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『知っている』と『できる』は違う、と言われた日のこと

「20代前半の話です。」

👉「この言葉が腑に落ちるのに随分と時間がかかりました。」


新卒の頃、ある不動産会社を受けた。
特別に志望していたわけではなく、なんとなく受けた会社だった。

面接の場で、私はこう言った。
「不動産のコンサルタントになりたい。そのために御社に入りたい」

すると、代表取締役だった面接官が、少し間を置いて言った。

「“知っている”と“できる”は、別なんだよ」

もう二十年近く前の話だ。

当時は、内心ムッとした。
そんなこと、言われなくても分かっている。
頭ではそう思っていた。

面接を終えたあとも、その言葉は特に残らなかった。
若かったし、自分は分かっている側だと思っていた。

でも、その後の人生で、何度も同じ場面に出くわした。

理屈は分かっている。
知識もあるつもりだった。
資格も、経験も、少しずつ増えていった。

それでも、現実は思ったように動かない。

頭では理解している。
でも、実行できていない。
その差が、そのまま結果になって返ってくる。

そうした当たり前のことに、
本当に腹落ちするまで、十年近くかかった。

資格や能力があっても、
使わなければ、ただ持っているだけになる。

活かすか、腐らせるか。
決めるのは、いつも自分だった。

あのときの言葉は、
正しかったのだと思う。

分かるまでに、
ずいぶん時間はかかったけれど。


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