コイントスより4%だけ正確なプロの予測を、7年間ありがたがっていた。
ニュースサイトを開くと、
よくこういう見出しが流れてきます。
「ゴールドマン・サックス、S&P500の年末目標を○○ポイントに引き上げ」
「モルガン・スタンレー、○○株を強気転換」
「ゴールドマン・サックス、ゴールドの目標価格を引き上げ」
株でも、指数でも、ゴールドでも、形は同じ。
有名な投資銀行の名前と、目標の数字。
NISAでインデックス投資を続けながら、
S&P500やオルカンの積み立てとは別に、
ゴールドもポートフォリオに入れています。
だからどの見出しも、完全に他人事ではない。
読みます。
なんとなく安心します。
「よし」と思います。
私はいったい、
ニュースの「何」を信じていたのか。
7年投資を続けて、
ようやくその正体に気づきました。
まず根拠の話から。
目標価格は計算式から出てきます。
ゴールドなら、
中央銀行の購入量、ETFへの資金流入、実質金利の動き、地政学リスクへのヘッジ需要などを変数として積み上げる。
株なら、
企業利益に評価倍率を掛け合わせた式に、
景気見通しや業界動向を乗せていく。
それらを統合して、
優秀な人たちが計算した数字だということは、
調べてはじめてちゃんと理解しました。
ただし正解率を調べると、
思ったより高くなかった。
複数の研究結果があって、その内容によると、
目標株価が方向性を当てる確率は約54%。
これは単純な増減だけを当てたかの正解率です。
コイントス、50%。
プロのアナリスト、54%。
差は4%。
なかなかの数字だと思いませんか?
体感ではもっと低い印象がありましたが、
これだけのコストをかけて出している結果が、
コイントスより4%正確。
そんな正解率のために膨大なコストをかけて、
ニュースにする意味。
私は素直じゃないので、色々透けて見える気がしますが、ここは省略しておきます。
手数料で儲けたいだけなんじゃないか。
なんて、私が思っているだけなので……。
もし、投資銀行の方がこの記事を読んでいたら、
ごめんなさい(笑)。
話を目標価格に戻します。
この話は株でも指数でも金でも構造は同じです。
ただ、私の場合、
一番具体的な体験がゴールドにあるので、
ゴールドを例に話します。
ゴールドは2024年の6月から買い続けています。
最初の理由は守りでした。
当時、ポートフォリオのほぼ全部が株式で、
崩れたときの安全弁が欲しかった。
増やしたいというより、備えたかった。
2024年の6月と7月に合わせて、
210万円ほど買いました。
その後、ゴールドがどんどん上がりました。
守りのために買ったはずが、
「攻守最強の資産になってるじゃないか」
という感覚が少しずつ出てきていました。
ここから少し恥ずかしい話です。
ゴールドの記事をよく読むようになったら、
ニュースアプリがゴールドだらけになりました。
見るから出てくる、出てくるから見る。
どこを開いても上昇記事が並ぶ。
その頃、投資をしている職場の同僚にゴールドをすすめたりもしました。
今思うと、申し訳なかったです(笑)。
2025年4月にさらに320万円追加しています。
守りのためという理由は変わらないですが、
上昇が続いていたことと無関係ではないと思います。
そして2026年2月、もう90万円買いました。
欲が出ました。
2026年1月の4000ドル台後半のとき、
ゴールドマン・サックスが目標価格を5400ドルに引き上げるニュースが出ました。
その後、ゴールドは5000ドルを突破した。
「よし」と思いました。
まとめると、流れとしてはこうです。
2024年夏に210万買う。守りのため。
2025年春に320万買う。守りのため。
2026年1月下旬に目標価格引き上げニュース
2026年2月に90万買う。攻めのため。
この2026年2月に買った分が、
今20万円ほどのマイナスです。
ゴールドマンのニュースで安心して買った分が、一番やられています。
今は約4100ドルです。
当時のニュースを並べると、
全員が同じ方向を向いていました。
今後どんどん上がる。需要は止まらない、と。
投資銀行は相場が上がると、目標を引き上げて、下がったら引き下げる。
それをまた読んで気持ちが動くとしたら、
上がるときも下がるときも振り回されているだけです。
少し立ち止まって考えました。
「よし」と思ったあの感覚、
何を確認していたのか。
数字だったかと思うと、たぶん違います。
「ゴールドマン・サックス」
という名前を確認していました。
知らない個人投資家が
「ゴールドは上がる」と言っても、
たぶんスルーします。
