた
・単語を10個覚えた
 
といった小さな進歩を認めることが大切です。
親の声かけは、「昨日よりできているね」「ちゃんと積み上がっているね」といったもので十分です。
こうした小さな積み重ねが、やがて大きな成果につながります。
重要なのは、結果ではなくプロセス(努力)を認めることです。
 
方法②:見える化する
これは、私が子どもによく勧めていた方法です。日々の学習内容や時間を記録するだけで構いません。
具体的には、
 
・カレンダーに学習した教科と時間を書く
・終わった問題にチェックをつける

 
といったシンプルな方法です。
これにより、「何を」「どれだけ」学習したかが可視化されます。継続できていれば達成感や充実感を得られ、自己肯定感の向上につながります。
一方で、学習量が少ない場合も一目で分かるため、「もう少しやろう」という意識づけにもなります。
学習の積み重ねを見える形にすることが、子どもの自信につながります。
 
方法③:ゴールを具体化する
少し先の未来を具体的にイメージさせることも効果的です。将来の職業といった遠い目標よりも、身近で現実感のある目標の方が行動につながります。
例えば、
 
・オープンスクールに行く
・志望校のパンフレットを見る
・「合格したら○○したい」を話す

 
といった方法があります。
抽象的な目標よりも、具体的なイメージの方がモチベーションは高まります。
特にオープンスクールでは、先生や生徒と直接関わることができ、学校生活をよりリアルに感じられます。部活動の見学なども含め、学校への理解を深める良い機会になります。
 
方法④:やる気が出ない日の対処
子どもの気分には波があります。まったく勉強に手がつかない日もあるでしょう。
そのような日は無理をさせすぎないことも大切ですが、可能であれば「まったくやらない日」を作らないようにしたいところです。
例えば、「1問だけやる」「5分だけやる」でも構いません。
1日完全に休んでしまうと、翌日の再開のハードルが上がってしまいます。少しでも取り組むことで、習慣を維持しやすくなります。
ただし、寝不足や体調不良が原因の場合は、しっかり休ませることを優先してください。
 
まとめ
本章のまとめです。
・「やらせる」のではなく、「やれる状態」を作ることが重要
・勉強しない原因(習慣・理解・目的)を見極めて対応する
・声かけは「否定」ではなく「問いかけ」「具体化」「プロセス重視」を意識する
・モチベーションは「やることで生まれる」と考える
・小さな成功体験と見える化で、継続と自信につなげる
・やる気がない日でも「ゼロにしない」ことが習慣維持の鍵

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次がいよいよ最後の章となります。よくある失敗とその対策を紹介します。

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