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ブランディング会社が本気でパン屋をやったら、3度目の正直で年商1億になった話

「いいブランドなのに、なんで死ぬんですかね」
数年前、社内のミーティングで誰かがポロッとこぼした言葉が、いまも頭から離れません。
私たち「Bone(ボーン)」はブランディング会社として、新規ブランドの立ち上げから、リブランディングまで、店舗・商品・企業、いろんな枠組みでクライアントさんの隣を走ってきました。
戦略を立てて、クリエイティブを磨いて、世に送り出す。それが本業です。
しかし、どれだけ素敵に立ち上げたブランドでも、その後うまく育てられずに静かに消えていく、そんな現実があるのも否定できません。
私たち自身、まるでお通夜のような重苦しい空気のなかで、消えゆくブランドを見送った経験が何度かあります。

ブランディングは「納品して終わり」では、決してない。
 机上の空論でなく、本当に続くブランドを生み、育てたい。
もう、自分たちが生み出したブランドを「育児放棄」するような真似はしたくない。だからこそ、売上を立てるノウハウを、自分たちの実体験を伴った言葉として持ちたい。
そのためには、自分たちでやるしかありませんでした。家賃を払い、スタッフを雇い、商品開発を行い、毎日レジを締めて、棚卸しをする。すべてゼロからのスタートです。
そう腹をくくった結果、私たちは大阪・堀江でパン屋を始めました。
店名は「ボーノベーカリ」
オープンから4年がたちました。 看板は変えていませんが、実質3回、店の打ち出し方を変えました。

ただ、パン屋という軸を変えたわけでも、商品をすべて入れ替えたわけでもありません。変え続けたのは、「何を価値として伝えるか」「どう選ばれる店になるか」。そして、3度目の正直で、カチッとハマりました。
いま、お店はなんと年商1億円規模にまで成長。 看板商品の「生ベーグル」にいたっては、累計販売数が30万個を超えています。

この記事では、その4年間の奮闘を全てお話ししようと思います。
ブランディング会社なのに、現場でめちゃくちゃ泥臭くもがいた話。 そして、ようやくたどり着いた「ヒットの方程式」の話。
きれいごとなしで、すべてお伝えします。


なぜパン屋だったのか

理由は、シンプルにふたつです。
ひとつ、本社のある大阪・堀江が好きだから盛り上げたかった。 
ふたつ、堀江の街をリサーチして気づいたんです。多くのパン屋さんが、昼過ぎにはほぼ売り切れている。
「買いたい人(需要)」がいるのに、「買う場所(供給)」が足りていない、と感じました。
しかも、私たちはクライアントワークを通じてパン屋さんのご支援を何件も経験しており、「結果を出す技術」は持っている自負がありました。
明確なニーズと、自分たちの武器。 ふたつが重なった瞬間に、もう迷いはありませんでした。

大阪のブランディング会社、Boneが手掛ける堀江のパン屋「ボーノベーカリ」の外観

「ボーノベーカリ」というお店のこと

ここから先を読み進めていただくために、まずはお店の「現在地」をさらっと共有させてください。

場所は大阪・堀江。 おしゃれなアパレルやサロンで働く人たちと、地元のファミリー層が交差する街です。平日は堀江で働くお客様や地域のママさんたち、休日は他府県からのお客様。お店の表情が一日の中でくるくる変わります。
毎日30種以上のパンを焼き、 看板の「生ベーグル」だけで17種類あります。
ほかにも、ブランドを支える「ボーのクロワッサン」をはじめ、行くたびに新しい出会いがある棚づくりを意識しています。基本はテイクアウトですが、4席のカウンター席も用意しました。
働いているのは約20名のチーム。 製造の職人から、フロントで笑顔を返す販売メンバーまで、全員でひとつの「店舗体験」を作っています。
ここまでがいまのボーノベーカリ。
そして、ここからが「ここに至るまでのもがき続けた4年間」の話です。

【第1期】形状展開で華々しくデビュー、でも続かなかった

「ボーノベーカリ」の運営フェーズを売上の折れ線グラフで表した画像

最初のオープン時、私たちは尖りまくっていました。
当時、ベーカリー業界でヒットを狙うなら「素材」「形状」「技法」の3つのアプローチがあると確信していました。
私たちは、その1つとして「形状」に焦点をあてて全て棒状のパンで展開すると面白いのではないか、メロンパンやクリームパンが長くても良いじゃない?という発想でその後の展開を考えていました。
当時は食パン専門店ブームの終盤でしたので、 ラインナップは抑えておきたい食パン2種と、形状に焦点を当てた棒状の惣菜・菓子パン4種、ラスク3種。たったこれだけの少なさで勝負に出ました