でもゴールドマン・サックスが言うと立ち止まる。内容が同じだとしても。
不思議なのが、
家電とかの口コミはそうじゃないんです。
家電批評家が「これいい」と言っても、
どうしてもバイアスがかかります。
いいところだけ話しているんじゃないか。と。
でも友達から「これよかったよ」と言われると、すんなり信じます。
友達に嘘をつく理由がない。
だから真実に近いと感じる。
株は逆です。
投資銀行は少なくとも嘘はついていない。
自分には絶対に勝てない専門性がある。
だから信じやすい。
ただここで、
自分に都合の悪いことに気づきました。
投資銀行の専門性を信じていたのではなく、
その専門性によって、
「自分の判断は正しかった」と思えた。
だから安心できた。
専門性への信頼と、安心感の希求は、
似ているようで別物です。
ゴールドをすでに持っていて、
上がり続けていて、
「よし」と思いたかっただけだとすると、
探していたのはゴールドマンの分析ではなく、
自分が間違っていないという確認でした。
これはゴールドだけの話じゃないと気づきました。
思い返すと、投資を始めた頃、
ずっと同じでした。
オルカンを積み立て始めたとき、
「世界中の優秀な企業に分散している」
という言葉に安心しました。
NASDAQを買ったとき、
「テクノロジーの成長に乗る」
という言葉に安心しました。
個別株を買ったとき、
アナリストのレポートに安心しました。
どれも、
自分がすでに「買いたい」と思っていた後に、
安心できる言葉を探していた気がします。
判断が先にあって、根拠は後からついてくる。
それはゴールドマンを信じていたというより、
自分の判断を信じたかっただけなのかもしれません。
正しさを確認していたのではなく、
安心感をくれる相手を探していた。
では実際どう使えばいいのか。
目標価格が動くとき、
「○○ドル」
という数字が変わっているのではなく、
「この前提が続けばこの価格になる」
という条件が変わっています。
ニュースになると前提が消えて数字だけが残る。
だから「数字」より
「前提条件が変わったかどうか」を見る方が、
情報として長持ちします。
ゴールドマンが5400ドルを弾いた根拠は
「中央銀行が年間平均60トンの買いを続ける」
「FRBの利下げでETFへの資金流入が増える」
の2点が主なものでした。
ただ、ここに個人的なジレンマを感じています。
利下げは、する、もうすぐする、するかも、
みたいなイメージで何度も出ては後退します。
さらには中央銀行の動向は、
個人にはなかなか入りにくい情報です。
前提条件を追うこと自体、簡単ではない。
難しいから、私は一つだけ決めました。
目標価格が動いたとき、
数字より先に見出しの次の行を読む。
「なぜ変わったのか」を一行だけ確認する。
それだけで、数字に動かされていた自分が、
根拠の変化を見る自分に変わります。
安心する気持ちは、我慢しません。
精神的な私の仕様なので、解消が難しい。
だから、これからも「よし」と思います。
でも、それだけで終わらせないようにしようと思います。
ゴールドマン・サックスのニュースを見たとき、
あなたは数字を見ていますか。
それとも、名前を見ていますか。
持っているものが上方修正されたとき、
「自分の判断が正しかった」という確認を、
プロの名前に求めたことはありませんか。
あの日スマホを開いて「よし」と思った瞬間、
私は価格を確認していたのではなく、
自分が間違っていなかったことを確認していました。
コイントスとの差は4%だったかもしれません。
でも私が買っていたのは、
その4%の精度ではなく、
「自分は正しい」と思える安心感でした。
7年間、どこかで感じていました。
ただ言葉になっていなかった。
この記事を書いて、
ようやく言語化できた気がします。
凡人太郎
記事に書いてある通り、
ゴールドを持っているのですが、
最近ずっと下落しています。
2026年始めの頃、金価格が高騰していて、
テレビでもよく取り上げられていました。
そういえば目標価格を出していたよな、
と思って、よいきっかけだと思って調べて、
その内容を記事にしてみました。
こんな記事を書いている凡人ですが、
もし、興味を持っていただけたなら、
「フォロー」しておくと、
次の記事が見つけやすくなると思います。
次回は、トレンド株に乗れていない話
キオクシアやら、フジクラやら、
個別株を見ると、すごいですよね。
「今からでも、まだ間に合うかも。」
って思ってしまう自分がいる。
そんな話です。
いいなと思ったら応援しよう!
私の記事が参考になれば、それが一番の喜びです。
引き続き応援よろしくお願いします。
