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【UTAKO恋愛実録 #2-4/忘れたかっただけなのかもしれない】

UTAKO恋愛実録 #2-4

忘れたかっただけなのかもしれない

夜の帰り道だった。

春の風は少しだけ冷たくて。

制服のスカートが揺れる。

街灯の光がアスファルトを照らしていた。

イヤホンから流れる音楽。

信号待ち。

赤から青へ変わる光を見ながら、

私はまた同じことを考えていた。

西住くん。

最近、会えていない。

会えない時間だけが増えていく。

連絡が来るわけでもない。

約束があるわけでもない。

それなのに。

心の中にはずっといた。

PHSの電源ボタンを押す。

グリーンのライトが付く。

時計の表示。

何か来ているわけじゃない。

ただ。

確認したかった。

私はまだ大丈夫だろうかと。

胸の奥が少しだけ苦しい。

呼吸が浅い。

何かに集中したくて、

私は自動車教習所へ通い始めた。

そこで出会いもあった。

誘われることもあった。

デートもした。

優しい人だった。

真面目で。

誠実で。

私を大切に扱ってくれた。

緊張しているのも伝わってきた。

手さえ握ってこなかった。

きっと。

私を大事にしようとしてくれていた。

こういう人と付き合ったら、

幸せになれるのかもしれない。

そう思った。

誕生日には、

高価な財布まで用意してくれていた。

付き合ってもいないのに。

そこまで想ってくれる人だった。

本来なら。

嬉しいはずだった。

安心できるはずだった。

でも。

私の心は動かなかった。

なぜだろう。

彼に問題があったわけじゃない。

むしろ逆だった。

優しすぎた。

誠実すぎた。

だからこそ、

傷つけたくなかった。

心の中に別の人がいるまま、

彼の好意に甘えることができなかった。

周りは言った。

「絶対いい人じゃん」

「付き合っちゃえばいいのに」

私も頭ではそう思った。

けれど。

恋愛は正解で選べない。

心だけが、

頑固に別の方向を向いていた。



そんな頃だった。

まりあに誘われた飲み会。

そこで出会ったのが、

八神明彦だった。

彼は知っていた。

私が西住くんを好きなことも。

忘れられていないことも。

全部。

知った上で言った。

「俺が忘れさせるから」

その言葉に、

少しだけ救われた気がした。

本当は。

好きになったわけじゃない。

信じたかったのだと思う。

この苦しさが終わるかもしれないと。

会えない寂しさが消えるかもしれないと。

だから私は、

明彦に賭けてみた。

たぶん私にはこの強引さが必要だった。

恋を始めたというより。

孤独から逃げようとした。

そんな方が近かったのかもしれない。



最初は優しかった。

本当に優しかった。

これで忘れられるかもしれない。

そう思った。

けれど。

時間が経つにつれ、

少しずつ違和感が増えていく。

疑われる。

束縛される。

責められる。

自由がなくなる。

息が苦しくなる。

そのくせ。

彼自身は自由だった。

私は少しずつ冷めていった。

でも。

別れられなかった。

別れを告げるたび、

彼は死ぬと言った。

仲間を巻き込んだ。

私が離れられない状況にしてきた。

怖かった。

面倒だった。

限界だった。

だから、逃げたかった。

でも一番苦しかったのは、

彼ではなかったのかもしれない。

私自身だった。

私は本当に明彦を好きだったのだろうか。

それとも。

西住くんを忘れたかっただけなのだろうか。

私は彼を見ていたのだろうか。

それとも。

「寂しくない未来」を見ていたのだろうか。

人は時々、

誰かを好きになるのではなく、

苦しみから逃げるために恋をする。

安心したくて。

埋めたくて。

忘れたくて。

けれど。

孤独を埋めるために始めた恋は、

時々もっと深い孤独を連れてくる。

恋愛は、

相手を知る旅ではない。

自分が何から逃げているのかを

知る旅なのかもしれない。



あの春。

私は恋をしていたのだと思っていた。

でも今振り返ると。

ただ。

寂しかっただけだったのかもしれない。

春の夜風だけが、

静かに吹いていた。

UTAKOです。
とても驚きました。
過去を振り返っていると、
たまにその時の感情が蘇ってくるのですが・・・
今回は、当時の自分が理解しきれなかった
"くすぶった感情"が出てきました。
いつもなら簡単に作れる歌詞と曲が
なかなか思うように作れない。
この歌詞と曲が完成したら、まさかの大号泣。
もちろん未練ではなく、
当時の自分の未消化だった感情、
やっと今の自分に理解してもらえた、
言葉にできたような感覚。
私、こんなに辛かったんだ・・・
まだ残ってたんだ・・・
彼を好きな気持ちを無くそうとして、
他の人に身を委ねてしまった結果、
自分の心の声を無視してしまったこと。
誰かを傷つけたくないと言っておきながら、
結局、違う相手を傷つけた。
自分を傷つけながら・・・
そして、その傷つけてしまった彼は
私と同じように大切な自分の心を
蔑ろにしながら生きてきた人。
だから彼にとって私を救うことが
自分を救うことだったのかもしれない。

END

『残響』

[A Verse]
鳴らない携帯 また開いてる
意味もないのに確かめている
期待なんかはしてないふりで
期待してることが憎い
信号待ちのガラスの向こう
笑う恋人たちが目障り
幸せそうなその横顔に
腹を立ててる誰かがいる

[Pre-Chorus]
忘れたいのに
忘れたいのに
心だけがまだ
逆らい続ける

[Chorus]
消えてよ もう消えてよ
居ないくせに離れない
喉の奥を掻きむしる
残響みたいなその影
愛だとか運命とか
そんな綺麗事じゃない
わらうことも苦しかった
それだけだったのに

[A Verse]
優しい誰か 手を差し伸べる
幸せならここにあると言う
頭の中では分かっている
心だけが動いてくれない
誕生日にもらった財布も
ちゃんと嬉しかったはずなのに
嬉しいだけじゃ足りないなんて
最低だよなと笑っていた

[Pre-Chorus]
救われたいのに
救われたいのに
差し出された手を
振り払っていた

[Chorus]
抱いてよ なら抱いてよ
孤独ごと壊せるなら
優しさだけじゃ届かない
夜があること知ったから
正しさも間違いも
今はどうでもいいんだ
ただどこかへ逃げたかった
それだけだったのに

[Bridge]
誰かじゃなかった最初から
見ていたものは別の幻
恋なんかじゃない気がした
寂しさに名前を付けただけ
誰かひとり愛するより
誰かひとり欲しかっただけ
そんな本音に気付いた夜
笑うことしか出来なかった

[Final Chorus]
消えない まだ消えない
胸の奥で暴れてる
誰も悪くないはずなのに
誰かを責めたくなるんだ
愛されたい愛されたい
その声がうるさいんだよ
捨てたかったのは恋じゃない
あの日の残響だった

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