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レバレッジ投資に住む魔物の話。「2倍動くだけ」は半分しか正しくない【FANG+・S&P500・NASDAQ】

レバレッジに、
一度くらいは惹かれたことがあると思います。

「S&P500が+10%なら、自分は+20%か」
気持ち、わかります。

私も思ったし、実際に買いました(笑)。

FANG+のレバレッジ
NASDAQ100の3倍レバレッジ

以前の記事でも少し触れましたが、
なかなかの迷走でした。

今日はそのレバレッジについて、
構造から正面に向き合う記事を書きます。

「怖い話だけするな」
と思うかもしれないので、先に言っておきます。

レバを試してみたいと思う気持ちは、正常です。

むしろ、投資家として一回り成長した証だと思っています。

個別株と比較しても、レバレッジは
インデックスファンドの延長にあるから、
イメージもしやすい。

ただ、「イメージしやすい」ことが、
リスクを過小判断してしまう。

そうならないように、
知っておいた方がいい話がいくつかあります。


「2倍動くだけ」は、正しくない

まずここから始めます。

レバレッジ2倍の商品は、
「対象指数の2倍の動きを、毎日リセット」する設計になっています。

この「毎日」という部分が、
長期保有にとって致命的な落とし穴になる。

具体的な数字で見てみます。

元の指数が100として、
1日目:+10% → 110
2日目:-10% → 99
指数は100→99。1%の下落です。

同じ動きのレバレッジ2倍だと、
1日目:+20% → 120
2日目:-20% → 96
レバは100→96。4%の下落。

指数の下落は1%なのに、
レバは4%やられています。

さらに極端な例。

計算式は省略しますが、
+20%/-20%の繰り返しを20日間続けると、

  • 指数:約90

  • レバ2倍:約67

指数は10%のダウン。
レバは33%のダウン。

乱高下が続くだけで、
数字の上では「上がって下がっただけ」
でも、レバは静かに削れていく。

これが「ボラティリティドラッグ」
と呼ばれる現象です。
数学的に避けられない構造。

「乱高下しても上がれば戻るでしょ」
と思っていませんか。

残念ながら、
それが通用しないのがレバレッジです。


信託報酬に含まれていないコストがある

これも知っておいてほしい話。

レバレッジ商品は、実態として
「お金を借りて株を買っている」状態です。

わかりやすく言うと、こういうイメージ。

銀行からお金を借りれば、利息を払う。
円をドルに換えれば、為替手数料が取られる。
取引を毎日こなす人件費も当然かかる。

いわゆる隠れコスト。
もちろん、目論見書にその数値は出てこない。

これらのコストが、
信託報酬とは別に毎日積み上がっています。
目論見書に書いてある信託報酬だけ見ていると、気づかない出費です。
上昇局面では気になりません。
利益の方が大きいから。

でも、横ばいや乱高下の局面では、
このコストだけで確実に減り続けます。

「特に動いていないのに、なぜか減っている」という現象が起きる理由は、ここです。


SNSで語られるレバレッジには、偏りがある

これ、かなり大事な話です。

SNSには、投稿に「いいね」がつくほど、
露出が増える仕組みがあります。

「NASDAQ3倍レバが今月+30%でした」
「NASDAQが今月+10%でした」
どちらが拡散されやすいか。

もっと言うと、SNSには広告収入がある。
見てもらえれば収益になるから、
盛り上がる投稿ほど流れてくる設計になる。

「S&P500レバ、すごい」
と誰かが書いた投稿が伸びるのは、
本人の感動と同時に、
アルゴリズムが後押ししているからです。

だからレバレッジ商品が話題になるのは、決まって上昇局面です。

下落局面や乱高下の局面では、何が起きるか。

静かになります。

投稿が減る。
記事が消える。
持っている人は黙っている。

「沈黙の投資家たち」が、実は一番多い。

その沈黙の中に、一番大事なデータがあります。

上昇局面の話だけが流れてくる構造の中で、
それだけを見て判断するのは、
データとして半分しか見ていない状態です。

SNSが盛り上がっているタイミングほど、
一歩引いて見る習慣が必要です。

ちなみに、この話。SNSだけじゃなく、
ネットのニュースメディアも同じです。
その銘柄が上昇しているとき、記事にする。
それで閲覧数(広告料)を稼ぐビジネスです。


