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【UTAKO恋愛実録 #2-5/心の中には、いつも西住くんがいた】

UTAKO恋愛実録 #6

心の中には、いつも西住くんがいた

西住くん目線の曲です⬇️

深夜二時。

カーテンの隙間から、
街灯の光が細く差し込んでいた。

静かな部屋。

聞こえるのは、
時計の針が進む音だけ。

隣には人の温もりがある。

それなのに。

どうしてこんなに遠いのだろう。

私は何度も天井を見つめていた。 

高校を卒業しても、

明彦との関係は続いていた。

続いていたというより、

終われなかった。

いつの間にか、
半同棲のような生活になっていた。

彼が家に帰るまでに
私が家にいないと怒る。

少し連絡が遅れるだけで疑われる。

最初は言い返していた。

でも。

いつからだろう。

私は争うことをやめた。

怒られないように。

疑われないように。

揉めないように。

ただ、それだけを考えるようになった。

人は不思議だ。

逃げられないと感じた時、

戦うことよりも、

やり過ごすことを覚える。

感情を切る。

心を閉じる。

そうすると、
少しだけ楽だった。

明彦に抱かれている時も、

私の心の中には、
いつも西住くんがいた。   

笑った顔。

ぶっきらぼうな声。

一緒に歩いた帰り道。

遠い記憶ばかりが、

心の中で生き続けていた。

明彦はいつも強引だった。

思い通りにならないと怒る。

だから私は、

感じたふりをした。

嫌だと言わなかった。

怒られる方が怖かったから。

他に男がいると疑われる方が面倒だったから。

ひたすら演じた。

感情を切り離して。

身体だけをそこに置いた。

19歳の私は、

少しずつ大人になった。

いや。

大人になったのではなく、

諦めることを覚えただけだったのかもしれない。

その頃。

明彦はシンナーに溺れていった。

みんな何かを失いながら、

それぞれの場所で苦しんでいた。

私は少しずつ距離を取った。

体調不良。

親の用事。

仕事。

会えない理由を作った。

本当の理由は一つだった。

もう限界だった。

ある日。

明彦が突然「はぁー」と

ため息をつきながら言った。

明彦:西住、女と別れたらしい

私は黙った。

明彦:今フリーだって。

嬉しかったのか。

苦しかったのか。

その時はよくわからなかった。

今思えば。

あれは明彦なりの

優しさだったのかもしれない。

そこから連絡がやっと途絶えた。

その1ヶ月後。

突然明彦から連絡が来た。

久しぶりだった。

明彦:謝りたくて。

詩子:うん。

明彦:お前がずっと西住のこと好きなのは、知ってた。

詩子:うん。

明彦:だから寂しくて、たくさん浮気した。

詩子:そうなんだ。

明彦:でも、全然満たされなかった

詩子:うん。

明彦:お前が戻ってきてくれるなら変わる。

詩子:・・・

明彦:浮気もしない、束縛もしない。

明彦:だから結婚前提で、また付き合ってほしい。

長い沈黙が流れた。

詩子:ごめん。

明彦:・・・

詩子:もう無理だと思う。

明彦:・・・

詩子:ずっと限界だったから。

明彦:そっか。

詩子:うん。

明彦:西住のところ行くの?

詩子:まだわからない。

明彦:幸せになれよ。

詩子:ありがとう。

明彦:じゃあな。

詩子:うん。

電話が切れた。

やっと終わった。

そう思った。

嬉しいとか。

悲しいとか。

そんな感情より先に、

大きなため息が出た。

長かった。

本当に長かった。

その夜。

私は西住くんに電話をかけた。

数回のコール音。

そして。

西住:はい

懐かしい声だった。

詩子:誰かわかる?

西住:おー、お前久しぶりじゃん。

詩子:いろいろあってさ。

詩子:久しぶりになっちゃった。

西住:まぁな。

西住:生きてりゃ色々あるだろ。

その声を聞いた瞬間。

張り詰めていた何かが、

少しだけ緩んだ。

詩子:ねぇ、西住くん。

詩子:会いたい。

少しだけ沈黙。

西住:明日もう一回電話する。

詩子:本当に?

