①自己破産は特別なものではなかった
前職で、競売不動産に関わる仕事をしていました。
そこで見てきたのは、
自分の意思とは関係なく、不動産を手放さざるを得なくなった人たちです。
最初は、「特別な事情がある人たち」なのだと思っていました。
しかし、実際に現場で向き合っていく中で、その認識は少しずつ変わっていきました。
競売に至る人たちは、
いわゆる“特別な人”ではありませんでした。
むしろ、どこにでもいるような、普通の人が多かった印象があります。
何か一つの大きな原因があるというより、
いくつかの出来事や判断が重なり、気づいたときには後戻りが難しい状況になっている。
そんなケースが少なくありませんでした。
支払いが滞ると、やがて裁判所から通知が届きます。
その後、執行官が自宅に来て、
競売のための調査や資料作成が進められます。
これを拒むことはできません。
執行官も感情がないわけではないと思いますが、
あくまで業務として、淡々と手続きを進めていきます。
やがて物件は公告され、
不動産会社や投資家が入札に参加します。
その場では、
残債がどうなるかといった事情が重視されることはほとんどありません。
それぞれが、それぞれの立場で判断しているだけです。
落札後、債務が残れば、
分割で返済を続けるか、自己破産という選択を取ることになります。
自己破産という言葉には強い印象がありますが、
現場で見ていると、それは「終わり」というよりも、
一つの手続きとして扱われている側面もありました。
金融機関にとっても、特別な出来事というより、
あくまで処理すべき案件の一つとして進んでいきます。
ただ、一つ強く印象に残っていることがあります。
税金は、自己破産してもなくならないという点です。
延滞が続けば金額は大きくなり、
状況によっては、その後の生活に長く影響することもあります。
こうした現場を見ていて感じたのは、
自己破産は、特別な人だけに起こるものではない、
ということでした。
そして同時に、
それが必ずしも「人生の終わり」を意味するわけでもない、ということです。
ただし、その後の状況は、抱えている条件によって大きく変わる。
その差がどこで生まれるのかは、
簡単に言い切れるものではありませんが、
少なくとも、他人事として切り離せるものではないと感じています。
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