積み重ねが、人をつくる。
普段は離れて暮らしている父と、この数日一緒に過ごした。
その時間の中で、何度も思ったことがある。
人は、ただ年を重ねるわけじゃないんだなって。
子どもの頃の父は、「父」という存在だった。
毎日仕事に行く人。
何でも知っている人。
それが当たり前だった。
父がどんな人生を歩いてきたのかなんて、考えたこともなかった。
でも、自分も年を重ねると、親を一人の人として見るようになる。
すると、今まで見えていなかったものが見えるようになる。
博物館では、新しい展示を見るたびに目を輝かせて、「なるほど」「面白いな」と何度も足を止める。
その姿は、まるで少年みたいだった。
暑い中でも私よりよく歩く。
驚くほど物知りなのに、「まだ知りたい」という気持ちを失っていない。
何歳になっても、新しいことに心を動かしている。
体力も、知識も、その笑顔も。
どれも一日で手に入ったものじゃない。
学び続けてきたこと。
働き続けてきたこと。
好奇心を失わなかったこと。
年齢を理由に、「もういい」と立ち止まらなかったこと。
そんな毎日の積み重ねが、今の父をつくっている。
人はみんな同じように年を重ねるわけじゃない。
年齢は同じでも、生き方によって、その人の表情も、考え方も、体力も、好奇心も変わっていく。
だから私は、父を見ていて思う。
すごいのは年齢じゃない。
その年齢になるまで、どう生きてきたかなんだ。
そして、もう一つ気づいたことがある。
親が喜んでいる姿を見ると、自分まで嬉しくなるということ。
美味しいものを食べて笑ってくれる。
初めて見るものに目を輝かせてくれる。
「楽しかった。」
その一言で、私まで幸せな気持ちになる。
親孝行って、親のためにするものだと思っていた。
でも、本当は少し違うのかもしれない。
親が笑うと、私も笑う。
親が喜ぶと、私まで嬉しくなる。
この数日で、一番満たされていたのは、案外私のほうだった。
だからこそ、会える時間を大切にしたい。
あと何回会えるかはわからない。
でも、また一緒に笑いたい。
その笑顔を見て、また私も笑っていたい。
そんな時間を一つひとつ積み重ねながら、私も年齢ではなく、生き方を重ねていきたい。
