非常識な営業マンが教えてくれた、紹介と「人の繋がり」の本質。
会社を設立して避けて通れないのが「集客」です。私たちのような専門職にとって、新しいお客様との出会いは生命線であり、そのために何ができるかを日々考えています。
一般的に、税理士業界で最も大切にされるのは「紹介」です。
「良いサービスを提供していれば、その横の繋がりでお客様を紹介していただける」。だからこそ私たちはサービスのクオリティを磨き続けることに注力しています。
しかし最近、その「実務のクオリティ」とは全く別のルートから、驚くほど多くのご紹介をいただく機会が増えています。
そのきっかけをくれたのは、ある団体の営業をされている「一人のおじいちゃん」でした。
第一印象は「なんて無礼な人なんだ」
その方との出会いは、正直に言って最悪でした(笑)。
ある日のお昼休み。休憩に入り、一息ついていた時間帯に、彼はアポなしで突然やってきたのです。
「お昼休みに、アポも取らずに営業に来るなんて……」
今のビジネス常識からすれば、考えられないことです。正直、「なんて無礼な人なんだ」というのが私の第一印象でした。
しかし、その方の「押し」の強さは相当なものでした。もともとその団体には興味があったこともあり、彼の熱意(と少しの強引さ)に押される形で、結局私はその団体に加入することになったのです。
「非常識」の裏側にあった、温かい人間性
加入後、そのおじいちゃん営業マンとは不思議と縁が続き、定期的に二人でモーニングを一緒に食べる関係になりました。
ある朝、一緒にモーニングを食べていた時のことです。彼の指に絆創膏が貼ってあるのが目に入り、「どうしたんですか?」と尋ねました。すると「ちょっとばい菌が入っちゃって……」と少し困ったように笑うのです。
私は心配になって、「それは大変だ、すぐに病院に行ってくださいね」と伝えました。そんなやり取りを交わすほど、仲良くなっていました。
お付き合いを深めていく中で分かったのは、彼は確かに少し強引で、いわゆる「現代のビジネスマナー」には疎いかもしれないけれど、人間味に溢れ、情熱を持った「良い人」だということでした。
彼は毎日車を乗り回すのではなく、かなりの距離を自らの足で歩いて営業を回っているそうです。その一歩一歩が、今の時代には珍しいほどの実直さを物語っていました。
そして驚いたことに、その方から次々と新しいお客様をご紹介いただくことになったのです。それは実務上のサービスの良し悪しを評価しての紹介というより、もっと手前にある、「人としての繋がり」から生まれたものでした。
誘われる側から、誘う側へ
いつも彼にモーニングへ誘ってもらう立場ですが、最近はふと思うことがあります。
「次は、僕の方から彼を誘ってみようかな」と。
効率やマナーだけを突き詰めれば、お昼休みのアポなし訪問は「非効率で失礼な行為」として切り捨てられてしまうでしょう。でも、もしあの時、私がマナーを理由に彼を追い返していたら、今のような人の繋がりや、多くのお客様との出会いはありませんでした。
最後に
クラウド会計やAIを使い、業務を効率化する。ランニングコストを削り、スマートな経営を目指す。それも私たちの大切な一面です。
でも、そうして効率化して浮いた時間を何に使うのか?
それは、今回のような「ちょっと強引で、不器用で、でも温かい人間同士の繋がり」を大切にするためにも使うことができるのだと、おじいちゃん営業マンとの出会いから再確認しました。
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