理由は明確です。
「最新機器を取り入れ、未経験のメンバーでも回せる、徹底的にシンプルなオペレーション」を最優先したから。職人を雇わなくても、商品を絞り込めば勝てる。そう信じていたんです。
オープン景気はすごかったです。 行列、行列、また行列。「やっぱり私たち、イケるやん!」と本気で誇らしかったです。
しかし……オープンから数ヶ月後。
客足が、ピタッと止まってしまいました。
「形状の面白さ」だけで勝負するには、ラインナップが弱すぎたんです。新商品を出してもあまり売れない。「あの店、また同じパンしかないよね」。たぶんお客様の頭の中で、そう処理されてしまったんじゃないかと思います。

ここで私たちは、舵を切ります。 「他店と圧倒的に差別化できる、看板商品を作ろう」。
そうして生まれたのが「ボーのクロワッサン」でした。

大阪のブランディング会社、Boneが手掛ける堀江のパン屋「ボーノベーカリ」のオリジナル商品「ボーのクロワッサン」の画像

堀江で働く人たちが、片手でサッと食べられるように。 子供たちがおやつにサクッと食べられる商品として。見た目もインパクトを優先して、棒状のクロワッサン。
これが見事に刺さりました。
テレビ、ラジオ、雑誌などのメディアに引っ張りだこになり、再び行列が戻ってきたのです。

でも…
メディア露出のあとに残ったのは、一過性のブームだったんです。 来店してくださったお客様がリピートにつながらず、波が引くようにお客様が去っていく。「話題」と「定着」は、まったく別物だと思い知りました。
このとき得た気づきが、2つあります。
ひとつ、看板商品は強いということ。「あの棒状クロワッサンの店」と覚えてもらえる威力を、初めて実感しました。
ふたつ、話題化と定着は別の話でした。メディアで広がる「認知」と、お客様の生活に根づく「ファン化」は、まったく違うゲームだったんです。
この痛烈な学びが、次のステップへの大きな糧となりました。

【第2期】だったら普通のパン屋でいこう!と振り切った結果

大阪のブランディング会社、Boneが手掛ける堀江のパン屋「ボーノベーカリ」の内観

「商品を絞り込むだけでは、日常的に選ばれ続ける店にはなれない」
私たちはここで、初めてパン職人をチームに迎え入れました。 これは大きな決断でした。「未経験で回せる」という当初の理想を、いったん横に置いた瞬間でした。
確かな技術を手に入れた私たちは、戦い方をガラッと変えます。 パン職人の技術と経験を信じ、やりたいように商品を開発してもらいました。品揃えを一気に増やして、「街の普通のパン屋さん」と同じ土俵で勝負することにしたんです。
種類が豊富なら、いろんなお客様のニーズを拾える。 そう信じて、商品数をどんどん増やしました。
その結果、売上は思ったほど動かなかったのです。
この時期は正直、しんどかったです。
オープンして約1年、色々と試行錯誤してきました。 絞り込んでも選ばれず、広げすぎても突き抜けない。一体、どこに答えがあるのかと暗闇を模索していました。

ただここでも、大事な気づきはありました。
単に「種類が多いだけ」では、お客様の記憶に残れない。
「近所にある便利な選択肢のひとつ」になってしまい、わざわざ目指して来てもらう理由にはなりませんでした。
安定はするけれど、低いレベルで売上が停滞してしまったのです。
第1期で学んだ「看板商品の力」と、第2期で痛感した「想起され選ばれることの重要性」。 このふたつが結びついたとき、私たちはようやく次のフェーズに進むことができました。

【第3期】3度目の正直、生ベーグルで全部がカチッとハマった

「絞り込んでも選ばれない、広げすぎても突き抜けない」
2度のコンセプト変更を経て、私たちが最後にたどり着いた答え。 それが、いま私たちを支えてくれている「生ベーグル」業態への転換でした。
まず、国内外を視察し、いろんな国と地域で様々な商品を見に行きました。そこで目をつけたのが、当時じわじわ来ていた「ベーグル」です。
ベーグルには熱狂的で根強いファンがいる一方で、それでいてまだ専門店として頭ひとつ抜けたブランドが存在していなかったんです。

ただ、普通のベーグルでは意味がない。 私たちは、従来のベーグル特有の「パサつき」を排除し、「むぎゅもちっ」とした新食感に振り切りました。さらに、独自の揚げないドーナツ製法と組み合わせて、ヘルシーなのに満足感がある一品に仕上げました。
こうして誕生したのが、「生ベーグルドーナツ」です。