成功体験のあとに、魔物がいる

ここが今日一番伝えたいことかもしれません。

挑戦枠として少額でレバを試す、これ全然あり。
「どんな感覚か体感したい」
正当な動機だと思います。

問題は、そこで上昇局面に乗れたとき、です。

+30%、+50%、+80%。

お金を増やしたいから投資してる。
だから、この数字が見えてくると、感動します。

通常のインデックスでは味わえない加速感。
毎日スマホを開くたびに含み益が増えていく。

「これ、もっと入れておけばよかった」

この感覚、出てきませんでしたか。
私はありました(笑)。

でも、この瞬間が一番危ない。

成功体験は、リスク感覚を麻痺させる。

小額で試してうまくいった 

同じことを大きな金額でやる。

これが、退場コースに最も近い判断です。

しかも、一旦大きく下がると、
戻るのに時間がかかります。
レバレッジ2倍が50%下落した場合、
元に戻るには100%の上昇が必要です。

通常のインデックスも計算上は同じですが、
レバはボラティリティドラッグが常にかかり続けているので、回復局面での「2倍の上昇」を期待しても、毎日削られていく。

「待てば戻る」は、
通常のインデックスのロジックです。

レバに同じ考え方を当てはめるのは危ない。


学術的にも、長期保有には向かないとされています

実は、これは新しい話ではありません。

2000年代初頭。
レバレッジETFが世に出たころから、
複数の研究者がこの問題を指摘してきました。

Cheng & Madhavan(2009年)の
代表的な研究のひとつで、
「レバレッジETFは短期売買向けであり、
長期保有に適さない」
という結論は、今も変わっていません。

理由はすでに話した通りで、
ボラティリティドラッグの累積効果です。

「上昇一方の相場なら勝てる」
は理論上そうかもしれない。

でも現実の相場は上下を繰り返す。
その繰り返しが、長期では致命的になっていく。

20年前から言われていて、今も言われている。

それでも人は惹かれる。

それがレバレッジというものです。


ゴルプラについても一言

「Tracers S&P500ゴールドプラス」のような、
株式とゴールドを組み合わせたレバレッジ型商品(俗にゴルプラと呼ばれる)が、
一時期かなり話題になりました。

