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高校受験 第6章:よくある失敗とその対策


1. スタートが遅れる

「受験勉強はいつから始めればよいのか」と疑問に思う親子は多いでしょう。
第1章で述べた通り、その答えは「早ければ早いほどよい」です。
とはいえ、学習習慣がない中1・中2の段階から継続できる子は多くありません。また、この時期の子どもは高校受験を具体的にイメージできていないことがほとんどです。親にとっても同様で、机に向かわない子どもに勉強を促すのは容易ではありません。
 
中学生は、周囲の環境に大きく影響されます。例えば、早い段階から塾に通っている友達がいれば、受験を意識する時期も早まります。しかし、そうでない場合は、
 
・中3の夏から本気を出せばよいと思っている
・部活引退後に切り替えればよいと考える
・周囲がまだやっていないので安心してしまう

 
といった状態になりがちです。
その結果、「夏休みから始めるつもりが9月になってしまう」「部活引退後に気が抜けて1か月何もできない」といった事態も起こり得ます。これは避けたいところです。
スタートが遅れる最大の問題は、高校受験が「積み上げ型」である点にあります。
出題内容の60%以上は中1・中2の範囲と言われており、特に、英語(単語・文法)、数学(基礎理解)は短期間では伸ばしにくい科目です。
そのため、中2の終わり〜中3の春には「受験モード」に入ることが望まれます。
ここでいう受験モードとは、
 
・毎日15〜30分でも机に向かう
・中1・中2の基礎を復習する
 
といった状態です。
最初から完璧を求める必要はありません。
大切なのは、「スタートしていること」です。これだけで、その後の伸びは大きく変わります。

2. 志望校をなんとなく決める

志望校を「偏差値だけ」で選ぶのは避けたいところです。かつてはそれでも通用したかもしれませんが、現在では不十分です。
よくない例としては、
 
・偏差値だけで選ぶ
・周囲に流される
・十分に調べていない

 
といったケースが挙げられます。
志望校は、勉強のモチベーションの源になります。
受験勉強を始めた直後は勢いで頑張れるものの、時間の経過とともに目的を見失うことがあります。
志望校に明確な理由があるほど、このリスクは小さくなります。
そのために重要なのは、
 
・オープンスクールに行く
・在校生の雰囲気を見る
・通学時間を実際に体験する

 
といった行動です。
「どこでもいい」と思っていた子どもでも、「ここに行きたい」という気持ちが芽生えます。この差が、学習への向き合い方と質を大きく変えます。

3. 苦手科目を後回しにする

受験勉強が習慣化しても、得意科目ばかりやる、苦手科目を直前に回すといった偏りはよく見られます。
理科・社会に限ると、これらは暗記科目であるため、後からでも対応できるという考え方は一理あります。しかし、苦手科目は時間をかけなければ伸びません。
だからこそ、苦手科目ほど「早く」「少しずつ」取り組むことが重要です。
ポイントは、「量」ではなく「頻度」です。
1日10分でもよいので、毎日触れることを意識しましょう。

4. 親が口を出しすぎる

子どもの受験は、親にとってもプレッシャーです。その結果、
 
・学習内容に細かく口出しする
・結果に一喜一憂する
・感情的に叱る

 
といった行動につながりがちです。
しかし、例えばテスト結果が悪かったときに「なぜこんな点数なのか」と問い詰めても、状況は改善しません。むしろ関係が悪化する可能性があります。
また、過度な干渉は、主体性の低下、やらされ感の増加を招きます。
声かけは、指示ではなく問いかけに変えることが効果的です。
 
×「なんでやらないの?」
○「今日はどこまでやる予定?」
 
この違いだけでも、子どもの反応は大きく変わります。

5. 模試の結果に振り回される

模試を受ける機会が増えると、その結果に一喜一憂しがちです。結果が悪ければ落ち込み、良ければ油断する、といったことは珍しくありません。
しかし、模試はあくまで「その時点のスナップショット」です。
重要なのは結果ではなく「中身」です。
 
・どの単元で点数を落としたか
・原因がケアレスミスか理解不足か

 
といった点を分析し、次の行動につなげることが大切です。
模試は「次の一手を決める材料」として活用しましょう。

6. 生活リズムが崩れる

受験生であっても、夜更かし、休日の寝すぎ、長時間のスマホ使用といった生活は少なくありません。
しかし、生活リズムの乱れは集中力や記憶力に大きく影響します。眠い状態では学習効率が下がり、内容も定着しません。
そのため、生活リズムを整えることは非常に重要です。
例えば、
 
・23時までに寝る
・起床時間を固定する
・スマホは時間制限または別室に置く

 
といったルールを、子どもと話し合って決めるとよいでしょう。
 
まとめ
本章のまとめを整理します。
・受験は「早く始めて積み上げる」ことが結果を左右する
・志望校は具体的な理由を持って決め、モチベーションの軸にする
・苦手科目こそ「早く・少しずつ・継続的に」取り組む
・親は口出ししすぎず、「問いかけ」で主体性を引き出す
・模試は結果ではなく「弱点分析と次の行動」に活かす
・生活リズムを整えることが、学習効率と継続の土台になる

終わりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ここまで読んでくださった方の中には、「親がやるべきこと」「やってはいけないこと」の多さに圧倒され、高校受験の難しさに頭を悩ませた方もいらっしゃるかもしれません。
本書の締めくくりとして、最後にお伝えしたいのは、ここで紹介してきた内容をすべて完璧に実行する必要はない、ということです。
というより、それは現実的に不可能です(笑)。
 
私自身も、子どもの高校受験において、本書でNG例として挙げたことを何度もしてしまいました。
大切なのは、「良くないことをしてしまった」と気づけることです。
子どもは高校受験を通して成長します。そして、それは親も同じです。
「失敗しても、修正すればいい」
受験は一発勝負のように見えて、実際は「修正の積み重ね」です。
小さく気づき、小さく直す。
その繰り返しが、最終的な結果につながっていきます。
 
繰り返しますが、受験対策に絶対的な正解はありません
どの塾を選ぶか、どの教材を使うか、どのタイミングで頑張るか。
そのすべてに、「これが唯一の正しい道」というものは存在しません。だからこそ、迷うのは当然ですし、途中でうまくいかないことがあるのも当たり前です。
 
そして、もう一つ忘れてはならないことがあります。
受験の結果だけで、その子の価値が決まることは決してありません
たとえ不合格という結果になったとしても、それは「人生の失敗」ではありません。むしろ、
 
・思うようにいかなかった経験
・悩みながらも続けた時間
・壁にぶつかりながら考えたこと
 
それらすべてが、これからの人生に確実につながっていきます。
だからこそ、結果がどうであれ、子どもの努力そのものを認めてあげてください。点数や合否ではなく、
 
・毎日机に向かったこと
・苦手なことから逃げなかったこと
・少しずつでも積み上げてきたこと
 
その過程こそが、本当に価値のあるものです。
そして、これは親にとっても同じです。
関わり方に迷い、うまくいかずに悩み、ときには言いすぎてしまい、後悔することもあるでしょう。
しかし、それも含めて、親もまた受験を通して成長しています。
受験は、合格を目指すものではありますが、それだけではありません。親と子が、ともに成長する時間でもあります。
 
失敗してもいい。
遠回りしてもいい。
その中で、
 
・考える力が身につく
・続ける力が身につく
・自分と向き合う力が身につく

 
それこそが、この経験の本当の価値です。
この受験という時間が、単なる「結果を出すための期間」ではなく、これからの人生を支える土台となる時間になることを、心から願っています。

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