大阪のブランディング会社、Boneが手掛ける堀江のパン屋「ボーノベーカリ」のオリジナル商品「生ベーグルドーナツ」の画像

これまで積み上げてきたピースが、ここで一気につながりました。

  • 第1期で手にした「看板商品の威力」

  • 第2期で気づいた「想起されるための適正な種類展開」

  • そしてSNSで一気に想起と認知を取りにいくマーケティング

ベーグルという正しい器が生まれた瞬間、全部がカチッとハマったんです。
ここから売上はV字回復を描き、累計30万個、年商1億円のラインまで一気に駆け上がることになります。

ここに来るまでに4年かかりました。 
でもいま振り返れば、第1期も第2期も、この「3度目の正直」にたどり着くために必要な階段だったのだと確信しています。

私たちが見つけた「ヒットの方程式」4つのステップ

3度の変更を経て、ようやく見えた勝ち筋。 振り返ると、全部当たり前のことです。それでも、当たり前を本気でやり切れるかどうか。それだけがすべてだったと思っています。

この方程式は、順番にも意味があります。 ① 看板商品で想起される仕組みを作る→ ② SNSマーケで認知を爆発させる → ③ 店舗体験でファンになってもらう → ④ 組織の力で再現性を担保する。

大阪のブランディング会社、Boneの考える「ヒットの方程式」を図式化した画像

それぞれ具体的に、解説します。

① 看板商品 ——「想起されなければ、選ばれない」

最初に身に染みたのは、これでした。
お客様が「お腹すいたな」「美味しいパン食べたいな」と思った瞬間、頭の中にパッと浮かばないお店は、もう存在していないのと同じです。
思い浮かべてもらえなければ、来店してもらうことも、 商品を選んでもらうことも、 食べてもらうことも、できない。

そのために必要なのが、お店の名刺代わりになる看板商品。 「ボーノベーカリ」という抽象的なブランドを、「生ベーグル」という具体的なプロダクトに脳内で変換してもらうことです。

私たちが看板商品に求める条件は、ふたつです。
ひとつ、ここでしか食べられない(買えない)オリジナリティ。
ふたつ、お客様の記憶に引っかかる意外性。


ここに、商売としての条件をいくつか足していきます。 適正な価格設定ができること。見た目にインパクトがあること。利益率が高いこと。
このすべてが揃ったとき、初めて「勝てる看板商品」になります。 看板商品がない店は、看板のない店と同じくらい、勝負が難しいと言っても過言ではないと思います。

② SNSマーケ ——「1にも2にも、まず認知」

これも現場で痛烈に思い知らされました。
まず、知られていない店には、人は来ません。 
当たり前すぎる話ですが、現場に立つと毎日この当たり前に殴られます。

立地が抜群に良い場所を除いて、「店を構えて待つ」だけでは絶対にお客様は来てくれません。
お客様が来てくれる前に、こちらの体力が尽きます。

だから、自分たちで認知を取りにいく。 私たちにとって、その武器がSNSでした。
しかもSNSの効果は、「お客様への認知」だけにとどまりません。

  • 「ここで働きたい」と思ってくれる未来の仲間(採用)

  • 「面白いお店があるな」と気づいてくれるメディア関係者

ぜんぶ、SNS経由でやって来るんです。
SNSは単なる拡散ツールじゃない。 商売のスピードを跳ね上げる、現代のインフラです。
(SNSの具体的なノウハウについては、また機会があれば書くので、気になる方はお気に入りをポチっておいてください)

③ ファンづくり ——「来店はゴールじゃなくて、スタート地点」

認知を獲得し、想起してもらい、ようやく一度目の来店に繋がった。しかし、ここがゴールではありません。
来てくれたお客様を、リピーター(ファン)に変える。 ここを怠ると、店舗経営はあっという間に苦しくなります。

そのために必要なのは、店舗体験で圧倒的に期待を超えること
私たちはこれを「QSC + VH」で定義しています。

  • Q:クオリティ(商品の質)

  • S:サービス(満足してもらうサービス)

  • C:クリーンネス(清潔感)

  • V:バリュー(ブランドそのものの価値)

  • H:ホスピタリティ(感動を生むおもてなし)

なかでも私たちが意識しているのは、最後の「H(ホスピタリティ)」。
ただパンを買う場所ではなく、「ここに来ること自体が楽しみになる場所」にしたかった。

そのために、月に1回、必ず開いている会議があります。 その名も「ホスピタリティ会議」
社員もアルバイトも関係なく、販売メンバー全員が集まる。 議題はひとつだけ。「どうしたら、お客様を感動させられるか?」
完全に案出し大喜利です。
ここから、たとえばこんな企画が生まれたりしています。