最近は、SNSのパートで説明した現象が起きて、
以前より聞かなくなった気がします。

設計の考え方としては、
「株式が下がったときにゴールドが上がる。
ゴールドが下がったときに株式が上がる」
という相互カバーの発想です。

片方が崩れても、もう片方で支える構造。

また、逆相関かというとそうでもなくて、
全く異なる分野で同時に投資できる。

賢い設計だと思います。

ただ個人的には、レバレッジとしては少し方向性が違うと感じています。

レバレッジの本来の力は
「ひとつの方向に集中して加速する」ことです。

複数の資産でお互いをカバーし合う設計は、
どちらかと言えば下落リスクを抑える発想です。

そして、下落リスクを抑えようとしているということは、この記事で話してきたボラティリティドラッグ対策という見方もできる。

でも、そのアプローチ自体、
既にレバレッジの得意分野からは外れています。

批判したいわけではありません。
設計の論理は理解できます。

ただ、
「レバレッジをかけるなら何に賭けているのか」

を自分の言葉で説明できるかどうかが、
設計の出発点として大事だと思っています。

株もゴールドも同時に伸びる局面は、
歴史的には珍しい。

2020年以降でたまたまそれが重なっていた時期があった。
だから商品化した。
含み益もたくさん出たから、話題にもなった。

今後どうなるかは誰にもわかりませんが、その点は少し意識しておいてほしいと思っています。


上昇局面の感動は、本当のことを言います

ここまで怖い話を並べてきました。

ただ、上昇局面のレバレッジは感動します。

+50%。
+80%。
含み益がどんどん積み上がる。

職場でいつもと同じ朝礼を聞きながら、
スマホの中では別の世界が動いている感覚(笑)。

あれは気持ちいい。

でも、感動と意思決定は切り離す必要がある。

感動した瞬間に「もっと入れよう」との判断は、
感情が判断を上書きしている状態です。

それは、一番判断力が落ちているタイミング。

「感動した。続ける。増やさない。」

これが、魔物を退治するための呪文です。


使うなら、役割を決めてから

どのタイミングで、どの銘柄を使うか。
整理しておきます。

ちなみにNISAでは、レバレッジ商品はそもそも買えない設計になっています。
金融庁がはじめから「ここには入れるな」と決めている。ある意味、親切な設計です(笑)。

買うなら特定口座になります。
メジャーどころをざっくり並べてみました。

自分のポートフォリオを
「どの方向にさらに加速させたいか」
を決めてから銘柄を選ぶ。
というのが一番整理しやすい。

使い方の目安として、

  • 総資産の5%以内

  • 「溶けても続けられる金額」で上限を決める

  • 長期ホールドは設計に組み込まない

このくらいのルールを設けておくと、
退場リスクは大きく下がります。

効率厨としては
「5%のために」と思わなくもないですが、
「退場するとその5%もなくなる」と考えれば、
冷静になれます(笑)。


レバに手を出したくなるのは、成長の印だと思っています

最初から
「インデックス一本で行く」
と決められる人は少ない。

積み立てに慣れてきて、
「もっと増やせないか」
「もっと賢い方法があるのでは」と考える。
その流れでレバレッジに目が向くのは、
自然な成長です。

探索心。それ自体は正しい。

魔物がいるのはその先、
「成功体験のあとに大きく賭ける」
タイミングだけです。

探索する

体感する

仕組みを理解する

自分のポートフォリオの中での役割を決める

この流れで使えるなら、レバレッジは
「一回り成長した投資家が使う道具」になる。

私自身の話をすると、正直なところ、
レバレッジで大きく儲けました。
これがなければ、7年で1億円には辿り着けなかったのは間違いなく事実。

でも、今思うと、
正しくリスクを理解できていませんでした。
なんとなく上がりそうで買いました。
客観的な総括をすると、
たまたま上昇局面に乗れたというのが一番近い。

だからこそ、言えます。

仕組みを理解せずに、
大きく賭けて儲かることはある。

でも、次の下落局面で同じことが起きたとき、
自分がどう動くかをイメージできていなければ、
それはギャンブルと変わりません。

仕組みやリスクは理解した。
役割も決めた。
そのうえで大儲けしてほしい。

そのための記事です。

最後に一つだけ。

レバレッジで覚えておくことは、
これだけで十分だと思っています。

人は、
負けたときではなく、勝ったあとに壊れる。

この一文が頭に残っていれば、
魔物には近づかずに済みます。


次は、投資を終わらせる話。

「なんとなく持っている銘柄」
いくつありますか。
上がっているから、良さそうだから。
これで持ち続けて、下がった瞬間に迷う。

私も1億になるまで、全部それでした。

でも本当の問題は「何を持つか」じゃない。
役割がないまま持っていることです。

なぜ持つのか、いつ手放すのか。
ここが言えないと、どんな優秀な銘柄でも崩れます。

迷いを消す“5つの枠”とNG配置。
私の最も根本となる話です。


凡人太郎


「やらかしやすい投資の罠」
を再現性ある形で言語化しています。

なぜ失敗するのか、
どう設計すれば避けられるのか。

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凡人太郎|7年で1億のサラリーマン投資家│インデックス投資 私の記事が参考になれば、それが一番の喜びです。 引き続き応援よろしくお願いします。