西住:あぁ。今度はちゃんと電話する。

詩子:わかった。

詩子:待ってる。

電話を切ったあと。

私はしばらく携帯を握ったままだった。

会いたかった。

でも。

本当に欲しかったのは、

その約束だったのかもしれない。

「待っていていい」と言われること。

「信じていていい」と言われること。

それが嬉しかった。

それから私たちは、

また会うようになった。

前とは少し違った。

家族の話。

友達の話。

仕事の話。

将来の話。

会えば必ず彼の家に泊まった。

それでも。

最後まではしなかった。

不思議だった。

昔なら。

私に魅力がないのかな?と思った。

でもその頃の私は、

話している時間の方が好きだった。

夜中まで続く会話。

どうでもいい話。

真面目な話。

笑い話。

黙っている時間さえ心地良かった。

私にとって

人を好きになるということは、

触れたいと思うことではなく。

知りたいと思うことなのかもしれない。

だから、彼を知りたかった。

彼もまた、

私の話を聞いてくれた。

それだけで良かった。

私は本当に、

西住くんが好きだったのだろうか?

それとも。

安心できる場所を

探していただけだったのだろうか?

明彦といた時間。

私はずっと感情を閉じていた。

だから西住くんに惹かれた理由は、

恋だけではなかったのかもしれない。

人は時々、

好きな人を失うことより、

安心できる場所を失うことを怖がる。

恋愛は

相手を知る旅でありながら、

自分の孤独を知る旅でもある。

誰を愛したか?

ではなく。

誰の前で、

自分らしくいられたか?

その方が、

ずっと大切なのかもしれない。

あの夜。

私は恋を取り戻したかったわけじゃない。

ただ。

もう一度だけ、

安心して笑える自分に戻りたかったのだと思う。

歌詞
Re:birth


[Verse 1]
濡れた交差点 赤いテールランプ
行き場を失くした夜を照らす
器用に笑えるようになったのは
傷を隠す術を覚えたから
「愛なんて幻想」そう吐き捨て
煙と一緒に空へ逃がした
それでも胸の奥 触れられない場所で
誰かをまだ待っている

[Pre-Chorus]
壊れかけたコンパスじゃ
もう帰り道もわからない
なのに あの日の残響だけ
今も耳を離れない

[Chorus]
抱きしめた温もりじゃ
埋められない闇がある
綺麗な嘘を重ねるたび
孤独だけが増えていく
ねぇ もしも運命なんて
くだらないものがあるなら
どうして今さらこんな夜に
君を思い出すんだろう

[Verse 2]
バックミラーに映る街並み
過ぎ去る季節を追い越せない
忘れたふりなら上手くなった
大人になるってそういうこと?
誰かを愛したつもりだった
誰かに愛されたかっただけ
そんな自分を笑うように
月だけが冷たく滲んだ

[Pre-Chorus]
格好悪いくらい
人はひとりが怖いから
強がるたび 本当の声を
どこかへ置き去りにした

[Chorus]
抱きしめた指先じゃ
救えない夜がある
見透かされたくない弱さを
君だけは知っていた
ねぇ あの日の僕らには
何が足りなかったんだろう
答えなんていらないけれど
時々 苦しくなる

[Bridge]
愛なんて孤独を
誤魔化すための言い訳なら
どうして君のいない朝は
こんなにも静かなんだ

[Final Chorus]
抱きしめた温もりより
忘れられない眼差し
失くしたものを数えるたび
夜明けが遠ざかっていく
ねぇ 最後にもう一度だけ
笑い合えたならそれでいい
そう思えるほど僕はまだ
大人になれていない

UTAKOです。
かなり赤裸々に書きました🤭
じゃないと面白くないからね😎
明彦も不器用な人でした。
ここでは描いてはいないですが、優しいところもありました。
でも、私の心の中に西住くんがいた。
消えることはなかった。
忘れさせてもらうことなんてできない。
自分で忘れるしかないのに
だけど、寂しさを誰かに預けたくなる。
そうすると、やっぱり戻っちゃう。
それが私の10代の恋愛です。
次回もお楽しみに〜❤️

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