  • 年末にお客様へワクワクを届ける「年末ジャンボスクラッチ」施策

  • クリスマスにサンタさんへの手紙を書いて用意した靴下に入れておくと
    ボーノサンタがプレゼントしてくれる施策

  • 母の日に、子供たちが100円を握りしめてプレゼントを買って、一緒に手紙を書いてあげる施策

実店舗でのリアルな感動体験と、SNSでの地道で丁寧なコミュニケーション。 両輪を回し続けることで、一見のお客様が少しずつ私たちの熱烈なファンへと変わっていってくれました。

④ 組織 ——「主語を『自分』から『ブランド』に変える」

ここが、最も泥臭く、最も重要な組織づくりの話です。
第2期で職人を迎え入れた話を書きましたが、その後、新しい壁が出てきました。
チームの視座が、揃わなかったのです。
職人と、未経験のメンバー。 それぞれに正義があって、それぞれに譲れないものがあって、価値観がすれ違う。現場の空気はトゲトゲしたものになっていきました。

原因は、明白でした。 圧倒的なコミュニケーション不足と、共通のブランドカルチャーが育っていなかったことでした。

これはまずい、と思った私たちは、ある日営業を止めて全員を集めました。
オリエンテーションをやり直したんです。
ブランドのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をもう一度共有して、 「いまの私たちは、これを達成できているか?」を、全員でディスカッションしました。
ワークショップを通じてわかったのは、シンプルな事実でした。 なんと私たち、同じ店に立ちながら、驚くほどお互いの仕事の背景を話していなかったのです。

ここから学んだことは、ひとつです。
主語を「自分」から「ブランド」に変える。
「『私』はこれが必要だと思う」じゃなくて、 「『ボーノベーカリ』として、何が必要か」。
全員がブランドを主語にして意思決定する。 これが、職種も経験も超えた強いチームを作る、いちばんの近道だと気づきました。

で、結局「ヒット」って何なんですか?

4年がむしゃらに走って、ようやく言えるようになったことがあります。
私たちが考える本物の「ヒット(=ブランドの成功)」は、こうです。
お客様が心から喜んでくれて、会社にしっかり収益が立って、働くスタッフが誇りを持って幸せに働けている状態。
これが5年、10年と続くこと。 これが、ブランドのあるべき姿だと思っています。

人がたくさん来ても、ファンになってくれなければビジネスは続かない。 稼げる仕組みがなければ、「好き」を続けることすらできない。
一発で成功する必要は、まったくないです。 むしろ、一発で成功する人なんてほぼいないんです。
大切なのは、施策を打ったあと、想定と現場のギャップに合わせて「ブランドを鍛え続ける」ということ。
そして、課題に気づいたときに、どれだけのスピードで軌道修正できるか。 愚直にPDCAを回せるか。

ブランドは、見た目を整えることではありません。 おしゃれ、かわいい、かっこいい、それらはぜんぶ表層でしかないのです。
長く愛されるブランドを作るために本当に試されるのは、

  • どれだけお客様の気持ちやニーズを考え抜いて設計できているか

  • 足を止めずに課題を解決し、成長を続けているか

この運営力(現場の実装力)にほかなりません。
誰もが知っている当たり前を、徹底的に「続ける」。 これに尽きると、私たちは考えています。

いま、このノウハウの再現性を検証しています

私たちはこの4年で蓄積したノウハウが、他の業態でも通用するのかどうか、次の挑戦をスタートさせています。
その第一歩として、初の飲食(カフェ)業態に挑戦しました。 ボーノベーカリのパンを使ったカフェ「UNREAL(アンリアル)」を2025年9月にオープン。
商品開発、SNSマーケ、店舗体験の設計。 パン屋で培ったノウハウをそのまま横展開しています。
結果、初年度から年商1億が見えてくる滑り出しで、私たちの培ってきた「方程式」は確信に変わりつつあります。

ブランディングや店舗運営で困っている方へ

私たちは、デザインを納品して終わる会社ではありません。
自社でリスクを背負い、家賃を払い、スタッフを雇い、毎日レジを締めている当事者です。

  • 「良いものを作っているはずなのに、認知が取れずに客足が伸びない」

  • 「オープン時は調子が良かったのに、ブームが終わったらリピーターがつかなかった」

  • 「職人とスタッフのカルチャーが噛み合わず、組織がバラバラ」

こうしたリアルな経営の痛みに、私たちは誰よりも寄り添うことができます。 なぜなら、すべて自分たちで経験し、その都度もがきながら乗り越えてきたからです。
きれいごとのコンサルではなく、売上という結果まで一緒に背負えるパートナーをお探しなら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたのブランドの「骨(芯)」を一緒に強くしていきます。 死なないブランドへ、長く続くブランドへ、一緒に鍛えていきましょう。

この記事が、いま店舗やブランドのことで眠れない夜を過ごしている誰かの、ヒントになりますように。

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